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行列と複素数の関係
行列も数の一つだとどこかに書いてあったという記憶があるのですが,複素数も数とするとこの二つの間には何か関係があるのでしょうか。
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- grothendieck
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下の回答で上から9行目「リーマン面」となっている所は「リーマン球面」に訂正して下さい。
- grothendieck
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複素数と行列の関係と言うことであれば、当然立体射影と一次分数変換のことについて述べるべきであると思われます。 複素平面の原点を中心とする半径1の球面を考え、球の北極(0,0,1)と複素平面上の点zを結ぶ直線が球面と交わる点を(x1,x2,x3)とすると z = (x1 + i x2)/(1 - x3) の関係があることが分かります。北極点に対応する複素平面上の点はありませんが、複素平面に無限遠点∞を付け加えたものがリーマン球面と1対1に対応していると考えます。これは空間のコンパクト化と呼ばれる重要な技法です。a,b,c,dをad-bc≠0 を満たす実数とした時リーマン面上の点zに対して w = (az+b)/(cz+d) を対応させる変換を一次分数変換(またはメビウス変換)と呼びます。ad-bc≠0は行列 ┌ a b ┐ └ c d ┘ が逆行列を持つことを意味しますが、一次分数変換の合成には行列の積、逆変換には逆行列が対応することは容易に分かります。つまり一次分数変換と行列が群として対応しているのです。一次分数変換は等角写像と言う重要な性質の他に円に関する対称点を対称点に移すという著しい性質を持っています(対称性の原理)。そのため一次分数変換は簡単でありながら強力な技法となっており、標準的な複素関数論の教科書に解説があります。それだけではありません。詳しい説明は省きますが、一次分数変換で平面3角形の不変量とモジュライ空間を構成することは現代数学の最先端にまでつながってくる話題となっており、数学的にも興味が持たれています。詳しい説明は 片山孝次「複素数の幾何学」 岩波書店 谷口雅彦、奥村善英「双曲幾何学への招待ー複素数で見る」 倍風館 などを見て頂きたいと思います。
- yuntanach
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平たく言えば四則演算が閉じているものを数といいます。実数や複素数、有理数だと可換体ということになりこれが数の体系の基本になります。 そしてそこから除算について閉じていない場合も数に含めることにし、整数だと可換環という具合に条件を弱めて考えることがあります。 逆に、上で挙げた実数や整数など以外でも、体や環である条件が満たされればそれも抽象的には数であるという具合に考えることがあります。 行列は、さらに可換の条件をはずしたものも数であるという見方にたった場合のことになります。実際、乗算が非可換であること以外は四則演算が閉じていることから、この見方において行列も数であるといえることがわかります。 このように微妙に条件を変えて「数とはなんぞや」ということを掘り下げていった場合、その条件のつき方によっては行列も実数や複素数と同じように数であるという見方ができることもあるわけなのです。 このように一言で数といってもいろいろなものを考えることができるのですが、中には一見してその表現が違っているだけで、一対一対応を考えることができるようなものがあります。本質的にはひとつのものが、見る方向によって別々の姿があるのだと解釈できるかもしれません。 そして、ある条件を満たす行列は、ベクトルや複素数と対応付けることができるというのが、行列と複素数の関係のひとつなわけです。 数の概念を拡張すると行列もまた数の一種であると考えることもできるし、またある種の条件下にある行列は複素数と同一視できるということでもあるのです。
お礼
スラスラと読めるのですが大変難しいご教示でした。自分なりに勉強して行きたいと思います。どうもありがとうございました。
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- masudaya
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「 1 0 |=I | 0 1 」 「 0 -1 |=J | 1 0 」 と置くと 複素数 a+bi と 行列 aI+bJ とは,対応関係にあります. (J^2=-Iなので) たとえば,exp(iθ)=cos θ +i sin θ は 「 cosθ -sinθ |=R(θ) | sinθ cosθ | となり,どちらも回転を示します. (行列をテキストで表示するのって難しいのですね)
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お礼
能力と時間があればなあとつくづく思います。幾何ではないと思っている行列が幾何より幾何的な感じがするのでデカルトの座標のことを思い出しました。
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