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ウィルスとは何でしょうか?
ウィルスは生物であると考えて間違いないですか? あるいは、生物のDNAに影響する有害な物質でしょうか? 生物と物質の中間体でしょうか? 私の認識では、「不完全なDNAもどき」であって、細胞を持つ生物より一段下の存在です。 正直、どう捉えていいのかよくわからず、自分では説明できません。 皆様の捉え方を教えて頂けると嬉しいです。
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一応専門家です。 まあ生物と考える他ないでしょうね。生物の定義の中に「代謝を行う」を入れれば、ウイルスは生物とは言えなくなります。 >私の認識では、「不完全なDNAもどき」であって、細胞を持つ生物より一段下の存在です 遺伝子としては不完全ではないですよ。遺伝子にDNAを持つウイルスもRNAを持つウイルスもいますが、それぞれ「遺伝子を複製して残す」という意味では見事に進化した戦略を持っています。 私は素人さんにウイルスを説明するとき、「ウイルスは遺伝子とそれを包む殻だけの存在」という表現を使っています。 ウイルスの増殖方法などを理解するには、細胞での遺伝子の発現や複製の様式を理解しないと不可能なので、例え話も使います。 1.細胞は1つの工場 設計図、設計図をコピーするコピー機、実際にモノを作る機械、材料や製造した製品を出し入れするライン等で構成される。 2.ウイルスは段ボールの箱に設計図だけが入った状態のモノ 「工場」の大きさとして40人くらい入る教室、ウイルスを一抱えくらいある段ボールの箱、と例えれば大きさの比率も当たらずといえども遠からずといったところです。 3.段ボールには鍵が付いていて、工場のドアを鍵を開けて入る その工場のドアはもちろん、わざわざウイルスのために用意されているのではなく、材料や製品を出し入れするためのドアだったりします。 4.工場に入った段ボールの中から設計図が出てくる 5.設計図は工場にあるコピー機でコピーされ、工場は設計図に従って製品(=ウイルス)を製造してしまう という説明です。相手によってもう少し詳細な説明が必要な場合は、段ボールに入っている設計図の話をしますね。 つまり、工場中の設計図は普通紙に印刷されたモノ、とすれば、ウイルスの設計図にはいろんなパターンがあると。 1.普通紙(工場のと同じ) 2.感熱紙 3.感熱紙の白黒反転 この場合、工場にある「コピー機」は普通紙から感熱紙にコピーする機械ということになります。 段ボールの箱に入っている設計図の種類によって、「ウイルスが複製されるまで」の過程に色々あるわけです。 モノによっては、段ボールの箱には白黒反転の感熱紙から通常の感熱紙にコピーするための簡易コピー機が入っていたり、とか。 1種だけ、感熱紙から普通紙にコピーするコピー機を持っているやつもいますが。 後半部分はもう既にかなり専門的な話になっていますが、前半部分は「ウイルスとは何か」を感覚的にざっくり理解するのには、我ながらとても良い例え話、と悦に入ってます。
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Jagar39様は80年代後半に学生でしたか、じゃ、どうやら私の方が少し後輩のようですね(笑) 90年代の始めに受けた生物学の講義で、教授の言った「80年代の後半にはこういう考え方が主流だった」という言葉が忘れられません。 5年も経たないうちに古い情報になってしまうなんて、高校までは教科書がすべて正しいと思っていたので衝撃でした。 実際、研究室に入ると3年前の論文なんて役にたたず、文系の友達が「研究に使う本を本屋さんで買う」という話を信じられない思いで聞いていました。 プリオンの話も当時は「そんな病原体があるらしい」という話を講演会で聞いて半信半疑だったけど、今ではBSEもメジャーになりましたよね。本当にこの世界は日進月歩です。 淡々と研究を続けることも大切だけど、なぜ?と思うことや、物事を分類していくことも大切ですよね。こういう質問をして下さって質問者様に感謝します。
お礼
