まず、前提として「発展途上国での人口爆発を防止する
方策は?」として書きますが、結論から言うと、この限
られた紙面では、誤解を生まずに正確に書けるような簡
単な問題ではありません。(少なくとも、生半可な生物
の種論では解決しないというのは多くの人の指示を得る
でしょう。)
そこで、極々概略を書いてみます。
環境サミット等の国際的会議では、かねてよりこの問題
が取りざたされていて、対策案も方向性としては出て
来ております。
すなわち、「人口増加、環境悪化、温室効果、エネルギー
需要、生産と消費の形態、貧困、開発水準はすべて関連し
ている。」と言うことを前提にして
1.当該国・地域の社会、経済、政治の安定化
2.教育の充実
3.女性の権利、地位、雇用機会、基本的保健サービス
の向上
なんてところが代表的な物として出ているでしょう。
で、これらを見てみると、キーワードは「人々が安心
して生存できる状態になる」って事です。
この根底を解く原理は、どうやら「人間の生存本能」と
いうことが有りそうです。
途上国の典型的な例を元に説明します。
労働の報酬は「単位時間あたりの労働賃金(質)と労働
力(量)」のかけ算であるのは万国共通です。
で、社会の最小社会単位は「家族」ですが、その家族が
貧困に直面したとき、そこから抜け出す方法としては
労働の質を上げるか、量を増やすかの二択になります。
ところが、途上国の場合は簡単に質を上げる手段が
家族にないため、勢い労働力の増加、すなわち「家族を
増やす=子供を作る」になっています。
で、問題なのは「喰えないのに何で子供を作る?」という
ことなんですが、ここに我々のような「ぬくぬくとした
環境に居る人間の甘さ」が有りまして、
1.妊婦は出産の極短い期間を除いて労働にいそしみ
2.生まれた子供は十分な養育の手間・期間もかけ
られずに労働に従事する。
という構図があります。
すなわち、極論すれば、「出産日以外は労働力の減少は
存在しない」なんて事になるんですね。
こう考えると、幾多の理由はあれど、人口爆発の根底には
「生存本能を脅かす程の貧困」が、少なくとも理由の一つ
として存在する事はご理解いただけるでしょう。
そこで、対策としては、量でなく質の向上が出てきまして
そうやってみると、先に書いた代表例も解けるのではない
でしょうか?
蛇足ですが....。
実は避妊具の配布や中国で行われた出生制限等の国家施策
も広義の政治には入りますし、そこから解くことも可能
です。 しかし、よく見るとこれらの施策も極度の貧困
を目の前にすると実効が薄い(無いとはいいませんが
他の施策より薄いことは確実です)と言わざるを得ま
せん。 また、植民地問題や宗教、南北対立、人種
歴史等の背景を見ると、政治・経済面の対策としても
更に幅広い対策案が出てきまして、論文の一つや二つは
簡単に書けるくらいの問題なんですね。(^^;)
ですから、上の説明も言葉足らずで誤解を生む可能性が
ありますので、ここでお聞きになるよりしっかりとした
文献等を図書館で探すことをお勧めします。
(多量に有るはずですから、容易に手に入るでしょう)
エーリック,ポール / エーリック,アン『人口が爆発する――環境・資源・経済の視点から――』新曜社、1994年、
お礼
ありがとうございます☆