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詐欺について
刑法第246条(1)に関して「人を欺く」は、例えば会社の経費として何かの費用を落とすとき、悪意をもって財物を必要以上に交付させた場合と、不注意や勘違いで必要以上に交付させた悪意のない場合ではそれぞれどんな扱いになるのでしょうか?それと請求すべき額をはっきり覚えておらず曖昧に請求して結果として損のないように多めに交付させている場合はどうなるのでしょうか?
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回答5の補足です。自信はないのですが、おつきあいします。 1Bについて、不作為による黙示的幇助罪の成否が問題となる。しかし、犯罪遂行を防止すべき法律上の義務はないので、幇助犯は不成立。他の犯罪としては、Bは贓物と知っているので、Aとの関係で、「預かっておけ」と言われ、そのままにしておけば寄蔵罪成立の可能性ありです(成立すると思います)。 2は不法原因給付と横領の成否の問題。判例では成立するでしょう。 3は、そもそもAに犯罪の故意があるのか問題となりますが、それでも未必の故意は肯定できると思います。あなたの言われる「必要以上の利益」とはどのような意味なのかわかりません。受領することが出来る正当な利益であるとしたら、補足3の文章そのままを考えれば、Aは詐欺ないし背任、Bは犯罪不成立(Bが費消済みというのは意味がわかりません、Bが贓物であると知って費消する場合でも、金額として特定できる正当な利益の範囲を超えて費消していれば、不法原因給付と横領の問題と同じになるのでは?)。
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- a_little_for_you
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(1)Bが同意していた場合、Aの犯行前から同意していたということは、犯罪遂行に関しての共謀があるということですから、犯罪実行をAだけがしてもBは共謀協同正犯として正犯者の罪責を負います。なに罪が成立するかは、今回相談の場合なら、その罪に関してです。 (2)Bが知らなかった場合でも、背任罪は既遂として成立します。本人の全体財産に対して加害目的で、損害を与えることを認識しながら行為しているのですから、Bが知らずに利得を得ていたとしても成立です。詐欺罪ではどうかというと、財産的処分行為により行為者が利益を受けたということが詐欺罪の想定している場合ですから、交付行為の相手方は原則として欺罔行為をしている行為者でしょう。しかし、事情を知らないBに交付させることで、Aはいつでも Bからその財物ないし利益の移転(取り戻し)を出来る事情がある場合には、交付の相手が事情をしらないBであったとしても、実質的には財物・利益の支配はAが取得したものと評価できるので、規範的・価値的には既遂と評価すべき交付行為ありとみるべきでしょう。 (3)これは一般論としての「共謀」の成否の問題です。私見では否定です。なぜなら、共謀共同正犯の概念自体、処罰の範囲を拡大し、実体である背後者を処罰しようとして考え出されたものですから、(必要性を肯定するとしても)共謀概念自体絞りをかけていくべきです。しかも、もし、(3)の場合も共謀ありとすると、団体内部での力関係の大小によって、強い者にひきずられ一方的に弱い者が正犯として巻き込まれてしまう不都合があります(これを不都合とみないなら価値観のちがいです)。 よって、否定しますが、押し切られた結果、しぶしぶ協力的に行動している部分では、幇助犯として処罰可能性は出ます。 (4)贓物の収受(もらった場合)ないし寄贓(預かってほしいといわれていた場合)の罪となります。 詐欺ないし背任幇助の成立を認める場合は、その罪との関係は併合罪です。 収受罪の場合には、もらったものを費消しても別罪にはなりません。 預かっておいてくれと言われていたものを費消した場合、犯罪により得た物として不法原因給付物ですから、不法原因給付と横領罪(Aとの関係で)の成否という関係が生じます。しかし、結論はいずれでもよろしいかと、判例は肯定するようです(牙保=他への有償処分をあつせんした代金の使い込みということ)。
補足
1.(3)に関して、Bは反対したがAに押し切られ、その後のAの行為を幇助ではなく黙認した場合、Bはどういう罪になるのでしょうか? 2.1.に続けて、AではなくBがその利益を消費した場合、Bはどういう罪になるのでしょうか? 3.1.に続けて、AがBに必要以上の利益をもたらすことを目的とせず、単に大雑把な人で結果としてBに必要以上の利益をもたらした場合(その後2人の間で金銭のやり取りはないものとして)AとBはどういう罪になるのでしょうか(Bはその利益を消費済み)?
