- ベストアンサー
損害賠償責任あり?
男が車の修理のため、工場より代車を借りた。男はその代車を運転中に、対向してきたトラックの荷台から落ちてきた石で代車を破損してしまった。石を落とした車は走り去り誰の車か分からない。代車は任意保険に入っておらず、工場から運転者に修理代の請求がきた。 さて、運転者は交通法規を守り走行しており、何の故意・過失も無いので損害賠償に応じる必要は無いと言う。法的には正しいのでしょうか。
- みんなの回答 (16)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
- ベストアンサー
では、補足です。 借りたときの状態にして返すというのは、原状回復義務のことでしょう。 これは、確かにありますが、よく問題になるのは、目的物に変更を加えて、使用していた場合に、その変更を元に戻して返すということです。 たとえば(あまり考えられませんが、レンタカーにパーツをつけていたときに、このパーツを取り外すこと) ここで問題となっているのは、借り主が利用している間に生じた損害を借り主が負担するかどうか、という問題ですから、原状回復の問題ではありません。 不完全履行も含めて、債務不履行責任が発生するには、契約違反の点について、債務者(管理義務の債務者ですから、借り主)について、帰責性というものが必要です。これが故意、過失ということです。 この故意、過失がなければ、債務不履行責任は考えられません。 確か、不可抗力というのでしょう。 本当の意味での事故であって、代車を貸し出すときのリスクの範囲内です。 返還時に、借りた物に損傷があった場合には、この損失を借り主、貸し主のどちらが負担するかという問題が発生します。 この負担を追わせる理由が債務不履行にいう、故意、過失というものです。 故意に契約の目的物を壊した場合、又は、注意すれば壊れることを回避できた場合という状況がなければ借り主に責任は負わせられません。 この二つの事情がないときに初めて、第三者に責任を負わせることになるので、すべてが責任転換になる訳ではありません。 ちなみに、この場合には、代車を所有している工場が、代車についての財産的リスクを最終的に負う立場にあるので、第三者に対して、不法行為による損害賠償請求をするのは、工場です。 仮に、借り主が全部第三者への責任を追求する義務があるのなら、貸し主は、借り主から賃料という対価を受け取り(賃貸借の場合)なおかつ、賃貸から生じた損失を借り主から原状回復(この場合の用語の使い方は違いますが)という形で2重の利益を受けることになり、借り主にとってあまりに酷です。 損害が、借り主全部負担というのは、おそらく全額損害賠償契約が存在した場合に限られます。
その他の回答 (15)
1 法的考察について まず、この質問を考えるに当たって、余計な事情をつけることはしない、事実関係はすべて正しいとの前提で答えました。 ですから、ここにあげられた発言を含めて、すべて真実であると。 これが民法上の問題として法律的考察を加える大前提だからです。 運転者の発言について考察を加える方がいますが、深読みしすぎです。 2 賃貸借の原状回復について これについては、最高裁平成17年12月16日判決を参照に考察を加えました。 平成17年度重要判例集NO8に記載されています。 「賃借人は、賃貸借契約が終了した場合には、賃借物件を原状に回復して賃貸人に返還する義務があるところ、賃貸借契約は、賃借人による賃貸物件の使用とその対価としての賃料の支払いを内容とするものであり、賃借物件の損耗の発生は、賃貸借という契約の本質上当然に予定されているものである。」 「それゆえ、建物の賃貸借においては、賃借人が社会通念上通常の使用をした場合に生ずる賃借物件の劣化又は価値の減少を意味する通常損耗に係る投下資本の回収は、通常、減価償却費や修繕費等の必要経費分を賃料の中に含ませてその支払いを受けることにより行われている。」 「そうすると、建物の賃借人にその賃貸借において生ずる通常損耗について原状回復を追わせるのは、賃借人に予期しない特別の負担を課すことになるから、賃借人に同義務が認められるためには、」通常損耗分についての回復義務が契約に明示されているか、賃貸人が説明し、賃借人が明確に認識し、その旨の合意が存在することが必要である。 (一部要約) この判例からすると、賃貸借の目的物を「借りたときの状態にして返す」という意味での原状回復は、認められないことになります。 目的物が建物か、自動車かは結論を左右しません。 