まず「調質」とは「焼入れ・焼戻し」のことを言います。ですから「調質材」とは、「焼入れ・焼戻しされた材料」ということです。
通常、材料は圧延されたままの状態、すなわち熱処理なしの状態で出荷されています。これはユーザーによって必要とする硬さ・強さなどが異なるため、それにより熱処理が変わるからです。
しかし、材質によっては「一般的な」調質硬度がありますので、あとでユーザーがいちいち熱処理しなくてもいいように、最初からメーカで熱処理してあるものがあります。これを「調質材」というわけです。価格的には熱処理なしの材料代に町の熱処理メーカで熱処理する価格をプラスしたものにほぼ近くなっていると思います。
(注)一般に「焼入れ」といっても焼入れだけで焼戻しをしないということはまず有りません。(焼入れだけだと脆いため。)ですから「焼入れ材」といっても「焼入れ・焼戻し」してあるのが普通なのですが、誤解を招かないように正確に「調質材」と呼んでいるのだと思います。