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昆虫(コガネムシ)の名前を教えて下さい。
- 写真の昆虫(コガネムシ)の名前を教えて下さい。
- 札幌市近郊の森林公園で撮影された昆虫(コガネムシ)の種類を特定できるでしょうか?また、ヒメスジコガネ以外の可能性はあるのでしょうか?
- スジコガネやオオスジコガネなどの昆虫の特徴について、写真から判断することは難しいですが、翅の色や点刻の有無などを比較することで種を特定することができるかもしれません。
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候補に上がっている3種、ヒメスジコガネ、スジコガネ、オオスジコガネ~のそれぞれの見分け方です。 まず画像の個体の前翅の皺形状が全体的に間隔が広めで、水仕事した後のふやけた指の様になっている事などから「ヒメスジコガネ (Mimela flavilabris)」は対象から消えます。ヒメスジは前翅の皺形状がもっとも間隔が細かく、全体的にメタリックな金属質感で体付きも丸っこい。 - 参考リンク: ヒメスジコガネ https://mushinavi.com/navi-insect/data-kogane_suji_hime.htm 次に名前の由来ともなった前胸版の「スジ」がパっと見で分かるくらいに深めに入ってますので、この特徴からまず「スジコガネ (Anomala testaceipes)」が消えます。スジコガネは名前に偽り有り?で、余りこの "スジ(切れ込み)" があまりはっきりとしません。 - 参考リンク: スジコガネ https://mushinavi.com/navi-insect/data-kogane_suji.htm ~と以上のような消去法で行くと残るのは「オオスジコガネ」のみとなるので、この画像の個体は「オオスジコガネ (Anomala costata)」と判断して差し支え無いと思います。自分も画像の印象からこの画像の個体はオオスジじゃないかと思います。 因みに分類上でも… - スジコガネ亜族コガネムシ属: ヒメスジコガネ - スジコガネ亜族スジコガネ属: スジコガネ、オオスジコガネ ~となっており、名前は似通っていますが「ヒメスジコガネ」と「スジコガネ(オオスジコガネ)」は全くの別種という分類がなされていますね。ただしこれら3種共に生活圏や習性はほぼ同じなので、同一地域に同時に観察される事はよくあります(因みにスギやシダなどの針葉樹が好み)。北海道にも等しく同じくらいの頻度で分布生息しているものと推測されます。 P.S. ちょっと出遅れてしまい回答出来なくなったので、スレ違いとは承知しつつこの場を借りて豆知識というか補足情報?を書きますと… シデムシ類の仲間の幼虫は同じ属であれば当然ながら似通った姿形をしていますが、何故に「あの画像の個体」が「オオヒラタシデムシの幼虫」と断じるに足る根拠があるかと言うと。一般にシデムシ類の幼虫は土中に親虫が作ってくれた巣穴の中で生活し、エサとなる腐肉も親虫が運んで食べやすい肉団子状にしてくれます。そうやって大きく育ち、その土中の巣穴の中でサナギになって羽化して成虫になって始めて地表へと這い出て来る生活史を繰り返します。 ところが件のオオヒラタさんは小さい頃は他の仲間と同じく土中で過ごしますが、2~3回脱皮して終齢幼虫?の段階になると地表へと這い出て来て、幼虫自身が自分で走り回ってエサを探して食べる習性を持っています。ですので日本国内でシデムシの幼虫ぽい謎虫を見かけたら十中八九、それは「オオヒラタシデムシの幼虫」で間違い無いとなる訳です。 他にも近縁種として「ヒメヒラタシデムシ」や「クロボシヒラタシデムシ」などが居ますが。ヒメヒラタはかなり数が少なくて絶滅危惧種なんで普通に公園を散策したくらいではまずお目にかかれません。クロボシの方は成虫は度胸があって昼日中から堂々とエサを漁ってますが、幼虫時代は用心深くて滅多な事では人前には出ません(幼虫時代はずっと土中マンション住まい?)。というかオオヒラさん以外は大体が夜行性が多いですね。 オオヒラタさんは家族全員が大らかな性格で成虫も幼虫も人目を気にせず真っ昼間でもミミズの死骸なんかに齧り付いてますね。日本全国、津々浦々に幅広く分布生息している最も一般的なシデムシ類です。繁殖力というか競争力も強くて最近は色んな場所で勢力拡大中です。純然たる国内産の昆虫ですが、そういう点では外来種ぽい影響を他の国内種に与えています。 同じ様に幼虫がアクティブに狩り?をして自らのエサを探す昆虫に「マイマイカブリ」が居ます。昆虫好きならよく知られた「マイマイカブリの仲間は日本にしか分布生息していない固有種」というのは有名ですが、これらシデムシ、オサムシ、マイマイカブリ~は近縁種で互いの幼虫も非常に似通った姿形をしています(いずれも肉食性)。