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ステンレス鋼の優れた耐食性の理由とは?
- ステンレス鋼の低炭素は、優れた耐食性を示す理由として注目されています。
- 低炭素のステンレス鋼は、鉄とクロムの化合物の膜が形成され、それが酸素と反応して安定した酸化物膜を生成します。
- この酸化物膜が、ステンレス鋼の表面を保護し、耐食性を高める役割を果たしています。
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ステンレス鋼は基本的にはCrを含有することにより、耐食性を発現しています。Crは主元素であるFeよりも炭素と結合し易すく、炭素があると炭化物(通常はCr23C6)を生成します。炭化物になると、炭化物そのものは非金属無機材料ですから耐食性は良いのですが、炭化物を生成する過程で炭素の周囲のCrが集まってきますので、結果として炭化物の周囲のCr%が、平均成分のCr%よりも低くなってしまいます。するとその部分は耐食性が低下してしまいます。耐食性を保つためには、できるだけ炭化物が生成しないようにする必要があります。そのひとつの方法が、炭素量を減らすことになります。JIS鋼種には、例えばSUS304に対し、低炭素のSUS304Lがあり、耐食性はSUS304Lのほうが上になります。 使い分けとしては、炭化物は600~800℃程度で生成するので、その温度域に保持するされるような可能性がある場合は、低炭素材を選ぶことになります。溶接でも熱影響部がそのような温度になるので、溶接構造用ならば低炭素材を選んだ方がよいことになります。 オーステナイト系ステンレス鋼の場合、最終熱処理は固溶化熱処理になりますが、その場合冷却途中で前記の温度域を通過します。その温度域での炭化物生成をできるだけ防ぐために、冷却はJISでも「急冷」と規定されています。急冷しても、わずかに炭化物は生成しますので、溶接などをしない場合でも低炭素材の方が耐食性は高くなります。 フェライト系ステンレス鋼の場合、同様に炭化物が生成しますが、組織を所定のフェライト相にするために、最終熱処理である焼きなましでの冷却はJISでは「空冷または徐冷」になっています。但し25%以上Crの高Cr系の鋼種では組織が安定しているため(高温から常温までフェライト相)、冷却は「急冷」になっています。 マルテンサイト系ステンレス鋼の場合でも同様に炭化物が生成による耐食性低下がありますが、硬度を出すためにあえてある程度炭素を含有させています。 炭素量はオーステナイト系<フェライト系<マルテンサイト系の順であり、耐食性は逆の順序になります。
以下に示すサイトのステンレスの腐食や割れについてを、特に参照下さい。 http://www.hsk.ecnet.jp/sus-kaisetu.htm 以下に示すサイトのステンレス鋼の耐食性についてを、特に参照下さい。 http://www.nisshin-steel.co.jp/nisshin-steel/product/market/32stainless/idx.htm そして、粒界腐食内容も 何故、ステンレスは錆び難いかを確認すると判り易いと思います。
簡単に説明しますと溶接により500~850度の過熱された部分はCr23C6が析出するためCr欠乏層を生じ粒界腐食感受性があがってしまい「鋭敏化」という状態になります。 その対処法としてCrと親和力の高いCを少なくするとCr23C6の析出も抑えられるため、Cr欠乏層は低炭素のほうが少なくなるので低炭素ほど耐食性がよいと言うことです。