こんにちは。No.2で回答したものです。
更なるご質問があったので、回答しますが、最初の質問に関しては、質問者様は
>現状認識を新たにしました。
とのことで、回答をご理解いただけたものと思います。
そこから更に質問をすることは、時に教えてgoo!の利用規約において、「議論のための議論」と見なされる場合があり、
削除対象となる可能性があります。
しかし、今回のご質問も、「精神障碍者と犯罪」という大きなくくりにおいて、全く無関係とは思いませんので、
質問者様にもそのあたりをご理解いただいた上、回答をお読みいただければと思います。
まず、精神障碍者が「犯罪時に保護を求める」とする質問者様のご意見ですが、
これは刑法第39条「心神喪失者の行為は、罰しない。心神耗弱者の行為は、その刑を軽減する」または、
刑法第66条「犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは、その刑を軽減する事ができる」
を意味するものと理解します。
http://www.houko.com/00/01/M40/045.HTM#s1.7
その上で、心神喪失者、心神耗弱者の定義として、
それが必ずしも「精神障碍者」を意味する物ではないことを、指摘したいと思います。
事件において問われるのは、「犯行当時」心神喪失であったか、心神耗弱状態であったかであり、
その人物が恒常的に精神障碍であったかどうかを問うものではありません。
このことから、刑法第39条は、質問者様のおっしゃるような、精神障碍者だけに許された「特権」ではなく、
犯罪を犯したすべての人物に対して、必要があれば適用されるものです。
以上の事をふまえたうえで、次に、精神障碍者の犯した犯罪について議論することの意味自体を、
ここで改めて考えてみたいと思います。
先の回答で私が示した通り、日本人の総人口は127,435,5000人、
そのうち精神障碍者は258,4000人で、日本の全人口の2%です。
さらに、その2%のうちの0.08%が、犯罪を犯した精神障害者の割合です。
日本の全人口に対する、精神障碍者の犯罪率は、ここから計算すると、0,002024%です。
これは犯罪者1136人中、1人の割合に、いるかいないかです。
これは先の回答に示した通り、日本人の犯罪率に、精神障碍者の犯罪が、ほとんど影響しないことを意味します。
そのことを理解した上で、それでも精神障碍者の犯罪について、
質問者様が疑問を持たざるを得ないというのなら、あえて回答を続けたいと思います。
まず、下記のサイトを下に、精神障碍という病気について、考察してみます。
http://human.kdn.ne.jp/news/oosaka010610.html
ここで、著者が指摘していることの一つに、「精神障害と分類するときの論証手続きの問題」があります。
>医学の進歩が、脳神経外科において目覚ましい進歩を遂げているのに比べ、
>同じ脳という器官を扱う・・・精神科の分野の水準が未発達という背景があります
例えば分裂病(統合失調症)という病気に関しては、客観的・物理的測定方法がなく、
臨床の場ではその診断は、医師の主観的判断に頼っているというのです。
それは、「病名の判別よりも、生活でどのような不便を実際しているのか」
といったことが、どのカテゴリに属するかを考えるより、「治療行為としては一定の成果をおさめて」いるからです。
(以下は私の個人的な解釈ですが、これは頭痛がしているひとに対して、
それがどんな病名に当たるかにこだわるよりも、
対処として頭痛薬を渡した方が効果がある、ということに似ていると思います。
そうして頭痛薬を渡しているうちに、頭痛そのものが治って行くとあれば、臨床の場ではそうした治療が一般的になることは、うなづけます。)
ただし、そうした臨床の場とは違って(前回のご質問で私が回答したような)統計としての「精神障碍者」については、
病気に対して客観的・物理的測定方法がないということが、大きな問題となるのです。
氏の言葉を再び引用しますと、
>特的の事件と因果関係があるとする容疑者の付随性質を、
>『分裂病』、『躁鬱病』、『パーソナリティ障害』、『境界例』、
>『神経症』、『中毒患者』、『てんかん』その他、
>ひっくるめて精神障害というカテゴリーのなかに、
>いかなる手続きでもって分類しているのか、この手続き自体が、
>統計として成立するには科学性に非常に疑いがある
つまり、このような中で語られる「精神障碍者」というものが、
氏の言う「事実とは異なる仮定上・想定上の集団」であり、
事実にはまるで即さない、不正確な定義であるということです。
更に、この脆弱でおおざっぱなくくりの「精神障碍者」のなかの、
果たして何%が病気を理由にして犯行を犯しているのでしょうか。
例えば生活苦が原因だったり、怨恨が原因だったり、犯罪の理由や動機というのは、個々の状況において様々です。
精神障碍者の犯行と言うとき、私たちは直感的に「病気だから犯行をしたのだろう」と思いがちです。
ところが、精神障碍者が犯した犯罪が、「精神障碍」が理由であるかどうかについては、
統計上、いっさい論じられていないのです。
ただ、犯罪を犯した人が「精神障碍者」であったと、それだけなのです。
例えば、犯罪を犯した人が「心臓病」であることをことさらアピールする社会は、おかしいと思いませんか?
ここで話をまとめます。
日本の全人口の0,002024%という極めて少数の、
定義自体が極めてあいまいで信憑性のない「精神障碍者」という「仮定の集団」が犯した、
精神障碍が理由とも分からない犯罪について、
誰にでも適用される心神耗弱・喪失という刑法が適用されたからといって、
それがなぜ「極めて不当・残酷」なのでしょうか。
このような仮定の上に仮定を重ねた、まるで現実とは乖離した議論に、
いったい何の意味があろうかと、思わざるを得ません。
お礼
なるほど。再度のご教授ありがとうございました。 私の疑念は精神障害者に対してと言うよりもむしろ >刑法第39条「心神喪失者の行為は、罰しない。心神耗弱者の行為は、>その刑を軽減する」 この理不尽さに対するものだと思いました。 要するに泥酔者であろうが麻薬中毒者であろうが、そして精神障害者であろうが等しく処罰しないで何の「平等」であろうか?? この条文は廃止した方が良いのではないか? ということです。 ですが本質問内容とブレますので、また機会を改めて質問しなおしたいと思います。 ありがとうございました。