100%ぶどうジュースの場合ですが、こういう線のあとは、密閉容器のなかでもできます。「密閉度」が容器において保証されているというのは、例えば、炭酸飲料の場合、蓋を開けると、一気になかの気体や液体が外に溢れてきたり、泡が沸き上がって来ることから分かるでしょう。空気が外部とのあいだで流通があれば、炭酸飲料は、時間と共に気抜けして来ます。
炭酸飲料の場合は密閉で、ぶどうジュースの場合は、空気流通があるとは考えにくいです。何故なら、空気流通があると、外気の最近が内部に入ってきて、余計な発酵・腐敗作用が起こり、内部のぶどう液が変質するので、そういうことがないように、密閉容器なっているはずだからです。
従って、単純に蒸発によって、線のあとが残るというのは、そのままでは、妥当な答えとは云えないと思います。
ぶどう液の場合、懸濁液であるのは事実ですが、その場合、液体成分と固形成分は、固形成分が重量的に重いので、下に沈むという効果が出てきます。ジュースは飲む前によく振ってくださいというのは、沈殿で、底の方に固形成分が集まっているからです。
では何故、線のあとができるかと言えば、一つは、これは、空気とぶどう液成分のあいだの化学反応で、ぶどう液の成分が少し変質し、それが固形成分の形になって、ガラス面に付着する結果、線ができるというものです。化学変化と言っても、軽い酸化であって、酸化した成分が表面張力で、少し持ち上がっている縁の部分に集まり、これがガラスに付着するということです。
それともう一つは、ガラス瓶などに密封した後、瓶自体が、温度変化に晒されるので、内部の開いた部分、つまり、空気が入っている部分の温度も変化し、飽和水蒸気量も変化するので、暖かくなった時、僅かな蒸発が起こり、その時、ごく薄い膜になっている、表面張力で上に薄く盛り上がっている部分で、糖分などが固形化して、瓶の壁面に付着し、これが、上の酸化変質などと一緒になって、線を構成するのだろうと言うことです(表面で酸化した成分は、表面張力で、縁に集まって来るのだとも思えます。あるいは、沈降するので、表面には見えなくなるのでしょう)。
瓶が冷えると、また、水蒸気が水になりますが、壁面に付着した部分は、変質しているので、再度、液体に浸っても、元に溶解して戻らないし、また、ガラスと一旦、付着すると、この付着成分は、離れなくなるので、このまま残って、線となるのでしょう。(なお、底の部分では、顕著な付着の線はできません。酸化変質と蒸発が、くっきりした線ができる理由でしょう)。
どのぐらいで出来るかは、密封状態の瓶のなかだと、かなり時間がかかると思います。最低で数日か、または温度変化を経過するとできるものではないでしょうか。
ちなみに、(赤)葡萄酒の場合、瓶のなかに線のあとを見たことがありません。葡萄の固形成分が少ないのだということになりますが、グラスに注いで時間が経過すると、やはり線が出てきます。(日本酒清酒では出てきません。またはほとんど分かりません)。これは、多分、瓶のなかに保存されていた時は、瓶のなかの空気が、水蒸気よりもアルコールで飽和していて、空気による酸化が起こりにくいいためだと思います。ワインの瓶を開けると、ワインの香りがするのは、ワインの瓶のなかの空気に、アルコールが気化して溜まっていたことを示すのです。(ワインの場合は、そういう記憶があるのですが、違っていたかも知れません。ぶどうジュースの場合の説明とは、一応独立した話です)。
お礼
なるほど、表面張力ですね。たいへん参考になりました。ありがとうございました。