被害届そのものは「こういう被害があった」という申告書です。そのため、捜査が完了し証拠が十分にあるなら、被害届に関わらず送検、起訴されることになります。
被害届の取り下げはいつでも行うことができ、取り下げに対して期日はありません。
被害届は入り口にしか過ぎないということです。
被害届を取り下げるがイコールで捜査をやめるというわけではない、ということです。
被害届を取り下げる示談をする、というのは軽微な犯罪、あるいは「十分に制裁を受けたか、十分な賠償を行った」などによる情状酌量を狙うということになります。被害届を取り下げると「被害者は被疑者あるいは被告に対して全てではないにせよ許している」とみられ、起訴前であれば検察が不起訴あるいは起訴猶予に、実際に裁判が始まっている場合は情状酌量の構成要件として取り上げられるでしょう。
判決が下ろうとしている日に取り下げても、既に判決の期日を迎えているなら控訴・上告がされるか、被害届そのものが虚偽でもない限り、取り下げそのものが影響を与えるとまでは言えません。
実際のところ、被害届の取り下げは裁判の審理中、口頭弁論が行われるような段階までと考えたほうがよいでしょう。
要するに裁判になって「被告」となった人が自己を弁護するための武器として「被害者の被害届の取り下げ」を使える段階まで、ということです。