その意味で、借りたときの状態に戻すことを原状回復として主張されている方については、間違った発言をしております。 この判例の存在を知らない方は、明らかに勉強不足です。 10日間走った状態の中古車を借りて、一週間乗り、レンタル料も支払って、なおかつ10日間走った状態に修理して返すなどということはありえません。 ちなみに、この判例の後半部分の例外要件をもとに、自分としては全額賠償の特約があれば、借り主は全額損害賠償責任を負担すると判断しました。 賃貸借契約の本質として、このような特別の破損部分の修復義務までをも含める方がいるようですが、上記判例の賃貸借の定義に明らかに反しますので、誤った発言です。 3 車の破損の点について 以上の判例を前提としても、通常損耗以上の破損が目的物に生じた場合には、別問題です。 「借りたときの状態にして返す」旨の、他の方の主張が、「通常損耗以上の破損が生じたときに、通常損耗の範囲内に修復して、返還する義務がある。つまり、普通に使った程度に戻して、貸し主に返還する義務がある、ないしは、それができないときは、損害賠償という金銭的負担をもって、回復する必要がある」という趣旨での主張であるなら、その限りで、正当な主張であり、表現の違いにすぎないことになります。 どのような見解に経っても、通常損耗以外の損害については、賠償義務が発生することがあります。 これが、賃貸借契約における、目的物管理義務、つまり、賃貸借契約の本旨に従った履行があったかという問題です。 この事例では、石がぶつかった破損で、修理が必要というのですから、通常損耗以上の破損があったと認定できます。 ここで、客観的事実として、契約違反があっても、これが賃借人の帰責事由に基づかないものであれば、債務不履行責任は発生しないことは、以前に説示させていただきました。 なお、本件事例からのみでは、「交通法規を守り走行」していた事実のみがあげられ、その直後に故意、過失がないとの記述のあることから、本件では、賃借人が異常な運転をしていないと判断しました。 実際の裁判では、無過失の立証は、行政法規の遵守のみならず、他の具体的事情を考察するとの指摘は、正当です。 ただ、そこまで踏み込んで判断する必要がないと考えました。 なお、不可抗力という点では、大災害がもっとも典型的ですが、突発的な事故の場合についても認められるのが通常です。 要は、人の通常の判断能力、予測能力を超えた事故であればよいからです。 たとえば、ほんの数分前までは、車のブレーキが正常に動作していたのに、法定速度を守って走行中、突然ブレーキが何の前触れもなく破損した結果、事故を起こしたというくらいでも、実際の状況によっては、無過失と判断されることもあります。 なお、この点について明確な判例を探すのは至難の業です。 これほど有名な問題点について、民法の教科書に具体的な判例の記載がないからです。 あまりに微妙な件については、和解で処理することが多いからです。 補足 NO15の方の指摘。 例えば、スーパーの駐車場で運転を誤ってレンタカーを破損したという事例で、「駐車場にきちんと停めていたが、何者かが車を壊した」と運転者が・・・・ の件ですが、これはその通りです。 民法上、正当と評価されるためには、自らの権利の正当性を自分の力で主張して、証明しなければなりません。これは弁論主義といって民事訴訟法上の法的責任です。具体的には証明責任という表題で議論されています。 いくら現実に正当と言っても、その上にあぐらをかいているようでは法律上保護されません。(権利の上に眠る者は保護しない) 相手が嘘をつくのなら、弁護士を雇って、その嘘をやぶる責任があります。それができないのなら、裁判で負けても仕方ありません。 だからこそ、適正な裁判という点が社会問題になっているのです。 普通の感覚とは違うようですが、法律の話としては、とても常識的なことです。 「借りたものは・・・。」5歳の子でも分かるとありますが、法律のお話は、5歳の子には理解できません。 道徳、教育としてお話ししてあげてください。
- matthewee
- ベストアンサー率74% (261/350)
