この問題は、変換効率を理解することが必須ですね~。
で、その理解は後回しとして、水素を使って車を走らせる
場合に、燃料電池を使う場合と、「水素ガスエンジン」
を使った場合の効率は、どちらも大差有りません。
※:水素ガスエンジンが自動車で実用化されているか
どうかは不勉強故不明です。(^^;)
ただし、水素ガスエンジンでの発電効率が40%前後
ですし、燃料電池での発電効率も40%前後なので
「結局は同じ」ってことになりますわね。
なお、どちらの方式も、最終の仕事を「車を
走らせた仕事量」で捉えると、2%前後に
なると思いますよ。
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【従来型の燃焼を利用したもの】
[元]水素
↓
[変換方法]エンジンによる燃焼で、熱エネルギーを
回転エネルギーとして取り出し
↓
[最終形態]車輪を回して車を走らせる
【燃料電池を利用したもの】
[元]水素
↓
[変換第1段階]:燃料電池で電気と熱の形に変換
↓
[変換第2段階]:電気をモータによって回転に変換
↓
[最終形態]車輪を回して車を走らせる
この場合、「車を走らせる」って仕事を「車輪を回して
実現」するなら、要は何らかの方法で元のエネルギーを
車輪の回転に変換する必要があるんですが、この変換に
伴って損失が出てくるんですが、水素ガスエンジン単体
の効率は恐らく40%前後で、他方の燃料電池も電気への
変換効率は、電気へは40%前後で、その後にモータの効率
が加わりますから、最終は40%弱になります。
※:で、車輪と地面との摩擦抵抗や、車体への風の
抵抗を含めて最終は20%前後になるでしょう。
□
蛇足ですか....。
変換効率は「どの様なエネルギー源を、どの様な最終形
態に変換するか?」っていう意味で、公式としては
変換後の有効エネルギー量
---------------------- × 100 (%)
変換前の有効エネルギー量
で表されるんですが、最終形態を仕事量として捉えると
最終段階での総仕事量
---------------------- × 100 (%)
変換前の有効エネルギー量
になります。
で、最終段階をどのような形にしたいのか?
例えば、車を走らせる場合なら車輪の「回転力」に変換
しますし、飛行機ならガスタービンの回転力(と排ガス
の推力)に変換したいっと。
つまり、この「どの様な最終形」かが問題でして、質問
の中に「燃料電池は40~60%」とありましたが、これは
「電力として約40%、熱も含めると60%」って意味で
ご覧になった資料に書いてあったと思うんですね。
※:実際には、燃料電池は電力として40%前後
熱も含めて80%前後が現在の主流です。
ところが、燃料電池で熱を取りだしても、そいつは車の
推進力には(現状では)使えませんから、ガスエンジン
と燃料電池の効率はトントンに落ちちゃいます。
※:現在でも、廃熱を回転力に変換する技術は
大きな機械では実現できていまして、工場など
では珍しくもなく稼働しているんですが、車に
搭載できる軽量・小型の物は実用化されていない
と思います。
お礼
大変丁寧でかつ迅速なご返答をありがとうございます。 水素を燃焼させてエネルギーを取り出す方法はBMWが採用していたと思います。 廃熱利用もできる燃料電池は発電所での方が活躍しそうですね。 回答を読んでまたもう一つ質問が出てきたのですが、エンジンは昔から大金をつぎ込まれて研究されてきた一方でモーターはエンジンほど力を入れられてきていないように思えます。畑違いであまりよくわかりませんが、もしこれからよりよいモーターが開発されると「回転力」までのエネルギー変換効率はエンジンのよりずっとよくなるということは起こりうるでしょうか? 最後に変換効率がトントンと言ってある文献をありましたら紹介していただけないでしょうか。お願いします。(英語文献歓迎です。参考文献に書きやすいので。)