「殺人・公文書偽造」などの訴訟名というのは、一般的な事件名のことでしょうか?
刑事事件の場合、刑法に定められた犯罪の場合は罪名が事件名(例:殺人事件、公文書偽造事件)になります。刑法以外の特別法違反の場合は、「○○法違反事件」が事件名(例:所得税法違反事件、道路交通法違反事件)です。
民事訴訟の場合は、給付訴訟では、給付の基礎となる権利が事件名になります。例えば、貸金返還請求権に基づき貸金返還を求める訴訟は、「貸金返還請求事件」であり、土地所有権に基づく返還請求権としての建物収去土地明渡し請求権に基づいて、建物収去土地明け渡しを求める場合は「建物収去土地明渡し請求事件」です。
確認訴訟では、確認の対象が事件名です。土地所有権の確認を求めるのであれば「土地所有権確認請求事件」、売買契約の無効の確認を求めるのであれば「売買契約無効確認請求事件」などです。
確認訴訟のうち、妨害排除請求権や妨害予防請求権に基づく差止め訴訟(差止め請求できる地位にあることの確認訴訟)や何らかの措置をとることを求める訴訟の場合は、具体的に差止めるべき行為やとるべき措置が事件名となります。例えば人格権としての日照権に基づく妨害予防請求権として、建築行為の差止めを求める場合は「建築差止め請求訴訟」、同じく人格権にもどつく妨害排除請求権に基づいて、工場騒音がうるさいので防音壁を設置させたいというような場合は、「防音壁設置請求事件」となります。
形成訴訟の場合は、「離婚請求事件」など形成行為そのものです。
行政訴訟も民事訴訟に準じますが、抗告訴訟の場合は処分の名前が事件名に入ります。建築確認処分取消し請求事件などです。国賠の場合は、国家賠償請求事件です。
憲法訴訟は、民事訴訟、行政訴訟、刑事訴訟のうち憲法が論点になったものに過ぎないので、独立して事件名がつくことはありません。
民事訴訟・行政訴訟の場合、事件名はほぼ無限にありますし、列挙することに意味があるとも思えません。列挙してあるサイトはないのではないでしょうか。