医療保険の報酬計算の仕事はすでにほとんどの病院でコンピュータが導入されていますから、以前ほど手間はかかりません。ただ、コンピュータ化されても、最終的に人間がチェックすることは必要なので、医療事務という仕事はなくなることは、ないと思います。
ただ、かなり前から医療事務はブームのようになっていて、資格を取った人は、すでにかなり大勢います。病院の数がそんなに増えたわけでもないのに、それほど仕事があるわけでもなく、職を得るための競争はきびしくなるばかりでしょう。
しかも、いまは病院も経費節減が必要で、医療事務の仕事はほとんどがアウトソーシング化されています。大きな病院で働いている人も、その病院の正職員というわけではなく、医療事務専門の派遣会社から派遣されていたり、事務請け負い会社の社員として働いています。
派遣が主流の仕事ですから、給料は安く、仕事は不安定です。これから参入して、一生安心して働ける仕事ではありません。
資格取得講座でもうけている会社の宣伝文句に踊らされないようにしましょう。雑誌の広告などで、「いまはこれが有利」などと紹介しているものは、すでに大勢の人が目指しているので、それほど有利ではないと思った方がいいでしょう。
ぜひとも病院で事務をしたいという意志があるのなら別ですが、ただ「有利そう」だと思ったのであれば、もっとほかの仕事を幅広く考えてみることをお勧めします。安定していて給料がよくて取りやすい資格というのは、そうそうありません。ただ、同じように給料が安くて不安定でも、自分が好きなことややりがいを感じられることであれば、続けて熱心にやっていけるし、どんな仕事でも熱心にやっていれば、1人で暮らしていくくらいのことは可能です。
病院で働きたいのであれば、事務よりも医療職のほうがいいでしょう。ただし、医療職の資格は、だいたいは学校に何年か通わないと取れません。看護師のように昼間の学校しかない資格と、理学療法士のように夜間の学校で取れる資格もあります。
人の世話をしたいということなら、介護福祉士など、介護関係の仕事も考えられます。ただ、介護保険導入前後から「これからは福祉」ともてはやされて、ホームヘルパーや介護福祉士の資格を取った人は多いので、ひくてあまたというわけにはいきません。福祉関係は、給料も安いです。
計算や数字が得意で事務職が希望なら、経理事務でしょうか。むかしからある仕事ですが、会社がある限り経理の仕事がなくなることはなく、実務経験を積み重ねていれば、評価されます。