ご質問の主張に対して、法的妥当性を添えて抗弁するとすれば、皇室典範の法的地位を強調するしかありません。
憲法第14条は男女差別の禁止を定めています。また、ご質問にあります女子差別撤廃条約においても、あらゆる女子差別が禁止されています。このことを顧慮すれば、憲法あるいは条約に劣後するあらゆる法律、条例、命令その他における女子差別条項は当然に無効となります。しかし、皇室典範は憲法と同等の効力を保持すると解されており、その効力は憲法および条約に劣後しません。したがって、皇室典範の当該条項は当然には無効とならず、並列して効力を保持することが可能です。また、皇室典範の当該条項が憲法14条の特則であると解することも不可能ではありません。
しかし、以上のことは法律論を乱用した詭弁との誹りを免れません。皇室典範がどのような法的地位を持っていようとも、近代国家の基本原則として、あらゆる不当な男女差別は禁忌すべきですから、現代からみれば、皇室典範の当該条項は不当とされても止むを得ません。ただ、男女差別を禁忌すべきとは言っても、皇室典範は極めて特殊な立場にある人間の資格について定めたものですから、男女差別の禁止がストレートに適用されないとしても仕方がないとの考え方も成り立ちえます。皇室典範1条が、明文で男女差別を謳っているにも拘わらず、特別大きな批判を受けずに今日まで保持されてきた理由があるとすれば、これではないでしょうか。
世論の多くは女性天皇の誕生に肯定的です。男系を維持することに特別な利益があるとは考えにくく、戦後からかなりの年数が経過した今日では、「伝統」のみを主張することはやや無理があります。私見ですが、女性の天皇が誕生するのも時間の問題であると思います。
お礼
皇室典範は、皇族の方にしか適用されない法であり、皇族以外の人には全く適用されないので、原則の中の例外だという類の見解を私は支持します。 一方、今回の愛子様のご誕生は、皇室典範が、皇位継承を「皇族に属する男系の男子」に限っていることを考え直すきっかけになりましたよね。 私の個人的な意見としては、皇位継承を男女問わず長子にすればと思います。