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日本とアメリカのコーポレートガバナンスを比較して
タイトル通りなのですが、日本とアメリカのコーポレートガバナンス を比較するにあたって日本にとっての短所と長所、 アメリカにとっての短所と長所はどのようなところなのでしょうか?
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日本とアメリカといっても様々な形態があるので、一般的なという前提でお答えします。 いわゆるアメリカ型ガバナンスの基本は「所有と経営の分離」です。会社を所有する「株主」と、その代理として会社の経営方針等を定める「取締役」、日々の経営の実務を執行する「執行役員」の3つに分かれます。 アメリカは世界的に見て、最も原理的な資本主義を実践しています。会社は株主のものであるというのが共通認識です。一般の従業員も、個人や年金等を通じて株式を保有しているので、この認識はいわば常識として通用します。 株主の説明は不要ですね。株主が直接経営の監視は出来ないので、代理人である取締役を雇います。社内に利害関係のない人物を選ぶため、通常独立取締役とされます。独立の定義はNYSEの上場基準に定められています。取締役が株主の代理としてもつ権限は、CEOなどの主な執行役員の人事権・報酬設定権、経営目標の策定、配当、大きな経営決定権限などです。執行役員は、例えば「自動車販売10%増」という大まかな取締役会の決定に従って実務を担当することになります。 メリットは、株主の意向が反映しやすい会社となります。買収されたりしたり、という行為も株主が賛同するような提案を取らなければ、株主代表訴訟の対象になるためです。執行役員(経営者)も緊張感があるとともに、報酬や実績の評価に透明性があるため、自分のキャリアにもつながります。 デメリットは、さすがのアメリカでもCEOだけは取締役と執行役員を兼任していることが多いです。下手すると取締役会の議長(つまり会長)も兼任しており、独立取締役の力が弱ければ、オーナー経営者のような独裁者が出てしまうということです。 日本のコーポレートガバナンスは、いまだ監査役によるものです。取締役と執行役員の分離も明確ではない企業の方が大半です。 監査役は、会計法人などとともに基本的には数的なチェック機能しかもっていませんでした。経営者が法的に問題のない限り一般的にはチェックといっても権限がありませんでした(新会社法になり、少しだけましになりましたが)。 メリットは、経営陣は取締役兼任の執行役員ですので、株主の短期的な要求に応えず、長期的な経営が経営陣の自由に出来るということです。 デメリットは、会長、社長が社内の人事権を全て掌握しており、外部のチェック機能が働かないことです。アメリカで言う独立取締役のチェックがないため、しばしば暴走します。日本でも某鉄道会社など幾つか例がありますね。 ただし、過去の日本では、「メインバンク」が経営に密接に関与していました。監査役や取締役を派遣して、融資を人質にとって経営への強い影響力を持っていたというわけです。これが破綻してから、日本のガバナンスは迷走をはじめたといえます。 どちらがいいとはいいにくいですが、 1.優秀で公正な経営者がいること 2.優秀でない経営者がクビになる仕組みがあること のどちらかが満たされていればいいという点では、監査役だけではやや弱い気がします。