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コロナウイルス 気道細胞
口腔や鼻腔に入ったコロナウイルスはどうやって肺の中まで移動するのでしょうか。 気道細胞に侵入した(取り込まれた)コロナウイルスは、その細胞に悪影響があるのでしょうか。なぜ、発熱するのでしょうか。
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【発熱の原因】 ウイルスや細菌に感染すると、体内に入り込んだウイルスや細菌など病原体の持つ毒素が体温の上昇を引き起こします。 さらに、これに対応して病原体を排除しようと免疫活動を活性化することで高熱が起こります。 つまり増殖を抑えるための身体の防御反応で発熱します。 【コロナウイルス】 コロナウイルスを顕微鏡でみると、表面に突起がみられます。 これが王冠に似ていることから、ギリシャ語で王冠を表す「コロナ」にちなんで名づけられました。 ヒトに感染するコロナウイルスは、すでに7種類が知られています。 ヒトコロナウイルス感染症のうち4種類は、かぜの症状を引き起こす軽症の上気道疾患に関係するウイルスです。 しかし、7つのヒトコロナウイルス感染症のうち3つは、より重症になる可能性があり、最近では、死に至ることもある肺炎の大規模な集団発生を引き起こしています。 ●SARSコロナウイルス2(SARS-CoV2) 新型コロナウイルス感染症(COVID-19[コビッド・ナインティーン])の原因として2019年末に中国の武漢で初めて特定され、世界中に広まった新型コロナウイルスです。 ●MERSコロナウイルス(MERS-CoV) 2012年に中東呼吸器症候群(MERS)の原因として特定されました。 ●SARSコロナウイルス(SARS-CoV) 2002年に重症急性呼吸器症候群(SARS)の集団発生の原因として特定されました。 重度の呼吸器感染症を引き起こすこれらのコロナウイルスは、動物から人間に感染します(人畜共通感染症病原体)。 【細菌とウイルスとの違い】 ●細菌は細胞を持ち、自己複製能力を持った微生物です。一つの細胞しか無いので単細胞生物です。 大きさは、通常1mmの1/1000の単位【μm(マイクロメートル)】が用いられます。細菌は光学顕微鏡で見ることができます。 《増殖》 糖などの栄養と水があり、適切な環境のもとでは、生きた細胞がなくても自分自身で増殖できます。 ●ウイルスは、蛋白質の外殻、内部に遺伝子(DNA、RNA)を持っただけの単純な構造の微生物です。細菌のように栄養を摂取してエネルギーを生産するような生命活動は行いません。 大きさは、細菌よりもはるかに小さく、μmの更に1/1000の単位【nm(ナノメートル)】が用いられます。ウイルスを見るには電子顕微鏡が必要です。 《増殖》 たとえ栄養と水があったとしても、細菌とは異なり、ウイルス単独では生存できません。ウイルスは、自分自身で増殖する能力が無く、生きた細胞の中でしか増殖できませんので、他の生物を宿主にして自己を複製することでのみ増殖します。 ウイルスが感染した細胞は、ウイルスが増殖して多量のウイルスが細胞外に出てくるため死滅します。 そして、その増殖したウイルスがまた他の細胞に入り込んで増殖を続けます。 そのため、宿主の細胞が次々と死滅してゆくことで生物は耐えることができずに死亡に至るわけです。 すなわち、ウイルスにとって、他の個体へ感染させ続けることが生き残るための必須条件です。感染力はウイルスにより異なります。 【肺炎】 肺炎とは、その名の通り「肺に炎症が起こった」状態。 多くは感染症で、気道から侵入した細菌やウイルスなどの病原体が肺の中で炎症を引き起こす。 なお、感染が原因ではないアレルギー性の過敏性肺炎もある。 それに対し、風邪は、炎症が起きる場所が違う。 別名「上気道炎」というように、気道のうち、食べ物も通る上側「上気道」(喉頭から上)で炎症が起きている。 これより奥の、空気しか通らない下部が「下気道」(気管から肺まで)であり、体のさまざまな防御システムがあるため、健康な人なら細菌やウイルスの侵入は許さない。 つまり、普通の風邪の場合、ウイルスが侵入したとしても上気道止まりとなる。 だから、たいていの場合、のどや鼻などの炎症で終わるわけです。 コロナウイルスでは、コロナウイルスに感染すると、まず風邪のような症状が1週間ほど続きます。 このため、感染初期の症状では風邪と見分けるのは難しい。 多くの人はそれで回復しますが、中には重い肺炎の症状が出る人もいます。 つまり、『上気道にとどまらず下気道にもウイルスの侵入を許した』というわけです。 ここで理解してもらいたいのは、新型コロナウイルスに感染したとしても誰もが肺炎になるわけではなく、体の防御システムが機能して、下気道への侵入を阻むことができれば、軽症で収まることも多い。 軽症で済むかどうかの分かれ道は、体の防御システムが機能するかどうかにかかっています。 高齢者や基礎疾患のある方は、免疫力が低下していて、防御システムがうまく働かず、重症化しやすいのです。 また、ウイルスや細菌がのどの奥まで侵入すると、気道の表面にあるセンサーが異物を察知して脳に伝え、脳は、即座にのどに対して、異物を吐き出すように指示する。 これが『咳』だ。 これも加齢とともに衰える。 このほか、気道には細かい毛(線毛)がビッシリと張り巡らされており、これも異物の侵入を防ぐ。 線毛の毛先は粘液で覆われており、口の方向になびくように動いているため、異物をキャッチして、ベルトコンベヤーのように口へと運んでいくのだ。 この絡めとられた異物は、咳をすることで『痰』として吐き出される。 このような防御システムがあるため、通常、病原体は上気道で炎症を起こす程度で、なかなか下気道まで入れません。 ところが、年を取ったり、糖尿病や心疾患などの持病があると、このようなシステムがうまく働かないことで重症化するのです。 国が示す感染予防対策はしっかりしていただきたいと思います。