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共有結合結晶の液体の導電性
共有結合結晶を融点以上にして液体にした場合、 電気は流れるのでしょうか? 結合がどのように切れるのかが問題ですよね。 均等にラジカルが出来るように切れるのか、 不均等にイオンが出来るように切れるのか。
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以下のパターンが考えられると思います; 1)共有結合が開裂しない; 共有結合の結合力が強い一方で、結合の自由度は大きいために、配列の 歪みによって流動性が確保される場合です。 例としては、石英の溶融など。 共有結合は(ほぼ)開裂しないので、導電性の変化も(概ね)ないものと 思います。 2)共有結合が開裂する; i )金属への相変化の後に融解; 熱によって励起した電子が安定に存在できるエネルギー準位に空軌道が ある場合です。 例としては、No.1の方も挙げられている錫など。 (α-スズ(共有結合)→β-スズ(金属・固体)→液体) 励起先の軌道が複数原子で連続的に重なることにより、通常の金属と 同様の伝導帯が形成されるので、導電性を持ちます。 (基底状態では閉殻となるのに対し、電子の熱励起により閉殻でなくなる ことで、励起先の軌道で電子は実質的に自由電子となる) 但し、常に「共有結合結晶→金属(固体)→金属(液体)」という相変化を伴う (→直接液体になるわけではない)と思われますので、今回のご質問の 「共有結合結晶の液体」に合致するかは微妙です。 ii)低分子を放出; 結合の自由度が小さいために「1」のような液化もせず、励起エネルギーが 大きいために「2-i」のような安定化も起こせない場合です。 炭素(ダイヤモンド)がこれに当たると思います。 この場合は、分子結晶での昇華と同様に液体は経由しないと思います。 ・・・といったところでしょうか。
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- anthracene
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DexMachinaさんの回答を拝見して、なるほど、と思いました。 炭素の液化状態などは高温・高圧でしか実現しませんから、おっしゃるように金属状態を経由して、液化金属のようになっていると考えられますね。
- anthracene
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大変おもしろいお考えだと思います。 私も素人なので、想像の話でもうしわけありません。 まず、結合がどのように切れるか?ですが、おそらくはホモリティックに開裂し、ラジカル対になると思います。これは有機分子を加熱した場合からの類推ですが、電子的に偏りが無い結合の場合は均等開裂してラジカルが発生します。高周期元素間の結合なら、なおさら容易に切れます。 しかし、完全にばらばらになってしまったら気化するはずなので、液体中に生成しているのはクラスターだと思います。 原子数十から数百個が固まりになった分子状の物質です。 ケイ素やゲルマニウム、スズ、リンなど高周期元素では、表面に配位子を取り付けることでこのようなクラスター化合物が安定に単離・構造決定されています。 肝心の電気伝導度についてはどうでしょうか? 分子性物質が流動している状態だと、電気は流れないことになってしまいますが。 しかし、スズの電気伝導度を科学便覧で見ますと、融点以上でも固体状態の融点とほとんど変化していません。 スズだとかなり金属性が高いので、液化していても自由電子的なキャリアが発生しているのかもしれません。 考えれば考えるほど、分からなくなってきました(汗 私も、どなたか専門家の方の解説を楽しみにしたいです。