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プリント基板の金メッキについて
- プリント基板の金メッキの全体像を整理し、用途や特徴をまとめます。
- 電解と無電解の金メッキや置換めっきと還元めっきなど、プリント基板の金メッキの種類と分類について解説します。
- 酸性浴、中性浴、アルカリ浴などの浴液やソフト金とハード金などのメッキ材料についても詳しく説明します。
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あくまでも私が10年間に渡って改善などのために集めた情報を元に作成しましたので、専門の方とは少し見解が異なるかもしれません。 プリント基板の表面処理の目的 一般にプリント基板の表面処理は 1.はんだ付け性を向上する等の目的で表面処理 2.銅箔部の酸化、腐蝕防止を目的 としています。 基板の表面処理にはいくつかの方法があります。 ・Sn-40%Pbのはんだめっき(現在鉛フリー化に伴いその役目は終わってい る) ・はんだレベラーと呼ばれるはんだ浴への浸漬法 ・耐熱プリフラックス(OSP) ・無電解Ni/Auめっき ・Snめっき(主にフレキシブル基板) ・Agメッキ などあります。 通常、はんだ付け性の向上でははんだレベラーやプリフラックスを行います。 端子の腐食保護や接触性を目的としてはめっきを用います。 電解金めっきはワイヤーボンディング(WB)や無電解Ni/Auめっきでは腐食 の可能性が 有る場合の接触端子としての目的で採用されます。 1.はんだレベラー 主にはんだ付け性を向上する目的で使われます。 安価(生産性が良い)ですが、面の平滑性や微細パターンには不向きです。 2.プリフラックス 銅箔表面に有機物(イミダゾール)の膜を生成して銅箔の酸化を防止します。 安価ですが耐熱性が他より劣ります。(最近は鉛フリー用の高耐熱タイプが出て いますが、 加熱の回数に制限があります。また、プリント基板の保管期限としては3か月程 度です) 3.無電解Ni/Auめっき 基本的にはんだレベラーやプリフラックスで問題がある場合に採用されますがコ ストが高いために敬遠されがちです。 Snとの金属間化合物を生成するためにNiが下地にメッキされ、その保護のために 耐腐食性の高いAuが用いられます。 Niは還元メッキで、析出金属が触媒作用をする自己触媒型で還元剤として次亜燐 酸塩を用いているため実際には Ni-P合金となります。Auは置換メッキで下地金属(Ni)が露出しているときだ け析出し、表面を覆うと 自動的にめっきが停止し薄くしか付けられません(max0.1μm)。 最小限のAuの厚みで下地保護が可能なだけでなく、めっきの時に電流を流すパ ターンが不要で液浸漬で めっきが行えるメリットがあります。但し、メッキ液の管理(特にNiのP濃度 )を怠るとはんだ付け時に問題 (濡れ性の問題や実装後の強度不足など)が発生することがあります。 4.その他、電解Ni/Auめっき 端子として使うほか、COB(chip on board)を目的とする場合に用いられます 。 めっきの方法としては電気化学反応の陰極析出を利用します、そのため電解めっ きと呼ばれています。 電解めっきは電気化学反応を用いているために厚くめっきできるという特徴があ りますが、 外部電源を必要とするためにの配線(めっきリード線)が必要なのでパターンに 制約が課せられます。 また、Auめっきが厚いためにはんだ付け時にはAu/Snの金属間化合物を生成 するため、 その接合が脆いためにはんだ付け後にクラックの原因となります ・無電解Ni/Auめっきにおける注意点 無電解メッキでは、Niめっきの還元剤にP(リン)を使うために問題が生じ るとされています。 めっき管理がうまく行われないとPの析出領域が発生し(あるいは酸化が起こ り)はんだ弾き、 いわゆるブラックパッドが発生すると考えられています。特にリフロー後のフ ローなどで発生しやすいです。 これはPの拡散速度がNiよりも早いためにはんだ付け時にPの濃化部(カー ケンタルボイド)がIMC(金属間化合物) 層に生じ、Ni-Snの金属間化合物(IMC)の生成に問題が生じて接合不 良を発生します。 特に近年はBGAや狭ピッチのQFP、コネクタなどの接合に問題が発生する 事が多いとされています。 ・ソフト金、ハード金 光沢あり、光沢なしについて ソフト金はCOB(WB)に使用され光沢剤をあまり添加しないのが一般的で す。 そのために光沢はなくなります。 逆にハード金は接触端子として用いられるために光沢性があります。光沢剤を 添加する ことでボイドを少なくして耐腐食性を上げます。金にコバルトを添加すること で 通常柔らかい金を固くしている。 ・メッキ浴について 各メッキ液メーカーによってどんなメッキ浴でそれぞれの目的に合ったものに するかは 異なるので、プリント基板メーカー、メッキ専門外注、薬品メーカーに問い合 わせる必要が あります。(私もこの部分で結構苦労しました、ノウハウとか持ち出してあま り詳細は 教えてもらえません) ・その他 台湾、中国系のプリント基板メーカーではフラッシュ金めっき(薄い金めっき )は 電解金めっきで行う場合が多いです。無電解金めっきは化学鍍金と呼ばれてい ます。 この電解フラッシュ金めっきはドライフィルムで行うパターンニングの代わり に ポジネガを反転させ、金めっきを先に行い金めっきパターンをレジスト代りに エッチングレジストとして使う工法です。 