「酒を揃えようか、どんな料理を出そうか」開業前に夢一杯の感じですが、どうも客の都合からしかみていないようで、経営的な視点が欠落してるように見えます。
都心で特徴を売り物に始める場合を除いて、一般の居酒屋ではそのようなことはある程度常識的な線を踏まえておけば、あとは開業後に実際の推移で自然と収まるべきところに収まるものです。開店前にあれこれ深く考えても現実によって簡単に覆されますから、ほとんど意味はありません。
それよりも、店舗の立地、広さ、席数、想定客回転率、ランニングコストなどから売上げ目標と最少の客単価を割り出して、その限られた条件の中で競合店にない魅力をどう工夫して出していけるか、赤字にならずに経営を続けられるかと考えた方が現実的です。
「カウンター7~8席程度」というのは、人を雇わず1人で全てやるつもりということでしょうか。こうした規模の店は主要駅の飲食店街などでない限り、ほとんど常連客主体の客構成になります。常連客は長居するので客回転も悪く、単価も低くなり勝ちで、よほど工夫しないと利益を出すことは難しくなります。
脱サラの失敗例の多くは、この見通しの甘さにあります。脱サラ経営者は転業の不安から退職金や貯金などかなりの開業資金をもって始めようとします。結果的にその持ち金を取り崩して穴埋めする毎日が続き、自分は働き努力しているのに客には無料同然で飲み食いされている感覚になって、客ヘのサービス精神や感謝の態度がだんだん消え、現実の厳しさに夢も経営意欲も失っていきます。
また、よく「開店1年は利益など出ない」といわれ、実際にそういうことがよくありますが、その本来の意味を理解せず、結局1年後に店をたたむ例はいくらでもあります。これは単純に客に周知するまで安定した集客が難しいという意味ではなく、当然客が来て当たり前の経営努力をいろいろとしていても最悪1年目は赤字覚悟、ということです。その厳しさは始めてみなければ分からず、分かった頃には自信も希望をなくなって、借金抱えて店じまいとなるわけです。
居酒屋に料理の腕は必要ですが、それは店の経営全体からは一部に過ぎません。飲食店で働いた経験がなく、いきなり始めるというのは、そのくらい見よう見まねで何とかなる、と思っているのでしょうか。あるいはダメそうならすぐやめる、くらいの心づもりなのか。いずれもやってみれば分かりますが、やめることさえ簡単には行きません。よく閉店時に大借金を抱えて夜逃げ同然というのがあります。他人はそれならもっと早く見切りをつけてたたんでおけば、と言いますが、店の閉めどきを見切るのは開業よりもずっと難しいことです。
飲食店経営には細かいノウハウがいっぱいあります。ここではそれをいちいち書き出すことはできませんが、それらは現実の経営経験から身につけ、活かされるものです。そうした努力の集大成が少しの利益となって結実するのです。
本当に地に足をつけてやる覚悟があるなら、まず数ヶ月でも居酒屋でアルバイトして内側から見た居酒屋経営を勉強すべきでしょう。できれば数カ所経験するのがベストです。ものの見方が変わると思います。それでも店経営の夢を持ち続けられれば、そのときこそ開業を志すべきです。成功の可能性も今よりもずっと高くなっているはずです。
補足
ご回答ありがとうございます。 以前にもNo.1312947で質問させて頂いた件の延長です。本来ならば、料理学校のOBのお店で経験を積ませて頂くという予定だったようですが、全て断られた模様です。 独身で、共同経営者等誰もおりませんので、当面一人での営業です。 本人は否定しているようですが、経営的な(過去の仕事の経験からも)ことには関心が殆ど欠落している様です。 資金としては1から1.5程度は有るようです。 年令は約50歳です。 どうも変な補足で申し訳ありません。