- ベストアンサー
ステンレス鋼のオーステナイト系とフェライト系の磁性の違いについて
- ステンレス鋼において、オーステナイト系は非磁性体である一方、フェライト系は磁性体です。
- この違いは結晶構造によるものであり、オーステナイト系とフェライト系の結晶構造は異なります。
- なぜ結晶構造の違いが磁性に影響するかは分かりにくいですが、オーステナイト系が非磁性体である理由はまだ完全に解明されていません。
- みんなの回答 (4)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
- ベストアンサー
◎munshiさんが、結晶構造と非磁性であることに明確な回答されているので、つぎの2問について回答します。 Q1:冷間加工すると磁性体になると聞きました、ということは冷間加工で結晶構造が体心立法格子に変化しているということですか? A1:その通りです。オーステナイト系ステンレス鋼は、除冷すれば、2相の組織(フェライト;α相+オーステナイト;γ相)になりますが、市販されている材料は、約1100℃から急冷して常温でもオーステナイト組織;γ相のみの材料としています。、冷間圧加工により、安定な2相組織にもどろうとするわけですから、加工誘起マルテンサイト変態(γ相⇒α’相)を起こして、磁性を持ちます。この加工誘起マルテンサイト相(α’相)は固く、強固な組織となります。 Q2:冷間加工後焼鈍をすると非磁性になると聞きましたが、ということは再び面心立法格子に戻ると理解してよいのでしょうか? A2:焼鈍の温度によりますが、一般的にプレス部品などの場合、軟化と磁性防止を目的に、固溶化熱処理を行います。 このときの温度も1100℃付近から水中急冷させます。 A3:磁性をきらう理由ですが、 ?重電関係の筐体などの場合、高電圧下では磁性体であると誘導が生じ、渦電流による発熱等の問題が出てきます。 ?加工誘起マルテンサイト変態が発生すると、防錆力が落ちます。 ?硬度も同時にあがり、前述したようにプレス加工などの場合、次工程で加工が難しくなります。 ?絞り加工などの場合、残留応力も発生し置き割れ(時期割れ・時効割れ)の原因にもなります。
その他の回答 (3)
A1:必ずしも冷間加工で熱処理を必要とするものではありません。むしろコストアップ・リードタイムからも、さけるべきでしょうね。 下記のに深絞り加工時の時効割れについて回答してありますので見てください。 さらに不明な点があれば、ご連絡ください。 http://mori.nc-net.or.jp/ul.php?key=37baa78fd988006e:2552:8023:1084675240
お礼
素朴な質問で聞き始めた内容に対してここまで明確に回答していただき本当にありがとうございました。又何かありましたらよろしくお願いします。
そのとおりです。結晶構造(原子配列)の変化が磁性・非磁性の変化につながると考えていただければよいと思います。(と私は理解しているのですが、冶金学に詳しい方がおられれば念のためご確認ください。自信が無くてすみません)
お礼
ありがとうございました。 また何かありましたらよろしくお願いします。
通常の鋼は常温では体心立法格子という結晶構造をもっています。フェライト系ステンレスもこの中の一つです。これに対し、オーステナイト系ステンレスは18%のCrと8%のNiを含有することにより、常温での結晶構造が面心立方格子となります。ではなぜ面心立方格子が非磁性かといいますと、結晶構造の中で原子の持つプラスとマイナスがちょうどバランスして打ち消しあうような配列になっている状態と考えていただければよいかと思います。 通常の鋼も変態点以上の高温になるとオーステナイト(面心立方)組織になり、非磁性になります。真っ赤な鉄に磁石を当てられてみるとわかると思います。(ヤケドにご注意!)
お礼
早速の回答ありがとうございます。 追加で質問なんですがオーステナイト系ステンレスは冷間加工すると磁性体になると聞きました、ということは冷間加工で結晶構造が体心立法格子に変化しているということですか?又冷間加工後焼鈍をすると非磁性になると聞きましたが、ということは再び面心立法格子に戻ると理解してよいのでしょうか?どうぞよろしくお願いいたします。
お礼
ありがとうございました オーステナイト系ステンレスを冷間加工する場合、磁性、防錆力、置き割れを考えると焼鈍は避けて通れないことになるのでしょうか?