炭水化物というのは、人類にとっての主食です。炭水化物からエネルギーをとるのが一番効率がいいのです。しかも穀物というのは保存がききます。だから人類は小麦、米、とうもろこしといったものを農業で手に入れ、そのおかげで1年を通じて飢餓に苦しむことなく安定的に食事にありつけることになったのです。もし肉類なら、保存がきかないですよね。燻製にすると保存はききますが、燻製では腹が膨れません。エネルギーの主力を炭水化物で手に入れ、野菜や肉などを組み合わせることによって炭水化物だけでは足りない分を補うようになったのです。しかし玄米なんかはカルシウムとタンパク質が足りないくらいであとはだいたい手に入りますから、日本人は玄米と大豆(植物性タンパク質)くらいしか食べなくなったのです。それでも生きていけたんですね。その代わりとして、日本人は小さかったのです。江戸時代の男性の平均身長は150センチそこそこでした。
じゃがいもですが、じゃがいもの原産地は南アメリカ大陸です。新大陸発見後にじゃがいもはヨーロッパに渡りました。一説によると、南米でじゃがいもを食べた白人がその美味しさが忘れられずにヨーロッパに持ち帰り栽培しましたが、どうしても美味しい実ができない。実は白人は花が咲いた後にできた実を食べていたんですね。で、これは失敗だと腹が立って引っこ抜いて火にくべたら香ばしい香りがしてきて、ふと見ると球根が美味しそうだったので食べてみたら美味しかった、という伝説が残っています。
原産地がアンデス山中なので、乾燥して痩せてて寒い場所で育つものなんですね、じゃがいもというのは。だから主に土地が痩せてて寒い場所でじゃがいもは爆発的に普及しました。具体的にはアイルランド、ドイツ、ロシアです。これらの土地は寒かったので小麦もなかなか育たず、ヨーロッパでは長年「不毛の地」だったのです。じゃがいもが普及するようになって、アイルランドは人口が倍に増えたほどです。しかし増えすぎた人口を抱えられるほどアイルランドは豊かではなかったので、多くのアイルランド人が北米に渡りました。今のアメリカ人にアイルランド系が多いのは実はじゃがいものせいなんですね。貧しい後進国に過ぎなかったドイツとロシアが列強になれるようになったのもじゃがいものおかげといっていいんじゃないかと思います。ちなみに北朝鮮でも食糧危機対策のために手間がかからず痩せた土地でも栽培できるじゃがいもの栽培は奨励され、「じゃがいもの歌」なんてのも作られましたね。
農業には詳しくないのですが、どうもじゃがいもは温かい場所での栽培は向かないみたいですね。日本でも生産が盛んなのは北海道ですからね。ギリシャやイタリアなどの南ヨーロッパでもあまり普及しませんでした。
さて、炭水化物ダイエットですが、20年くらい前かなあ、アメリカで「糖質制限ダイエット」ってのがブームになったんですよね。炭水化物っていうのは糖質で、糖質というのは体に吸収されやすくてすぐエネルギーにされるんです。しかし現代人の生活というのはそんなにすぐにエネルギーが必要な生活ではありませんから、どうしても収支がカロリーオーバーになる。だからもう糖質そのものを取るのをやめよう、というある意味過激っちゃ過激な主張でした。なにしろ糖質を嫌うあまり果物類をとることを禁じたほどです。果物からとれるビタミン類は「サプリメントで補えばいいよ」って発想するあたりがさすがアメリカ人。
だけどそのブームが終わってしばらくしたら今度は炭水化物制限ダイエットとなりましたね。まあダイエットというのはある周期で手を変え品を変えブームが起きますから、そういうものだと思います。飢餓の心配がこれっぽっちも要らない先進国ならではの発想といえるでしょうね。
お礼
コメも摂りすぎはイカンのですね。 結局、腹が満たされる錯覚を起こして、ビタミン不足を招いくおそれが。 カレーライスが国民食になるきっかけは脚気だったとはね。