- ベストアンサー
タンパク質分子量
SDS-PAGEの結果、アミノ酸配列から見積もられる分子量より 大きく分子量が出ることはあるのでしょうか?翻訳後修飾による 修飾分子がくっついていること意外に何か考えられるのでしょうか?
- みんなの回答 (1)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
- ベストアンサー
SDS-PAGEで実際より大きな分子量に計算される(=泳動が遅れる)理由としては修飾以外に3つのケースが考えられます。 1.ペプチドに含まれる疎水性アミノ酸が少ない。 SDS-PAGEでは、ペプチド中の疎水性アミノ酸残基にSDSのドデシル基が疎水結合することにより、ペプチドにスルフォニル基のマイナスチャージが付加されます。通常ペプチドに結合するSDS量はペプチド鎖の長さ=分子量に比例するので、分子量あたりのマイナスチャージ量はほぼ一定となります。このため、ゲルに分子ふるい効果がなければ、ほとんどのペプチドは同じ速さでプラス極へ移動します。逆に言えば、ゲルに分子ふるい効果がある場合には、その効果のみを観察できる=分子量によってペプチドを分画できるのです。 しかし例えばコラーゲンのように、ペプチドに含まれる疎水性アミノ酸が極端に少ないと、十分な量のSDSが結合できません。この結果、ペプチドに付加されるマイナスチャージ量が少ないため、泳動速度が低下します。 2.ペプチドに塩基性アミノ酸が多く含まれる。 SDSのスルフォニル基は強酸なので、通常ペプチドの等電点が多少異なっても、ペプチドに付加されるマイナスチャージ量にはほとんど影響しません。しかし例えばヒストンのように、アルギニンやリジンを極端に多く含むペプチドの場合、これらのプラスチャージがSDSのマイナスチャージの相当量を相殺してしまいます。この場合にも、ペプチドのマイナスチャージ量は減少し、泳動速度が低下します。 3.分子内に架橋がある。 このケースは極めて稀ですが、アミノ酸組成に偏りが無いペプチドでも、分子内に架橋があると泳動が遅れる場合があります。SDS分子の持つマイナスチャージはとても強いので、ペプチドに結合したSDS分子は、電気的な斥力により出来る限り離れようとします。このためペプチドはランダムコイルになるのですが、分子内に架橋があると、ペプチド鎖が十分広がることができない場合があります。この場合にも、電気的な斥力を十分緩和できない→結合できるSDS量が減る→動速度が低下する、ということになります。