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80kg級ハイテン材亀裂対策
- 780ハイテン材のプレス加工による亀裂問題について
- 加工後の亀裂発生現象の原因と対処方法について
- 製品への残留応力が亀裂発生の原因である可能性がある
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Q1:冷間プレスのため、後工程で熱処理はできません。 やはり700℃以上に上げないとダメでしょうか。 A1:後工程で出来ないという意味がわかりません。 中間焼鈍は、冷間加工の途中で熱処理屋に出して焼き鈍してもらいます。 この場合は完成品ですから、これから熱処理屋に外注して焼鈍して もらうという意味で書いたつもりでしたが・・・。 400℃以下の焼き鈍しでも、若干の効果は認められます。 400℃~600℃の間は脆性が出てきますので、この温度領域は避けます。 従って、A3点以上780℃になります。 Q2:金型にヒーター等を組み込む際に市販品ってございますか。 A2:ワーク、金型の大きさがわかりませんが、市販の棒ヒーターを ダイ又はバッキングプレート、ダイホルダー等に深穴を空けて 埋め込みます。100mmぐらいから500mm以上まで標準であります。 テスト的には、ゴムのプレートのヒーターが市販されていますので これを挟んだらいかがでしょう。 連続で絞らないなら、ポンチの冷却は不要です。液体窒素や ドライアイスを入れるポケットを作っても十分冷やせます。 金型は、加工が始まれば、どんどん加熱され、変態量は少なく なります。 従って、加工開始から10個程度が割れるということも考えられ ます。 安い部品なら10個は不良にするという管理もできます。 金型の温度を電子式の温度計で、十分に管理して行ってください。 ※温度と材料特性について ハイテンもSUS鋼も50℃付近で、伸び率は大きくなり成形性 が良くなります。逆に引張強さは低温ほど高くなり、高温になる ほど落ちます。 780HTの適温はわかりませんが、100℃以上でしょう。 逆に高すぎると、加工誘起変態が完全に停止する温度があり、 急激に深絞り性が落ちてきます。 参考までに、SUS304はわずか40℃で、変態は抑制できた例が あります。
1.原因 (1)ハイテンの典型的な時効割れ現象です。 「時効割れ」「温間絞り」につえいては、以前に”過去ログ”に書いてありますので、それを読んでください。この回答では省略します。 時効割れは、そもそもオーステナイト系ステンレス鋼(ArSUS鋼)とハイテン(HT鋼)ぐらいしか起きない遅れ破壊現象です。 ArSUS鋼もHT鋼もオーステナイト組織から変態誘起塑性現象(TRIP)によりマルテンサイトへ変態し、大きな変形量を生み出すかわりに、大きな残留応力も発生し、その歪みにより遅れ破壊がおきます。 (2)発生のメカニズム 時効割れは、鋼中の組織変化FCC→BCC(オーステナイト→マルテンサイト)により体積膨張による応力の発生、割れの発生となりますが、原因はそれだけではありません。 もう一つが水素による影響があります。すなわち結晶粒界付近に水素が集積し分子化することが、応力を高める原因になります。 絞り油、脱脂、防銹油、めっき、塗装の全ての工程で促進させます。 特に絞り油、防銹油が、促進の原因になります。 2.対策 (1)応力除去 ?熱処理による残留応力除去 ハイテンの場合、A3点以上の温度(780~820℃)以上の温度からの急冷、350℃からの焼戻しで、応力除去が可能です。 しかし、この方法では、熱歪みや表面の酸化の問題がありますが、現品を生かすのは、この熱処理しかありません。 ?温間絞りによる応力発生防止 金型にヒーターなどを組み込み、変態抑制による応力の発生防止と残留オーステナイト量を増加させることにより抑制する。 以上2つが考えられます。 3.温間絞りの温度 (1)恒久対策 ダイ、ブランクホルダーを100~200℃に加熱、パンチ側を常温~-20℃に冷却できるように金型を改造する。 (2)緊急対策(実験) ゴムヒーターやアルミヒータを、ダイ、ブランクホルダー間に挟み、1晩加熱して100℃ぐらいに金型を暖めてから絞ってみてください。これで、割れは止まるはずです。 材料を高温しても出来ると誤解する方がいますができません。金型が冷えていると高い温度で、絞ることができません。必ずダイ、を加熱してください。
補足
ご回答有難うございます。 冷間プレスのため、後工程で熱処理はできません。 金型にヒーター等を組み込む際に市販品ってございますか。 やはり700℃以上に上げないとダメでしょうか。