厳密に言えば、不渡りが即倒産ではないのですが、事業者(個人・法人)で手形不渡りの場合には銀行借入の期限の利益喪失となり、時間を置かず倒産へと繋がるのがほとんどです。民事再生の場合には業者側の事業継続がされますが、工事の進行費用・資材の仕入等を都度発注者が資金負担しながら工事を完成させる事が現実に可能かどうか、ということになりそうです。
建物建築請負契約締結の上で、前払金を交付した業者が倒産となった場合には、前払金額と工事進捗・材料購入のウエート次第で、倒産の時点でどちらに債権があるのかで扱いが違ってきそうです。
(1) 前払金<工事進捗基準
債権・債務の関係上は、工事業者側に代金請求権があることになりますが、発注側としては、工事途中での業者の倒産をとらえて工事請負契約の解除・損害賠償の請求という形で、破産財団・破産管財人に対して自身で納得できる水準で差額を支払うのか、むしろ超過した損害額を請求する(債権届出をする)のか、になりそうです。
(2) 前払金>工事進捗基準
この場合には、未消化部分の工事分に上記同様の契約解除による損害額を加えて破産債権の届出を行うことになります。
(3) 現実的な対応策
工事業者の債権者として破産債権の届出をした所で、ザックリと言えば2年以上時間をかけて債権額の10%程度回収ができれば良い方です。この場合には、現時点で土地に付着したコンクリートの塊(あくまで例えです)+2年後の50万円(仮に)が質問者の支払った1300万円の対価と考える他ないことになります。
建設業者の倒産・民事再生の場合には、工事進行中の現場については破産管財人弁護士の調整により、同業他社が残工事を引き受ける、という解決策がとられるケースがあります。この場合には、追加で○百万円(ケースバイケース)を負担して別業者へ工事継続を引き受けてもらうということになりそうです。