自分は慣れてるのでパっと見で「ああ、これはオオヒラだな」と分かりますが(笑)。予備知見が無い人だとこれら3種の幼虫の区別は全く付かないかもです…?? - オオルリオサムシの幼虫 https://goo.gl/images/fhr2tj - マイマイカブリの幼虫 https://goo.gl/images/egU1k9 あとこの他にも実は北海道に固有種の「ヒラタシデムシ (Silpha paerforata)」というのが居て、これは「オオヒラタシデムシ (Eusilpha japonica)」と外見上の区別はほとんど無く大きさも全く同じなんですが… - ヒラタシデムシの幼虫 https://goo.gl/images/8QSS7C 上記、参考画像でも分かる通り幼虫は全く印象が違うので、少なくとも幼虫を誤認する事はありません(違い分かりますよね…?)。 シデムシ類はその屍肉集るというネガティブなイメージとは異なり、多くの種で雄雌のペアが共に協力して子育てを行う習性を持つ、とても興味深い習性を持つ昆虫です。まあこのオオヒラタシデムシはその子育てをしない例外の種類なんですが…(笑)。 例えばツノグロモンシデムシは自分の何十倍はあろうかというネズミの死骸を幼虫のためにせっせと穴をほって地中深くまで埋め、さらに生まれて来る幼虫のために食べやすい様にネズミの死骸の毛の1本1本を丁寧に顎で咥えて抜き取り、まるで五つ星レストランのシェフの様に丹念に肉のトリミングをして最終的には元がネズミだったとは思えないくらい、見違えるくらいにキレイ?な肉団子に仕上げて産卵し幼虫の成長を助けます。 最新の研究結果だとこの "トリミング" には「腐った死体を新鮮なままに保つ効果」がある事が分かってきました(毛を舐め取る際に唾液から腐敗菌の繁殖を防ぐ酵素を出している)。また多くのシデムシが死骸を土中へ埋める、いわゆる "埋葬" の習性を持っているのは、同じく屍肉に集まるライバルであるハエから死体を隠し独り占めにする効果がある事も分かってきてきます。 他にもシデムシ同士で競合しないためか、種類毎に "好みの死体" が違っていて(こんな言い方するとホラーですね)。例えばオオヒラタシデムシは「ミミズ」が一番の好物です。他にもオオモモブトシデムシなんかは更に先へ行っていて、死骸や糞便に集まるハエの幼虫(ウジ虫)を狙って狩りをする事が知られています。いや~、シデムシって凄いですね! ~とまあこんな感じで…以上、長々と失礼しました。
お礼
ありがとうございました。 行動自体がおぼつかない身体になっていますが、昆虫たちにからかわれながら、リハビリの意味も含めて、昆虫を追っかけるようになりました。この歳になって、「昆虫の美しさ」に惹かれて、雨の日などは、自分の撮った写真をながめるのが、楽しみになりました(*^_^*)野草や花を追っかけているときに、沢山の昆虫と出逢っていながら昆虫には目もくれなかったのが、「人生最大の後悔」になっています。(T_T)(T_T)(T_T) それに、「昆虫の多様性」には悩まされています。植物の世界も多様ですが、植物の比ではないですね。ハンディ図鑑を何冊そろえても、「真の名前」にたどりつけない。先日、たまたま書店の昆虫図鑑のコーナーを覗いてみたのですが、「カメムシ図鑑」という大きな図鑑が、しかも3分冊で、……こりゃ、もう棺桶に片足を突っ込んだ人間が興味を持つ世界ではない、と痛感しました。(*^_^*) 「趣味の世界」ですから、オオスジでも、スジでも、ヒメでも良さそうなものですが、性分ですかねぇ~~。どう違うのかが知りたくなるのです。もっとも、それが分からないと種を特定できませんが。ご回答には、大変満足しています。いつもありがとうございます。 ご回答と参考リンクで良く分かりました。また出くわすと、迷うと思いますが。(*^_^*) P.S.……ありがとうございました。昆虫ではないな、と思い、「虫」として質問しましたが、昆虫の幼虫だったとは!!というレベルですので、有り難いです。 いや~、シデムシって凄いですね!……シデムシの生活、本能に基づく行動なのでしょうが、何故か、人間以上の「愛」を感じます。人間の世界のほうが、「虫けら」から、「虫けら」と笑われそうな世界になっていますね。それにしても、植物にも、例えば、「ヘクソカズラ」なんて、花は美しいにもかかわらず、その臭いのために、有り難くない名前をもらう植物がありますが、「シデムシ」を知ったときに、昆虫の世界にも、可哀想な名前をいただいた生き物がいたのだなぁと同情してしまいました。(*^_^*) それにしても、たかが「シデムシの世界」も、気が遠くなるほどというか、目眩がするほど、ものすごいですね。私の知識レベルではこうとしか表現できませんが。シデムシを見る目が180度転換してしまいました。自分なりに少し調べてみます。 本当にありがとうございました。