メッキ膜厚を安定させるためにニッケルの光沢剤を多く添加するために、半田 濡れ性が 若干悪いのが特徴となります。 1)単純にメッキの膜厚が薄いので耐ガス性に弱いために添加されます。 一般的には高リン、中リン、低リンタイプの3種類を使い分けるようです が、プリント基板の場合には一般的に中リンタイプを使うようです。 2)半田溶融時にNi中のPが拡散スピードが速いために接合部(ここではNi3SnというIMC)にPの濃化部が発生しその部分がカーケンタルボイドと呼ばれるボイドになります。その為にIMCの層が巣の状態になり、接合が弱くなると考えられています。 3)単純に金のコスト面から考えてAgメッキを行われているのではないですか?Agの場合はダイレクトにCuにメッキするために2層構造のAuメッキと比べて安価になるからでしょう。また、一般的には問題になっていませんがはんだ中の金は嫌われる(AuとSnのIMCは硬くて脆い)ので、顧客のリクエストで対応されているのではないでしょうか? 4)無電解金メッキでPdを中間にメッキする理由はCuが加熱中にNiのグレン間を通って表面に出てきます。さらに表面に出てきたCuは酸化するためにいろいろな問題が発生します。 一般的にPdを使う場合はリジット基板にCOBする場合に使われます。 厚いAuメッキより安価であること、また、メッキリード線を引きまわしできない場合にこの手法で無電解金メッキでCOBが可能となります。 すみません 1)の回答は言葉足らずでした。 基本的にはメッキ浴の安定、メッキの緻密性が目的ですね。このあたりはメッキ液メーカーさんがノウハウを持っておられるためになんとも言えませんが・・。無電解金メッキでのトラブルはほとんどPH値とP濃度の管理と言われているので顧客の要求に合わせたPH値を選択していると思われます。
私の知見で、ご参考までに。 ○無電解金めっき ・半田付け等の用途 ・ワイヤーボンド等の用途 通常の半田付け等の用途では、 無電解金めっきの薄付け(0.05μmぐらい)が多く、 下地ニッケル、パラジウム等の置換めっき(ENIGで よばれるものです)が一般的です。 ワイヤーボンド等の用途では、更に厚付け(0.2μm~) となるようで、置換めっきの後に、還元めっきで 厚付けします(高価です)。 配線の取り回しが必要ない、厚み均一性等のメリットに 対し、コストが高くなります(ご存知でしょうが)。 ○電解金めっき 用途は、無電解金めっきと被りますが、コネクター、端子用途が 多いかと。 硬質金めっき(ハード金)は、電解金めっきでCo等の合金めっき です。酸性浴で、光沢金めっきと呼ばれるとのこと。 軟質金めっき(ソフト金)は、無電解金めっき含めて、硬度の低い 通常の純金めっきにあたり、中性浴で、無光沢金めっきと呼ばれる とのこと。 通常は、ニッケル等下地上に、薄付けの電解金めっき(ストライク めっき)後に、上記めっき浴での電解金めっき処理となります。 下記リンク先が詳しいですので、ご参考下さい。 http://www.jstage.jst.go.jp/article/sfj/55/10/626/_pdf/-char/ja/
お礼
sanpoのメッキ様 お礼の返事が大変遅くなりまして申し訳御座いませんでした。 非常に詳しい説明を頂きまして、頭の中がクリアに整理された 感じがして、大変勉強になりました。 感謝申し上げます。 厚付け無電解で、置換金の後に還元金で厚くすることも 良く判っていなかったので勉強になりました。 また、参考になるリンク先まで教えて頂きまして 大変感謝致します。質問してよかったなぁと実感している次第です。
http://www.jade.dti.ne.jp/~abe-sold/dennkai.html プリント基板 金メッキ で検索をかけるといろいろのメーカーが出てきます、わりと判りやすく書かれていました。
お礼
1955さま ご回答頂きまして有難う御座いました。 netでも色々調べているのですが、なかなかマトメが出来ていません。 もう少し根気良く調査を頑張って見ます。 アドバイス有難う御座いました。
お礼
nakamura様 お礼の返事が大変遅くなり、本当に申し訳御座いません。 非常に勉強になり、どうお礼を言えば良いのか悩むくらい 深く感謝ております。心よりお礼申し上げます。 非常に詳しくご教示頂きましたので、理解が深まると同時に 別の興味(疑問)も出て参りました。 もし、お時間があればで結構なんですが、以下の点に付き コメントなど頂けませんでしょうか? お手数掛けますが、宜しく御願い致します。 1)無電解Ni/Auめっき Niめっきの耐食性を上げるために、Pの添加量を変えた タイプの薬液が多くありますが、この耐食性とは具体的に どんな不具合事象なのでしょうか? 2)無電解Ni/Auめっき 半田実装時にAuが半田を脆くして、落下試験などで 部品が取れる事が良く問題視されていますが 脆くなるメカニズムはどのような内容なのでしょうか。 3)Agめっき 上記2)の対策なのか、Agめっきをたまに見かけますが Agめっきの基本的な目的、用途は何なのでしょうか? 4)無電解Ni/Auめっき 銅の拡散防止の目的で、NiーAu間のPdめっきをする場合が あると思います。銅の拡散でどのような問題が出るのでしょうか? 大変、初歩的な内容で申し訳ありません。 宜しければ、一読御願い申し上げます。 以上