1.修理工場が代車を「男」に貸し出し、「男」は修理完了まで代車を占有し(=保管、使用)修理完了と同時に代車を修理工場に返却するという契約において、修理工場は代車をこの期間を通して「男」に貸すという“債務”を負い、「男」は代車を汚損したり傷つけたりせず保管、使用し(民法400条)、この期間満了までに修理工場に返却するという“債務”を負っています。 ※回答は、代車の賃料を必要としない使用貸借(民法593条)を前提としますが、有償の賃貸借(民法601条)であっても以下の結論は同じです。 質問文にあるように「代車を破損してしまった」のですから、現実に代車が傷ついているという事実があります。 この状態で「男」が代車を返却すれば、上記に示した“債務”を完全に履行できないということで、修理工場は「男」に対して債務不履行を理由に損害賠償を請求することができます(民法415条)。 2.ここで問題になるのが、債務不履行の要件です。 民法415条の要件は、(1)債務不履行の事実があること-質問文では、代車が破損しているので、この事実は容易に証明できる-、(2)債務者に帰責事由があること、の2点です。 ところで、債務者が債務不履行に関して無過失であると主張しても、債務不履行の要件である帰責事由がないと単純には断定できません。 もし、不可抗力が原因であれば、債務不履行責任は原則として免責されます。この場合の不可抗力とは、戦争や大災害のような予想不可能な事態をいいますが、このような非常事態に巻き込まれたものでなければ、債務不履行責任において「債務者に過失がないので免責される」とは簡単に言い切れないのです。 実際に、帰責事由なしとして免責された事例はほとんどないはずです(=勉強不足ゆえに私が知らないだけかも知れません。判例をご存じの方は、裁判所、判決期日を明記して補足して下さい)。 3.さて、質問文の「運転者は交通法規を守り走行しており、何の故意・過失も無いので損害賠償に応じる必要は無い」というのは、詭弁でしょう。というより、論理のすり替え以外の何物でもありません。 「男」は、「代車を汚損したり傷つけたりせず保管、使用し、決められた期間満了までに修理工場に返却する」という“債務”を負っています。 要するに、この債務を「男」が履行したか否かが論点です。「男」が制限時速80km超のスピード違反をしようが、交通法規を守って安全運転をしようが、債権者である修理工場には全く関係のないことです。 確かに「男」が運転していた代車とトラックとの間の物損事故に関して、「男」には過失はないと主張できるのかもしれません。 しかし、「男」の主張は、この対トラックとの物損事故において過失がないから、代車を汚損したり傷つけたりせず返還するという債務についても過失はないのだ、と論理のすり替えを行っています。 代車を破損させたままの状態で修理をせずに返却したという事実そのものが、代車の返還債務に関しては「男」の過失です(=要するに修理する義務があるのに、それをうっかり忘れて返却したということ)。 したがって、一部破損した状態で代車を返却した事実が、「男」の債務不履行を示すものであり、大災害に巻き込まれたなどのような不可抗力を理由としない限り、「男」の損害賠償責任は原則として免責されないというのが結論です。 ※もっとも、「行政上の規則を守っていたからといって、当然に無過失とはいえない。臨機応変の措置をとらなかった場合には過失ありというべきである。(米倉明東京大学教授著「プレップ民法」より引用)」ので、例えば過積載を疑われるようなトラックが接近してきたら、何らかの回避行動は取るべきだし、それを取らなかったとしたら対トラックとの物損事故についても「男」には少なくとも過失があった可能性もあるのではないだろうか。 4.少し質問文と離れますが、例えば、スーパーの駐車場で運転を誤ってレンタカーを破損したという事例で、「駐車場にきちんと停めていたが、何者かが車を壊した」と運転者がうそを言えば、車の破損に関して運転者の過失なしとして損害賠償責任が免責され、正直に「自分が車をぶつけて壊した」と言えば損害賠償責任を負うことになるのですか。 こんなばかな話はないでしょう。 「借りたものは元の状態にして返す(=No.2の回答文から引用)」。5歳の子どもでもわかる社会の基本ルールです。
- merlionXX
- ベストアンサー率48% (1930/4007)
> 債務不履行責任を追及するのであれば、相手方に故意・過失は不要だ」と書いているように読めます。 確かに。それはご指摘の通りです。 しかし、債務不履行責任の場合、不法行為と異なり挙証責任が被告側にある以上、証明がはなはだ困難と思われる無過失の証明が出来るという前提で無責とアドバイスする方が質問者に誤解を招くのではないかと思います。 現実にレンタカーを借りてそういう主張がすんなり通るとは思えません。