- a_little_for_you
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回答ではないですが、No3のかたへのものです。 >例えば、「売掛代金を受け取るべき任務を有する者が商品の返戻があった旨の虚偽の事実を帳簿に記載する場合」を、背任罪における任務違背行為と認めた判例があります。 詐欺罪は、相手方の財産的処分行為に向けられた欺罔行為がなされ、相手が錯誤の状態で処分行為をし、その結果財物ないし財産上の利益の移転がないと、犯罪として成立しません。 上の判例の場合、虚偽記載がされることにより、会社が何らか「記載した者に対して」財産的処分をしその結果虚偽記載した者が財産的利益を受けるのでしょうか。ただ、たんに返品があったことを記載して、売掛代金請求の機会を会社に喪失させたということですね。 よって、財産的処分行為に向けられた欺罔行為として評価出来ず、詐欺罪の構成要件が予定している欺罔行為があったとは言えないわけです。 だから、判例は、詐欺ではなく、背任として問題にしたのでしょう。 おっしゃるとおり、罪名の違いが法定刑に反映するので、大問題です。背任は、いわば裁量的権限のある者が 誘惑的で濫用し犯しやすい犯罪という面があるでしょうね。 だから、刑の点、詐欺より一段低いともいえますかね。
補足
NO.3さんの補足についてよろしければ回答お願いします。
- umibouzu64
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詐欺はちょっとやっかいな問題なので、ちょっと回答が少ないですね(笑)。 法定刑に関しては、ご存知とは思いますが、詐欺罪(10年以下の懲役)と横領罪(5年以下の懲役)とでは違いますから気をつけてください(「すべて同じ扱い(10年以下の懲役)となるのでしょうか?」とあったものですから、つい…)。 それと、これは回答に対する質問になってしまうかもしれませんが、doropsさんの事例、場合によっては背任罪などの他の罪名になりませんか?ぎもう行為があれば詐欺罪でしょうが、例えば、「売掛代金を受け取るべき任務を有する者が商品の返戻があった旨の虚偽の事実を帳簿に記載する場合」を、背任罪における任務違背行為と認めた判例があります。罪名が異なると、先の話のように、法定刑が異なってしまいますから、気になってしまいます。 とにかく、詐欺罪は成立要件も難しいですし、他の罪との関係においても区別しにくい、やっかいな存在ですね。
お礼
ありがとうございました。
補足
背任罪に該当しないかもしれませんが、ある人Aが第三者Bに財産上の損害ではなく利益をもたらしたときはAはどういった罪になるのでしょうか?つまり、Aが小細工してBに不当な利益を与えた場合です。このBが(1)同意していた場合(2)知らなかった場合(3)反対したがAに押し切られた場合(4)、(2)(3)でその不当な利益を消費してしまった場合
- hou-juris
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「回答に対する補足」に対して、コメントさせていただきます。 (1)「対面状況」という言葉を使うかどうかはわかりませんが、No.1の回答者の方の指摘される「対面状況がなくなる」という状況として、典型的に想定されるのは、お店で間違ってつり銭を多く渡されて、店舗から出てからそれに気づいたものの、そのまま持ち去ってしまった、という場合です。ご質問に即して述べるならば、不注意や勘違いで相手を欺く意思なく必要以上に交付させてしまった後で、多くもらいすぎたことに気づいた場合、が考えられるでしょうか。 (2)占有離脱物横領(遺失物横領ともいいます)とは、簡単にいうとある人の占有を離れた他人の物を勝手にとってしまうことを言います。ご質問に即して言えば、不注意や勘違いで必要以上に交付させてしまって、それに後から気がついたものの、着服してしまった場合が考えられます。普通の横領に比べると軽くなりますが、立派な犯罪です(刑法254条)。 (3)「欺罔」(「網」ではありません)は、「ぎもう」と読みます。人を欺くこと、刑法的には財物を処分させるようにだますこと、を言います。MS-IMEでは変換されませんでした。 (4)正直に申し上げると、この点はわかりません。申し訳ありません。ただ、一般的に言えば、被害額などの事情が考慮されるでしょうが、多くの場合初犯であっても起訴されてしまうのではないでしょうか。 (5)「すべて同じ扱い」ということの、趣旨が判然としないところがありますが(処罰の可能性がある、という意味では、どれも「同じ扱い」でしょうから)、初犯で、かつ、被害額がかなり小さかったりすると、起訴猶予処分(いわゆる不起訴)、従って訴訟にならない、という可能性もあると思われます。もっとも、実務的にどのような取扱がなされているか、については、(4)同様わかりません、申し訳ありません。 以上参考になれば幸いです。
お礼
ありがとうございました。
補足
すみません説明不足でした。(5)は詐欺に至った事情は考慮されそれぞれの場合、判断に差(違い)があるのでしょうか?ということです。(4)は刑法の授業で「ほとんどの犯罪は初犯は裁判にまでならず、注意・警告レベルですみ、2回目から厳しくなる」のようなことを習いましたので、詐欺も初犯はそのレベルなのだろうか、と思い質問させていただきました。
- a_little_for_you
- ベストアンサー率68% (194/283)
最初から多めの経費を請求すれば詐欺の故意に基づく欺罔行為があります。当然成立です。 次に、不注意、勘違いで財物を交付させれば、欺罔する故意がないので、詐欺ではありません。 しかし、その後、多くもらいすぎていることに気がつきながら、もらいすぎであることを相手に告知しないでそのまま立ち去れば、詐欺罪となります(釣り銭詐欺と同じ)。なぜなら、相手が錯誤から多く支払いすぎたことを知らずにいる状態を利用しているので、事後的な欺罔行為により財物を交付させたのと価値的には同視出来るからです。 ただ、相手との対面状況がなくなった段階で、後からもらいすぎに気がついたのに、返さなかったとしてもそれは占有離脱物横領でしかありません。 さらに、請求すべき額をはっきり覚えておらず、曖昧に請求して結果として損のないよう多めに交付させている場合は、結果として損をしないようにという意思がある限り、欺罔行為はありますので、相手に損失わ与えれば、確定的な金額を事前に特定して確知していなくても詐欺罪になります。
補足
(1)「対面状況がなくなる」とは相手が死亡した場合でしょうか?単に会社を定年退職で必然的に退いた場合などでしょうか? (2)占有離脱物横領とはどういった犯罪なんでしょうか? (3)「欺網」(漢字がわかりませんでした)はなんと読むのでしょうか? (4)詐欺罪は初犯の場合どういった扱いになるのでしょうか? (5)(1)(2)(3)は理由はどうあれすべて同じ扱い(10年以下の懲役となるのでしょうか?
お礼
何度も回答していただきありがとうございました。不法原因給付に関して尋ねたいことがあるのですが、一旦締め切らせていただきます。よろしければそちらの回答もお願いしたいところです。
補足
言葉足らずでした。「必要以上の利益」とは「Bに正当に支払われる金銭を超えたAの小細工による上乗せの利益」です。「Bが消費済み」とは「Bが断りきれずAの行為を黙認していたにもかかわらず、Bがその利益を消費した場合」です。