人に説明することは、自分が理解することに役立つかも知れませんね。 私はここでは質問ばかりしてますが、仕事では、どうすれば見る人が理解してくれるかよく考えます。 わかっている事と、わかっていない事をハッキリするのも大切だなと思います。 ソクラテスの弁論ですね。 「私は知らないということを知っている。その分だけ私は他者より賢い」 どこまでが確かな知識なのか、いつも興味を持っています。
ワトソンの遺伝子の分子生物学は私も読みました。研究室にあったので。第4版は確か95年頃の出版でしたよね。 ただこの本、初版は1965年なので、ところどころにかなり古い記述が残っているという認識はしていました。だからといってワトソンに文句言うやつぁいないと思いますが・・・ 最小の生物はマイコプラズマですか。 確かにウイルスの実験をしていると、よくマイコが培養系に混入します。死んだ動物の肺から肺炎に関与するウイルスを分離したい場合など、もう確実にマイコがいますからね。そのマイコをどうやって排除するか、いつも頭を抱えます。 場合によっちゃ0.2μmのフィルターも通ってしまうので、完全にマイコの迷入を防ぐのは難しいです。 ウイルスが分離できたと思って喜んで電顕写真の撮影を依頼したら、写っているのがマイコだらけだったりすると脱力しますね。 だから私、マイコは嫌いです(って好き嫌いの問題か?)。 10年前、といえばプリオンはまだきちんと認識されておらずBSEもvCJDも「スローウイルス感染症」などと言われていた時代ですね。 うちの職場にも、「スローウイルス感染症とプリオン」なんて題名の本があります。読むと80%が今では間違いと判明した記述なのでなかなか楽しいです。 ウイルスって、その存在が証明されてたかだか100年ちょっと(1898年のこと)で、タバコモザイクウイルスやバクテリオファージなどで、その立体構造の研究がされていたのが1950年代くらいでしょう。 実際はウイルスって遺伝子と殻だけの存在ですから、正体が判ったのは少なくともワトソン・クリックがDNAの正体を解明してからの話です。 それも「遺伝子学」なるものが確立し、DNAやRNAの複写様式などが詳細に調べられるようになったのは、PCRの技術が確立した1980年代以降の話ですよね。 私が学生の頃は1980年代後半なのですが(私も歳がばれる・・)、当時の「分子生物学」の教科書を今読むと、本当に愕然として遠い目になっちゃいます。 本当にこの世界は日進月歩ですよね。だから面白いのですが。
お礼
マイコプラズマについてWikiで調べました。 肺炎の病原体になるそうで…。 可塑性があるので、フィルターを通過してしまうのですね。
書き忘れましたが、#7=#1です。
Jagar39様は専門家でいらっしゃるので、私の年がばれちゃいそうなんですが(笑)、私が根拠にしてるのは「ワトソン 遺伝子の分子生物学 第4版」で、センテンスの一つに「マイコプラズマは最小の生命体である」という見出しがついています。つまり、少なくとも当時は「マイコプラズマは生命体で、ウィルスは生命体ではない」という考え方が示されていました。 が、10年以上前の本なので、今は考え方が変わってるのかもしれませんね。質問者様、そういう背景があるので私の意見は割り引いておいて下さい。 それと、私は細菌系の遺伝子屋くずれなんですが、学部(医、薬、理、農、工などなど)や研究系統が違うと考え方が違う、という話は当時から聞いてました。 実際、そういう自分が常識と思ってた事と違う意見を聞けるとワクワクしますね。
お礼
そういう裏話がきけるのも面白いです。 私は理系崩れで、もともと科学が好きで憧れ、勉強しましたが、別の夢を持って遠ざかっていきました。そんな今でも、趣味として数学の勉強をしてたりします。もし、理系のまま大学に進んでいたら、何の研究をしたんだろうな、と考えてしまうこともあります。 ちなみに今は映像クリエーターです。 コンテンツによっては広範な知識が必要ですし、色々なことを広く浅く勉強してます。 私にとって、科学の最先端を行く研究者の方はヒーローですので、ぜひ色んな話をきいてみたいですね。取材とかもしてみたい。
