>・行政事件訴訟法27条(内閣総理大臣の異議)
これは行政処分取消訴訟や執行停止命令の性質をどう考えるかで説が分かれるようです。
行政処分執行停止は本質的に司法権固有の権限ではなく、行政の権限なので
(日本は行政裁判所の設置を禁止しているので普通裁判所にやらせているだけ)
内閣総理大臣の異議による制約は司法権独立、裁判を受ける権利の侵害にあたらない、が今のところ通説的見解です。
>・刑法94条(中立命令違反)
これはいわゆる白紙委任の問題ですよね。
局外中立命令に違反したら処罰されるっていうけど、
「中立命令って何?行政が勝手に決められるんじゃないの?それって罪刑法定主義に反しない?」…と。
現実に適用された例がないので判例はありませんが、憲法違反を主張する説はあるようですね。
類似の事例として国家公務員法102条1項に定められた
「政治的行為の禁止」があります(罰則は110条1項19号)。
これも上記の「中立命令」と同じく「政治的行為」の内容が行政権(人事院規則)で決められるので、
罪刑法定主義との間で問題になりました。
んで、もめにもめたものの今のところ合憲という判断が下っています。
(リーディングケースは昭和49年11月6日最高裁判決、いわゆる猿払事件)
ただ、この判例には学説からの批判も根強いのが現状です。
国家公務員という、何かにつけて人権を制約される特殊な立場ですらこれだけもめるんですから、
身分によらず適用される刑法94条は相当微妙かもしれませんね。