気密と一概に言っても、空気の気密性、湿気の気密性の2種類があります。
ある程度の断熱性能の家を建てた場合、
空気の気密性はある程度保たないと断熱性能は損なわれます。
なので、断熱性能を保つための空気の気密性は、どんな家でもしっかり取る必要があります。
しかし、家を丈夫に保つための湿気の気密性を考える際には2種類の考え方があります。
このことを言われているのでしょうか?
1つ目の湿気対策は、高気密高断熱住宅の多くが採用している。
防湿シートで建物を覆って、湿度も部屋の中に閉じこめる方法です。
この工法で、何故防湿シートが必要かというと、壁体内結露防止です。
ただし、この工法には注意しなければいけないことが2つあると思います。
1つ目の注意点は、細かいところまで気を配って施工すれば問題ないですが、
壁体内の通気を抑えるところや、防湿シートの張り方など施工を手を抜くと、
壁体内結露が起こりやすい構造になることです。
これは表に見えない部分なので、業者は簡単に手を抜きます。
2つ目の注意点は、部屋の空気湿気双方の換気が、
全て24時間換気に頼ってしまうことです。
その結果、設計がいい加減だと、空気溜まりが出来て、
家自体にも健康にも良くない住宅になってしまうことです。
基本的には、設計、施工がしっかりしていれば問題ないですが、
設計、施工が悪いと、とても酷い家になってしまいます。
2つ目の湿気対策は、建築部材の放吸湿効果を利用した湿度コントロールです。
これは、室内の空気をワザと循環させることにより、
建築部材に湿度を吸わせることにより、建物全体を一定の湿度に保つ方法です。
ただし、問題は、建築部材の質により、
湿度をコントロールできる性能が変わってしまい、理論通りの家にならないことと、
この工法では、通気層を含めた家全体の空気の循環が重要なので、
やはり、キチンとした設計、施工がおこなわれているかも大切です。
どちらの構造も、キチンとした理論や実験の結果考えられた工法なので、
正しい設計、正しい部材、正しい施工がおこなわれれば、
家に対する考え方は全く違いますが、どちらの場合でも良い家が出来ると思います。
しかし、手を抜いたり、正しい理解が出来ていない業者が施工すると、
どちらの場合も酷い家になります。
今回の質問で気になったのは、業者が、気密(防湿?)シートを貼っても、
貼らなくてもどちらでも施工できると言っているのでしょうか?
湿気の気密性を取る施工と、湿気を家全体でコントロールする施工は、
通気層の作り方など、家をつくる考え方が全く違うので、
防湿シートを貼っても貼らなくても良い家になる構造などありません。
もし、業者に「貼りましょうか?止めましょうか?」と言われているなら、
正しい施工を知らないか、していない業者である可能性が高いと思います。
そこだけは注意しましょう。
お礼
とても分かり易く説明して頂き、有難うございました。