派遣労働者問題で考えてみました。
企業という組織を社会的に考えると、人間の毎日の労働を集約し、分業し、システム化し、最も効率の高い組織だと思います。少なくとも、人類は現在そう信じている。
ただ企業といっても共産主義の国営企業や、社会主義国の国有民間企業、完全民間企業、国際資本など、いろいろな形態があります。
この中で、どうして、派遣問題が起こるのかを考えたとき、人類の理想と現実に大きな矛盾があることに気付きました。
それは、心理学的な発想ですが、「自分に対する命令」では「他人に対する命令」の数倍のエネルギーが必要だということでした。これは、たまたまテレビドラマで登場人物が話したセリフでした。
これだと思いました。
つまり、他人に禁煙を強制することは簡単です。極端な場合監禁すればいいのです。ところが、自分では、よほど決心してもタバコ1本がやめられません。
仕事も同じだと思います。
だからこそ、資本主義では、階級的、支配従属的組織が形成され、そういった企業が適者生存の原則で勝ち残ってきました。
目を変えて世界史を見ると、ヨーロッパの台頭は、強固な階級制度でした。自由を謳歌した、ギリシャ文明やローマ文明は、階級制度はありましたが、絶対的なものでなく、特に高い生産性が求められる、高級労働の部門が自由的環境下にありました。それで衰退を余儀なくされました。
封建制度下の国力、造船、武器製造、製鉄、などの分野では、単純奴隷だけでは、高い生産性は得られなかったはずです。それで、ヨーロッパの封建制度の中から世界を支配する国々が現れましたん。
結論を申しますと、「差別」は、「競争力」の源泉だということです。これは、誰でも知っていることでしょう。平等を強調する共産主義は、生産性の点で資本主義にかなわないのです。
企業モデル(資本主義経済下)で分類すると、
(1)完全平等企業モデル 社長から平社員まで、組織上の階級は存在しますが、権利・義務はあっても命令・服従の関係はありません。人事権も特定の人間に権力が集中しません。
(2)能力主義モデル 強固な階級組織の運営基準は能力差別です。昇格・昇給は完全に能力に準じて決定されます。
(3)非能力主義モデル 脅威粉階級組織の運営基準に能力はありません。家柄、人間関係、年齢、姓、出身地などといった個人的要素で人事が決定します。
この三つのモデルで、どの企業モデルが生産性が高く、市場で勝ち残るかというと、それは、(3)の非能力主義モデルではないでしょうか。
(3)においては、社長以下の経営陣に無能力な人間がいると、経営判断に重大な問題が発生し、経営は破たんする心配する人もいるでしょう。でも心配はいりません。理想的なモデルでは、経営陣は単なる経営陣であり、経営には儀式的に参加するだけです。重要な経営判断は、平社員や派遣社員の中の優秀な者に相談します。経営陣は、接待とゴルフで遊んでいればいいのです。
冗談じゃないと思われるかもしれませんか、企業の生産性を考えたときこのモデルは最適です。これを、論理的に正当化した制度が「派遣社員制度」です。
現在の資本主義のルールでは、この矛盾から抜け出すことはできません。ましてや、海外の企業と競争する場合はなおさらです。中国などの発展途上国や、アフリカなどの低開発国では、未だに奴隷待遇で働く数多くの低賃金労働者がいます。
派遣社員の問題は、単に日本だけの問題ではなく、先進国全体、ひいては全世界の問題をはらんでいます。
これらの構造的問題を解決するためには、全世界的な資本主義制度の見直しが必要ではないでしょうか。
これは、つい最近思いついた意見です。多くの誤りがあると思います。
論理的欠陥や誤りがありましたらお願いします。