「世帯年収1000万円、夫は40歳で私は35歳、4歳と2歳の子供」となれば、昔であればそろそろ一戸建てでも買うかということになるでしょうが、今はなかなか難しい時代になりました。ただいろいろな選択肢があるのでケースごとに検討してみましょう。
1 持ち家か賃貸か
このテーマは永遠に答えが出ないと思います。それぞれのライフプランに照らし合わせてベストだと思う判断が持ち家または賃貸だと思います。私自身は持ち家ですが、賃貸を決して否定しているわけではありません。
2 今持ち家を買うのが妥当かどうか
これも意見が分かれるところですが、あなたの世帯では年収が1,000万円あるので、住宅ローンを組むことは容易でしょう。むしろ銀行はおいしいお客さんとしてお手てモミモミで歓迎すると思います。
ただし、世帯年収が1,000万円あったとしても住宅ローンの返済に加えて子供2人の出費は増えていく一方ですからかなり生活は苦しくなることは覚悟すべきでしょう。
今持ち家を買うというのであればそれも1つの選択肢ですが、あなたの旦那さんが転勤が多いという点を考慮すれば、老後の生活も含めて定住地を今のうちに決める必然性はあまりないと思います。決めるとすれば、両親の介護が必要、その他子供の教育環境を優先したい等の理由が考えられますが、まだ4歳と2歳ですから最終的な決断には弱すぎると思います。住宅の価格も今後は下がるかもしれませんし、消費税が10%に増税後に売れ残りの物件を買うことでコストを安く抑えられる可能性があります。
3 持ち家は一戸建てかマンションか
今買うのであれば、転売も視野に入れて立地条件がよく、値上がりも期待できるマンションがお勧めです。旦那さんが転勤族であれば、転勤の状況によっては持ち家を売らなくてはならないことも考えられます。この場合、マンションは立地条件がよければ売れる可能性が高くなりますが、一戸建ては個人の好みもありますので立地条件が良くても売れない可能性があります。できれば分譲マンションを買うか賃貸で凌ぐかの選択肢になります。転勤族の場合は転勤している間はマンションを誰かに貸してその賃貸料を住宅ローンに充てることができますが、せっかく買った家に他人に住まわせるのは抵抗があると思います。
仮にマンションを購入した場合はできるだけ長期(5年以上)の所有を検討してください。5年未満と5年以上では転売する場合の譲渡所得にかかる税金が違いますので、できるだけ長期間保有をして、かつある程度値崩れが起きない物件が望ましいです。
4 最終的な居住地の決定
まだ40歳であれば、最終的な居住地は慌てて決める必要はないと思います。大体両親の住んでいる近くか旦那さんの生まれ育った街、その他転勤先で気に入った土地などが考えられますが、定年までまだ時間があり、この先何回転勤があるのか分からないようであれば、無理をして決めなくてもいいのではないかと思います。
5 賃貸のメリットを最大限に生かしてからでも遅くない
もし社宅があるのであればそこに入居するのも1つの方法ですが、社宅が嫌いというのであれば賃貸に住むという選択肢はそのメリットを最大限生かして、将来の住宅資金を十分に準備してから持ち家を検討しても遅くないと思います。転勤族であれば必ずしも大都市だけではないと思いますので、地方都市であれば大都市と比べて安い家賃で広い物件がたくさんあります。地方都市であれば10万円くらいでかなりいい物件に住めます。選べる選択肢も増えますし、貸家なども結構ありますので、将来の持ち家購入の際には一度住んでみるのも参考になります。大都市部と地方都市では賃貸料にかなり差があるので、地方都市で賃貸料を抑えて貯蓄を増やすこともできます。
6 どうしても持ち家が欲しいと思ったら
できればどちらかの両親が近くにいる場所に購入したほうがいいでしょう。
あなたが専業主婦であれば単身赴任で家に残ることが考えられますが、子供がまだ小さいですので、できるだけご両親のヘルプが受けられる環境がベストですね。
7 高額所得者を狙い撃ちした税制改正
平成30年度の税制改正では比較的高額所得者を狙い撃ちした改正が行われています。年収で言えば750万円~1,000万円の世帯は実質増税になります。給与所得控除では年収1,000万円では220万円が控除されていましたが、2020年分以後の所得税では、850万円超で195万円に改正されます。今後は子供の出費も増え税負担も増すので、仮に年収が1,000万円あったとしてもメリハリのある支出をしないとお金は出て行く一方になります。
8 最後に
持ち家はライフプランでベストな選択とは言えない時代になったのだと思います。
将来的に収入がある程度見込めるのであれば、子供が成人してから持ち家を検討しても遅くはないと思います。子供2人の教育費はかなりかかりますから、その負担がなくなってから購入するほうがローンの返済計画も立てやすいのではないかと思います。
いろいろな選択肢があるのは羨ましいですが、よく家族と話し合って良い方向性を見つけてください。