Jaga39です。 >バクテリアも大きさは変わりますよね。1細胞の大きさが変わらずに分裂を繰り返すことは不可能です それは「細胞の大きさ」は決まっていて、分裂した後その大きさまで復帰するだけのことです。栄養を与えると大きくなるわけではないので、細菌屋は決して「成長」とは言いません。 「自己増殖」についてですが、ウイルスは自分でリボゾーム等の細胞内小器官を持たないため、生きた細胞に侵入しないと増殖することはできません。 しかし、DNAを遺伝子に持ち、細胞のRNA合成酵素を使ってmRNAを合成するもの、RNA合成酵素も自分で持ち込むもの、RNAを遺伝子に持ち、自らのRNAがそのままmRNAになるもの、-鎖のRNAからRNA合成酵素(これはもちろんウイルス自身が持ち込む)を用いて+鎖のRNAを合成し、それをmRNAとするもの、そしてRNAからDNAを合成する逆転写酵素(自然界ではレトロウイルスしか持たない)を用いて自らの遺伝子からDNAを合成し、宿主のゲノムに組み込んでしまうものと、その増殖戦略は極めて多彩で高度です。 宿主依存性の増殖というと、すこぶるシンプルな構造や戦略を想像しがちですが、私にはこれだけ多彩で高度な増殖戦略を持つに至る進化を遂げたウイルスを「無生物」と捉えることには、どうしても違和感がありますね。 >ウイルスも長い年月の中で進化によってその能力を手に入れたと考えるべきでしょうか? そういうことでしょう。ヒトの遺伝子の中にもレトロウイルスの残骸はいくつも見つかっていますから、ウイルスはウイルスとして、長い時間をかけて進化を続けているのでしょう。 そういう意味では、「遺伝子のコピーを残し、存続させる」という、生物の存在意義を最もシンプルに具現化していると言えると思います。 ですから、ウイルス屋の中には「ウイルスは生物ではない」と考えている人はほとんどいないんじゃないかな。元々どっちでも良いのですが、私も含めて大抵のウイルス屋は、自然に生物として捉えていると思います。
お礼
細かいことはもちろんシロウトですから、わかりませんが、やはり進化なくしてはありえない高度な構造を持っているということですね。 私も勉強すれば、その凄さがわかるのでしょうね…。 いずれは、今書かれていることが、高校の教科書に載るのでしょうか? 受験生は年々大変になりますね。 科学は膨大な量の発見が相次いでますから…。 最新の理論に追いつくだけで、30年、40年かかるという時代がそのうち来るのかも知れませんね…
- lamb1204
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ウィルスが専門ではありませんが、1さんの回答がもっとも適切な回答だと思います。 3さんも指摘しておられますが、一番問題なのは、「生物」の定義です。 私が学部生の頃に受けた大学の授業でも、生物の定義の中に「自己増殖」と言う項目があったように記憶しています。代謝ばかりでなく、この項目によっても、ウィルスは生物の定義から外れてしまうことになります。 ぶっちゃけ、個人的には、生物でも無生物でも構いませんが、ウィルスの起源によっても意見は変わってくるのではないでしょうか? 確かRNAワールド、DNAワールドなどという言葉が存在していた頃は、ウィルスが物質から生物の進化上の境界という扱いだったとように思います。しかし、現在は生物なしに増殖できないウィルスは、生物が発生してからの存在ということになっていたと思います。では、そのウィルスは、もともと細胞のある生物が余計なものをそぎ落としていった結果なのか、それともたまたまそういう構造体があったのか。その辺がどの程度わかっているのかは、私も興味があるところではあります。 余談ですが、バクテリアも大きさは変わりますよね。1細胞の大きさが変わらずに分裂を繰り返すことは不可能です。
お礼
ご回答ありがとうございます。 >確かRNAワールド、DNAワールドなどという言葉が存在していた頃は、ウィルスが物質から生物の進化上の境界という扱いだったとように思います。しかし、現在は生物なしに増殖できないウィルスは、生物が発生してからの存在ということになっていたと思います。では、そのウィルスは、もともと細胞のある生物が余計なものをそぎ落としていった結果なのか、それともたまたまそういう構造体があったのか。その辺がどの程度わかっているのかは、私も興味があるところではあります。 これは私もかなり興味があります! いったいどうなんでしょうね?
