実は日本人の遺伝子を調べると、割と世界中いろいろなところからこの日本列島にたどり着いていることが分かっています。
最も多いのは中国中部をルーツとして朝鮮半島を経て日本にやってきたと推測されるグループですが、これとても全体としては37%がそのグループなので、圧倒的大多数ではありません。40人学級なら15人ですからね。
その他にはハワイやポリネシアの先住民族と同じルーツを持つグループや、かつてタイランド湾から南シナ海にかけて存在した(現在は水没している)スンダランドをルーツとするグループ(現在はほとんど日本にしかこのグループは遺伝子が残っていないそうです)やシベリアをルーツに持つグループ、果てはフィンランドの先住民と同じルーツを持つグループの遺伝子を持つ人もいるそうです。
このように多様な遺伝子を持っている民族は実は世界的には珍しく、中国のほうがああ見えてそんなに多様な遺伝子を有していません。
理由はシンプルで、アジアからヨーロッパにかけての地域では征服と戦争がくり返されてきていて、どこかの民族が征服すると先に住んでいた民族は皆殺しにされて根絶やしにされたからです。
極東の最果ての島では、奇跡的にどこの民族も潰し合うことなく、外部から征服されることもなくそれぞれの民族の遺伝子を次世代に繋いでいるのです。
けれど見た目では、誰がフィンランドの先住民族と同じルーツを持つグループに所属する人なのかは分からないです。
そもそも人類の祖先は、アフリカのサバンナ地方にいたと思われています。そこからアフリカ全土に分布してゆきましたが、そのうちの東アフリカにいたグループの一部が現在のアラビア半島に出てゆきました。アラビア半島からはワニやカバの化石なども見つかっているので、当時のアラビア半島は緑豊かな大地だったと推測されています。
その東アフリカを出たグループがコーカサス地方に行ってコーカソイド、つまり白人種のルーツとなり、更にそこから東に向かったグループがモンゴロイド、つまり黄色人種になったといわれています。
だから、黄色人種と白人種の遺伝子の違いより、アフリカ人同士のほうが遺伝子の違いは大きいのです。
平均身長が180センチを超えるといわれるディンカ族は、アフリカにいます。平均身長が一番低いピグミー族も、アフリカにいます。能力の比較が分かりやすいスポーツの世界では、ほぼ全てのスポーツでアフリカをルーツに持つ選手がトップに立っています。例外はテニスのような人種が限定されるスポーツと、水泳だけです。水泳をアフリカンが苦手としているのは、アフリカンは骨密度が高く筋肉量が多いので水に沈んでしまうからです。
さてどんな人であっても、生まれてくるときには1対の精子と卵子によって作られますので、複数の父親ないし母親をルーツとすることができません。世界中の民族をルーツにしようと思ったら、何世代もかけあわせていかないといけません。本当は均等にどの民族もルーツにしていかなきゃいけないけど、それは無理です。どうしてもどこかの民族の遺伝子が多めになりますから、そこに引っ張られることになります。
また、遺伝子は優性遺伝子と劣性遺伝子といって、父母双方の遺伝子が一致しないと発動しないものと、どちらかが持っていれば発動するものがありますので、等しく引き継がれることもありません。例えば金髪は劣性遺伝なので、どこかで黒髪になってしまうでしょう。
人類のDNAは全て判明はしていますが、どのDNAがどう作用していて、遺伝によってどう変わるのかはまだまだ分からないことだらけです。
DNAが一冊の分厚い本だとしたら、そこの一部を書き換えると、想像もしなかったページが書き換わってしまうのです。
ですから、そういうことはありえるかもしれないし、ありえないかもしれません。その疑問に回答できるだけの知識を我々はまだ持ち合わせていないのです。
お礼
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