質問者は、法的な言い分について聞いています。 その言い分が、訴訟において実際に立証されるかどうかまでは問題としていないように思われます。 設問は、「(1)運転者が交通法規を守り走行していたところ、対向してきたトラックの荷台から落ちてきた石で代車を破損してしまった。(2)そうであれば、運転者には故意も過失もないはずだ。(3)何の故意も過失もないのだから、責任は負わない。」この主張が、法的に正当なのかどうかだけを聞いています。 交通法規を守っていたというだけでは、故意・過失がないとは言い切れないので、(1)から(2)へのつながりには疑問を感じますが、(2)であれば、(3)でしょう。不法行為責任にせよ、債務不履行責任にせよ、故意・過失がないのであれば、原則として責任は負わないのですから。私は、No3,6さんの言い分が全面的に正しいと思います。 ・・・というよりも、 No4さんの記載からは、その記載時には、「不法行為責任を追及するには、相手方に故意・過失が必要だ。しかし、債務不履行責任を追及するのであれば、相手方に故意・過失は不要だ」と書いているように読めます。そうであれば、明らかに誤っていますよね?(金銭債務等、特殊なものは除きます) その後、様々な回答者に自分のミスを指摘されたので、なんとかこじつけて正しく見せようとしているだけなのではないでしょうか・・・。初めは実体法の話をしていたのに、いつの間にか訴訟における立証活動での話へと議論をすり替えていますよね?間違えたときは、素直に間違いを認めることも大事だと思います。
- merlionXX
- ベストアンサー率48% (1930/4007)
> 避けられない事故により、加害者は誰だか分からないけれど、借り主以外の者の責任によって、代車の傷が付いたという程度の証明 だからそれをどうやって証明するんです? やったことの証明ならわりと簡単でしょうが、やっていないという証明はきわめて困難なのでは?
一番直接的な証明は、そのとおりです。 ただ、ここでは、貸し主と借り主の間の義務違反が問題となっているので、「特定された加害者によって、損害が生じた」という点までは証明はいらないと思います。 避けられない事故により、加害者は誰だか分からないけれど、借り主以外の者の責任によって、代車の傷が付いたという程度の証明で足ります。 あとは代車を運転していた男が、交通規則を守っていたかですが、これは事故の状況、たとえば、代車の傷の位置、程度、などから、時速何キロくらいで、道路のどの辺を走行していたかが、ある程度わかりますので、男が十分に注意して運転していたかを判断できます。 こういういろいろな状況を判断して、避けられない事故であったと判断されれば、借り主に債務不履行責任がないと判断されます。
- merlionXX
- ベストアンサー率48% (1930/4007)
債務不履行の場合、このケースでは借主に責任がないことの挙証責任は借主にあるのですよね。 では、車の破損の原因が対向してきたトラックの荷台から落ちてきた石であり、自分の責任ではないということを証明するのでしょうか?
A NO7,8については、同意見です。 賛成します。
さらに言えば、本件は事故に伴う代車の貸借ですから、当然運転しての使用が前提であって、単に飾っておくだけの物の貸借よりも、無過失と認められる可能性が高いと考えられます。なぜなら、代車をわざわざ借りるのは、車を(公道で)使用する必要があるからであるところ、車を公道で使用すれば、他の車などが走っていることは当然で、避け得ない事故も起こりうることは分かっているからです。絵画を借りたとかですと、無過失の主張は非常に通りにくいと思いますけどね。
借主には、借りた状態で返す義務があることは確かです。しかし、債務不履行による損害賠償請求となれば、故意または過失が必要です。この証明責任は、債務不履行では不履行をしたとされる債務者にあります。 結局、借主が自己の無過失を証明すれば、損害賠償請求はできません。対向してきたトラックの荷台から石が落ちてくるというのは、通常のドライバーにとって想定外であり、一般には証明は難しいとされる無過失ですが、本件では証明できる可能性も十分あると思われます。 「債務不履行責任は、債務者が昔の場合は追及できない」のです。その意味でANo4・5は誤りです。ANo.3がかなり詳しくて正しいですね。 ANo.1はおそらく自動車賠償責任法に基づく自動車運行供用者責任を言っているのだと思いますが、自動車運行供用者責任は生命または身体についてしか適用がありませんので、本件では関係ありません。
- 1
- 2