※ここでは、右上の記号を[ ]に入れて表わします。
(1)イオン式でHやOなどについている+やーは、どっちにも表せるということでしょうか。
化学の教科書には、H[+], OH[-], H3O[+], NH4[+], NO3[-], SO4[2-] などが出てきて、ものによって、+だったり-だったりします。これは、それぞれ決まっているものです。どっちにも表わせるということはありません。
『なぜその式になるのか』は理論がありますが、根本的な話になると非常に難しいので、習いたてのうちはそのまま覚えることを勧めます。
(2)イオン式では、なぜ、水素が絡んでくるのでしょうか。イオンは水の中で分解されるからですか。
もう少し先で「酸・塩基」について学ぶと思います。水素を含んだ化合物の中には、水に溶かすと水素をH[+]として放出するものがあります。そのような化合物を酸といいます。また、水の中で陽イオンと陰イオンに分かれることを電離といいます。
たとえば、H2SO4の場合、
H2SO4 → 2 H[+] + SO4[2-]
と電離します。 H[+] を2つ放出するので、残りの部分が[2-]になるわけです。
もし、H3PO4 であれば、
H3PO4 → 3 H[+] + PO4[3-]
と電離して、3個のH[+]を放出するので、残りの部分は[3-] になります。
(3)「リン酸イオンのイオン式を書け」という問題が出たのですが、どうやったら「PO4」
「リン酸イオン」というのがPO4[3-] の名前です。これは覚えなければなりません。
なお、H2SO4は「硫酸」、SO4[2-]は「硫酸イオン」
H3PO4は「リン酸」、PO4[3-]は「リン酸イオン」
というように、「○○酸」と「○○酸イオン」には対応関係があります。
(4)電子の結合の仕方を考えてみても、Oが4つも結合してしまうとPの電子が足りなくなって
Pは最外殻電子が5個ですが、形式電荷をつけてP[+]とすると、最外殻電子が4個になってSiと同じ電子配置になります。Oは最外殻電子が6個ですが、形式電荷をつけてO[-]とすると、最外殻電子が7個になってFと同じ電子配置になります。
これらが、SiF4と同じ形に共有結合すると、PO4になります。その場合の電荷は、P[+]が1個とO[-]が4個で PO4[3-] となります。
SO4[2-] や ClO4[-] も同じパターンの結合です。
NO4[3-] ができなくて NO3[-]になるのは、N原子が小さいからです。
※形式電荷は、結合を説明するためだけのもので、実際の電荷の分布は異なります。
また、「電子8個で安定な結合になる」という法則(オクテット則)はいつも成り立つわけではありません。C,H,O,N,F,Cl,Si,Na,Mgなどの化合物では有用ですが、多くの元素ではむしろ例外のほうがずっと多いものです。
お礼
ありがとうございました。とても参考になりました。またよろしくお願いします。