そのお話の出所は1980年公開の米映画「アリゲーター」ではないでしょうか。その映画の脚本にはフランク・レイ・ペリリという人が加わっていますが、彼の他の作品にはエンド オブ ザ ワールド、SFレーザーブラスト、ドラキュラ’ズ ドッグなど、変な怖い生き物が出てくるSF作品が多く、「アリゲーター」もこれらと同時期に書かかれたものです。同じ頃米映画界では、「キングコング」「ジョーズ」「グリズリー」などの大きくて怖い生き物の映画が好調で、これらに比べて僅かにスケールの小さいワニを描いた作品ですから、せめて怖さを出すためアノ手コノ手で創作を散りばめたと考えるほうがよさそうです。きっとアメリカの広い家で飼っているイヌがエサの食い残しを庭に埋める習性でも見て「よし、これだ!」なんて思い付いたのかもしれません。
ワニの捕食シーンをドキュメンタリーなどで見ますが、捕殺した獲物を埋めているところなど見たことがありません。例えばワニの生息域でしばしば起こる人的被害において、損傷の大きな遺体は水上で発見されることが多く、土中に埋められていた例はないです。また動物園やワニ園などの飼育下においてエサは新鮮な魚や畜肉類を与えらているのが一般的で、こうしたことからワニが腐肉を特に好むということもないと思われます。