もう質問者もこの質問を読んではいないとは思いますが、#2,4さんは法律に大変お詳しいようですから、後学のため、御教授頂ければ幸いです。
>この事例は前訴において債権全部に判断されているんですね。裏返して読むと、そうでない場合は特段の事情に当たるのです。
まるで、たまたまこの判例では債権全部について判断されたかのような書き込みが気になりました。本判例についてもう少し詳しく引用すると、
「1個の金銭債権の数量的一部請求は」、当該債権が存在しその額は一定額を下回らないことを主張して右額の限度でこれを請求するものであり、債権の特定の一部を請求するものではないから、このような請求の当否を判断するためには、「おのずから債権の全部について審理判断することが必要」になる。すなわち、裁判所は、当該債権の全部について当事者の主張する発生、消滅の原因事実の存否を判断し、債権の一部の消滅が認められるときは債権の総額からこれを控除して口頭弁論終結時における債権の現存額を確定し、現存額が一部請求の額以上であるときは右請求を認容し、現存額が請求額に満たないときは現存額の限度でこれを認容し、債権が全く存しないときは右請求を棄却するのであって、「当事者双方の主張立証の範囲、程度も、通常は債権の全部が請求されている場合と変わるところはない」。数量的一部請求を全部又は一部棄却する旨の判決は、このように債権の全部について行われた審理の結果に基いて、当該債権が全く存在しないか又は「一部として請求された額に満たない額しか現存しないとの判断を示すもの」であって、言い換えれば、「後に残部として請求し得る部分が存在しないとの判断を示すもの」にほかならない。したがって、右判決が確定した後に「原告が残部請求の訴えを提起することは、実質的には前訴で認められなかった請求及び主張を蒸し返すもの」であり、前訴の確定判決によって当該債権の全部について紛争が解決されたとの被告の合理的期待に反し、被告に二重の応訴の負担を強いるものというべきである。以上の点に照らすと、金銭債権の数量的一部請求訴訟で敗訴した原告が残部請求の訴えを提起することは、特段の事情がない限り、信義則に反して許されないと解するのが相当である。
とあります。一部請求であっても、普通は「債権の全部について審理判断することが必要」になると言っているように思います。すると、#4さんの仰る債権全部について判断されない「特段の事情」って、例えばどんな事情なんですかね?
「判例は、先行する訴訟で一部であることを明示した一部請求訴訟を認めたとしても、そのことが、当然に2度の訴訟を許容することに繋がるとまでは考えていないと評価できる。判例は、明示の一部請求を認めつつも、形式的に訴訟物の分断を貫くのではなく、実質的観点を重視して、一部請求訴訟によっても債権全体の紛争を解決すべき要請を可能な限り実現しようとしているということができる。(上野泰男「明示的一部請求訴訟の訴訟物・判決効」、岡伸浩「民事訴訟法の基礎」)」という意見もあるようですが、これについて、#2,4様はどのようなお考えでしょうか?
また、
>例えば、ある不法行為(または債務不履行)に対して本来1台10億機械、100台分の損害賠償を起こすために、試験訴訟として1台分だけ起こしたところ、過失相殺で9億円までしか認められなかったとしましょう。そうすると、当然のこり99台分については後訴でいけます。
という記述について、確か判例は外側説を採用していたように思うのですが、いつから按分説へと判例変更がなされたのでしょうか?