• ベストアンサー

アミノ酸のpHに関する問題(等電点)がわかりません

以下の問題が解りません、リード文も理解がぼんやりしていて、公式など前提知識を含め、考え方を一つ一つ噛み砕いて教えていただけると助かります。 【リード文】 α-アミノ酸の構造は、一般に      R / H2N- CH-COOH で表される。ただし、ここではカルボキシ基、アミノ基の電離を考慮していない。アミノ酸の性質や反応を考える場合、本来は電離の効果も考慮しなければならない。カルボキン基のpKa値をpK1、アミノ基のpKa値をpK2と表すことが多い。例えば、バリンではR=-CH(CH3)-CH3であり、pK1は2.3、pK2は9.6である。また、グルタミン酸ではR=-CH2-CH2-COOHである。グルタミン酸のpK1は2.2、pK2は9.7 であり、R のカルボキン基の pKa 値は4.3 である。 問1 細胞の環境ではpHはほぼ7.4である。この状態で、パリン、グルタミン酸は主にどのような化学種として存在しているか。問題文の例にならって、その示性式を記せ。 問2 pHが7.4の場合、バリンのうち大部分は問1で解答した形態(ここではⅰ形と呼ぶ)をとっているが、少数は負に荷電しているにこではⅱ形と呼ぶ)。そこで、バリンの水溶液を電気泳動すると、バリン全体としては、かけた電場と( )方向に流れる。 (1) 上の文の空欄に適する語を記せ。 (2) pHが7.4の場合、バリンのⅰ型とⅱ型との存在比を概算せよ。 (3)あるpH では、アミノ酸は全体として正味の電荷を持たなくなる。このpH をアミノ酸の等電点と呼び、記号pl で表す。バリンのpIを求めよ。 【解答】 問1 バリン   CH3-CH-CH3     /  †H3N-CH-COO グルタミン酸 CH2-CH2-COO- / †H3N-CH-COO 間2 (1) 逆(逆の、反対、反対の) (2) ⅰ/ⅱ = 10^2.2 ※ =1.6x10^2だが、この計算は対数が与えられているか電卓持込可でないとできない。そういう条件がないときは指数のままで構わない。 (3) 6.0 ※計算すると5.95であるが有効数字を考え、小数点第1位で答えることになる。

質問者が選んだベストアンサー

  • ベストアンサー
  • 2benzene
  • ベストアンサー率75% (94/125)
回答No.1

 pKaとは、ある酸の電離平衡についての平衡定数の負の常用対数をとったものです。    HA ↔ H+ + A-  (a) (a)の電離平衡における平衡定数は、    Ka = [H+][A-] / [HA] で表され、pKaをとると、    pKa = -log( [H+][A-] / [HA] )   (b) となります。ここで、pH = -log[H+] を用いて(b)式を変形すると、    pKa = -log[H+] - log( [A-] / [HA] )      = pH - log( [A-] / [HA] )    pH = pKa + log( [A-] / [HA] )   (c) この(c)式をHenderson-Hasselbalch式といいます。ここでpHとpKaの関係について考えてみます。pH > pKaのとき、log( [A-] / [HA] )が正になるので、[A-] > [HA]となります。つまり、pKaの値よりも塩基性のとき、H+が脱離した状態の化学種が多く存在しているということです。同様に、pH < pKaのとき、log( [A-] / [HA] ) < 0 より、[A-] < [HA]となり、pKaより酸性のときH+が結合した状態の化学種が多く存在しています。  さて、アミノ酸はカルボキシ基とアミノ基をもっており、通常水溶液中では双性イオンとして存在します。例としてあげられているバリンではpK1=2.3、pK2=9.6ですね。(ちなみにアミノ基のpKaという言い方は不正確で、正しくはアミノ基の共役酸-NH3+のpKaです。)細胞中の環境におけるpHは7.4であるから、カルボキシ基についてはpH > pKaよりCOO-の状態、アミノ基についてはpH<pKaよりNH3+の状態で存在します。よって実際に双性イオンの状態であることが分かります。  グルタミン酸についても同様に考えることができます。側鎖のカルボキシ基のpKaは4.3であるから、pH > pKaよりCOO-の状態です。  q Cの荷電粒子が電場Eから受ける力Fは、F=qEで表されるので、電荷が正なら電場と同じ方向、負なら電場と逆の方向に力がかかります。pH=7.4のとき、バリンは双性イオン形(ⅰ形)と少量のアニオン形(ⅱ形)が存在します。よってこの場合バリンは若干負に帯電していることになり、電気泳動により電場と逆向きに移動します。  ⅰ形とⅱ形の平衡はK2で表されているので、Henderson-Hasselbalch式より、pK2 - pH = log( [ⅰ] / [ⅱ] )となり、pK2=9.6、pH=7.4からlog( [ⅰ] / [ⅱ] ) = 2.2 つまり[ⅰ] / [ⅱ]=10^2.2です。  バリンは水溶液中でカチオン種、双性イオン種、アニオン種の3つの形を取ることができます。問2(2)に合わせて双性イオン種をⅰ形、アニオン種をⅱ形、とおき、カチオン種はⅲ形とでもしましょう。ここで、それぞれの平衡定数はK1=[H+][ⅰ]/[ⅲ+]、K2=[H+][ⅱ-]/[ⅰ]とおけます。ここで,    K1*K2 = ([H+][ⅰ]/[ⅲ+]) * ([H+][ⅱ-]/[ⅰ])       = [H+]^2 * ([ⅱ-]/[ⅲ+]) となります。等電点においては電化が釣り合っているため、[ⅱ-]と[ⅲ+]は等しくなっています。よってこのとき、    [H+]^2 = K1*K2    [H+] =√(K1*K2) となります。ここでpK1=2.3、pk2=9.6より、    [H+] = √(10^2.3 * 10^9.6)       = √(10^11.9)       = 10^5.95    pH = 5.95 ≃ 6.0 ちなみにp演算子は常用対数をとっているため、整数部分は桁数を表しているだけであり、有効桁は小数点以下を考えます。問題文でpKaやpHが小数第1位まで表示しているのでこれは有効数字1桁です。それに合わせて答えも有効数字1桁、つまり小数第1位まで書きます。

k1029
質問者

お礼

丁寧にご教示いただきありがとうございました、大変助かりました。 教えていただいたことを読み返して、自分でも繰り返し解いてみます。本当にありがとうございました。

Powered by GRATICA