- wacky2
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ウイルスは,宿主細胞の細胞小器官や物質を使って,DNAの複製とタンパク質の合成を行います。宿主細胞を一時的に自分の細胞とするわけです。解釈によっては細胞をもつので,生物と考えてよいと私は思います。 しかし,ウイルスは単なる分子の固まりであり,生物とはいえないという考えもあります。実は,生物の定義が不明確なのです。今後の研究により新しい事実が明らかにされ,明確な生物の定義を示すことができれば,この問題に決着がつくのかもしれません。 冥王星が惑星であろうがなかろうが,冥王星の存在そのものが違ってくるわけではありません。同様に,ウイルスも生物に分類されたってされなくたって構わないとも思っています。ウイルスを研究する学問の重要性が変わるわけではありません。
お礼
ご回答ありがとうございます。 確かに定義よりも、その事象について研究することの方が遥かに有意義だと思います。 おそらく、シロウトというものは、自分にはよくわからないので何かしらその事象に名前をつけて安心したいのだと思います。 お恥ずかしい限りです。
No.2補足です。 現実にはウイルスは微生物であるという扱いになっています。「生物ではない」という考えが主流という私には認識はないです。生物学のある分野ではそのような論議になっているのでしょうか。 まあウイルス学者の間では「ウイルスは生物であるか否か」という哲学的な議論は、あまり盛んではありませんけどね。現実に変化しながら増殖し、悪さ(病原体となる)しているわけで。 「ウイルスは生物である」という主張の論拠もひとつ挙げておきます。 ウイルスは遺伝子を持っていますが、そのDNAなりRNAのコードはヒトもウイルスもほぼ同じです。 具体的には、例えばATGで開始コドンを意味するという「暗号」がヒトとウイルスだけでなく全ての生物でほぼ同じなのです。 つまり他の生物と共通の言語でプログラムされていて、自己増殖は不可能なものの、増殖している、という事実は、これは生物であるという論拠になるわけです。しかもかなり強力な。 自己増殖できない、というだけでしたら、細菌の中にもいくつか細胞内寄生性のものがあります。クラミジアとかがそうです。 ちょっとNo.1さんのツッコミなのですが、 >これに対してバクテリアは、成長する(大きさが変化する) 大きさは変化しませんよ。分裂はしますが大きさは変化しません。
お礼
さらにご意見ありがとうございます。 ウイルスについて、生物として扱うかどうかは専門家の方の中でも統一されていないというだけで、私には大きな発見でした。 子供に「生物はなぜ生まれたの?」ときかれたときに、そもそも生物とは何かがわかっていないと答えることができません。ところが、その定義も実はまだちゃんとできていないのだということが、今回の質問で明らかになったと感じています。 その点、「生物に共通の言語プログラム」とは何か興味が湧いてきます。 もし地球外生命がいたとして、彼らも同じ言語プログラムを持つでしょうか? それとも全く異なる物質で「言語プログラム」を生み出しているでしょうか? 興味深い…
ウィルスが生物かどうかは、研究者の間でも意見が割れていたと記憶してますが、主流の考え方は 「ウィルスとは核酸とタンパク質から構成される粒子で、生物ではない」 というものだと思います。 生物ではないという考え方の根拠は 1.成長しない(ウィルス粒子の大きさが決まっている) 2.自己増殖できない(自分では核酸やアミノ酸を合成できないため、提供してくれる宿主が必要) 事です。 これに対してバクテリアは、成長する(大きさが変化する)、自己増殖できる(低分子の材料から核酸やアミノ酸を合成できる)ので生物です。
お礼
ありがとうございます。 参考になりました。
お礼
ご回答ありがとうございます。 例えを読んで思ったのは、ウィルスは非常に単純な体しか持たないのに、その機能は非常に高度なのだということです。 それは、ウイルスも長い年月の中で進化によってその能力を手に入れたと考えるべきでしょうか? それとも、常にウイルスはどこかで大量に生まれ続けていて(宇宙から飛来してるときいたことがあります)、そのうち偶然上記の機能を発揮できるものが生物を使って複製を始めるということで、常に突発的に発生する存在なのでしょうか? それから、ウイルスは全てRNAしか持たないと私は誤解をしてました。DNAを持つウイルスもいるのですね。私は、生物であるかどうかの境界線をそこで引いて考えてました。でも、その論理は通用しないことがわかりました。 大変丁寧なご意見ありがとうございました。