発情期の動物が、本来の相手(同種の異性)以外のものに興味を示し、あるいは刺激されていろんな行動をとってしまうことはよくあります。そういった動物の行動は、大抵の場合、ある特定の刺激に誘発されて起こる場合が多いです。その刺激は、必ずしも、同じ種の動物にしか出せない刺激であるとは限らないので、御質問のような現象になります。
例えば、ある魚の例(仮の例です)では、
1.繁殖期のオスは、繁殖期のメスの体の赤い模様を見ると、メスをつっつきたくなる、
2.繁殖期のメスは、体をつつかれると、体をある周期で震わせたくなる、
3.繁殖期のオスは、ある周期で水が振動しているのを感じると、振動しているものに体を添わせたくなる、
(以下略)、というような一連の刺激とそれに対する反応が連なって生殖行動が起こります。この一連の流れは、どちらかが繁殖期でないと、途中でとまってしまうので、うまく進行しません。逆に、赤い色の模型をつくって、ある周期で振動するようにしておけば、繁殖期のオスはその一連の刺激にだまされて生殖行動をとってしまったりします。犬の場合、魚よりもずっと複雑な動物ですので、こう単純ではないとは思いますが、ある人が犬に発情行動をとられた場合、犬にとっての、キーポイントになる刺激をいくつか(結果的に)出していた、ということになるでしょう。
さて、動物は生殖行動をとる時、自分の種を認識していないのか?と問われれば、意識はしていないが、生殖行動が最後までうまくいく、という事実によって、結果的に認識していることになる、といえると思います。つまり、上の魚のメスを中心に考えれば、繁殖期が同じ時期であること、オスを刺激する体の色であること、オスにつつかれた時に震えること、などなど、すべてそろっていないと生殖は上手く行かないので、現実的には同種の場合でないと生殖行動は最後まで進行しないわけです。別の言葉でいうと、自分がある行動をとったときに正しい反応が返ってくるかどうか、というのを何段階もチェックすることによって同種かどうかを判断しているともいえるでしょう。
犬の場合、ネコとかウサギとか相手では、きっとはじめから生殖に関連する行動が起こりませんよね?ネコなどは、はじめから犬の繁殖期の行動になどつき合ってくれませんから。人間だけが(知らず知らずのうちに)そういう行動につき合ってくれるので、その行動が少し先の段階まで(間違って)進んでしまうことがある、というような理解でいかがでしょう。
お礼
回答をいただいた皆様へ お返事が送れて申し訳ありませんでした。ここ数日、立てこんでいてちょっとインターネットを覗く暇がありませんでした。それにしても、個人的に納得いく結論は出なかったものの、多くのおもしろい知見が読めて嬉しかったです。皆さんそれぞれに少しづつ異なった考えをお持ちなので、おひとり、おひとりにお礼を書くことは控えますが、大変面白かったです。ありがとうございました。 最後に、インコの話は笑えました(笑)