引き合うというのはどういうことかというと:
・近づくときにはエネルギーを放出する。
・離れるときにはエネルギーを必要とする。
反発するとはどういうことかというと:
・近づくときにはエネルギーを必要とする。
・離れるときにはエネルギーを放出する。
このように考えればよいのです。
では、エネルギーを受けとったり放出したりするものはどこにあるのか。
それは、磁石の周りの空間です。
電磁場というのは、エネルギーの一つの形態です。磁場の場合、ある一点のエネルギー密度は、磁場の強さの2乗に比例します。したがって、どこかに磁場の強い部分をかためて作ると、そこには大きなエネルギーを蓄えていることになります。
磁石のS極とN極を向かい合わせにすると、その間には強い磁場ができます。つまり、S極とN極の間の空間にはエネルギーが蓄えられているわけです。ここで、磁石を引き離すと、この「磁場の強い場所」が長く引き延ばされます。このとき、磁場の強い場所の体積が増えるので、エネルギーが増加します。つまり、磁石のS極とN極を引き離すには、空間にエネルギーを与えてやらなければなりません。これが、磁石のS極とN極が引き合う現象です。
磁石のN極同士を近づけると、N極の周囲にN極から外側に向かう強い磁場ができます。この磁場は、N極同士の距離を近づければ近づけるほど強くなります。(S極の場合は磁場の向きが逆となって同様のことが起きます)。つまり、空間のエネルギーが増加します。このエネルギーをまかなうため、同種の磁極を近づけるには磁石同士を押してやる必要があります。これが磁極の反発です。
このように、磁石が反発したり引き合ったりするのは、磁石と磁石の距離が変わるときに磁石の周囲の空間に蓄えられているエネルギーが増えたり減ったりする現象として説明できます。