“hit the road” というのは、ここでは「さっさと、よそへ行きな」の意味です。状況としてはNo.1 の方がおっしゃっている通りです。この表現は、基本的には「出発する、旅だつ、出かける、出て行く」の意味で、米英問わず、くだけた会話の場面で使われる表現です。
“Don’t you come back” の部分についてですが、覚えておくべきことは、英語の命令文はときに「本来省略されている主語 you が登場する場合がある」ということです。たとえば、「ここでタバコを吸うなっての!」という意味の “Don't smoke here.” は、ときとして “You don't smoke here.” になるということです。そして、これがリズムや口調の関係で、場合によっては “Don't you smoke here.” になるということです。別に疑問文になっているわけではありません。命令の強意だと思ってください。というわけで、この部分の歌詞は「二度と戻ってくるんじゃねえぞ」という感じになります。
あのレイ・チャールズのメロディーでは “You don’t come back no more, no more…” だと、ちょっとパンチが効かなくなってしまいますね。やはり “Don’t you…” でないと。
最後に、no more ですが、これはNo.2 の方がおっしゃるっているのに近く、くだけた会話では、文法的には不要な「否定を重ねる」というパターンです。学校で習う文法に従えば、というか新聞に投書したり、ネクタイをしめて話したり…という場面の英語でいうなら “Don’t come back any more.” となるのですが、仲間ウチの会話ではよく使われる言い方です。昔は「黒人英語」と教わったものですが、わたしが耳にする限り、肌の色に関係なく使われます。使ったとても「教養がない」とは思われません。大学出どころか、大学で教えている白人でもたまに使いますよ。べつに黒人気取りをしているわけではありません。また、近年広まってきた用法でもありません。けっこう昔から耳にします。
そういえば、最近ヒライ・ケンがカバーしている、イーグルスの「ならず者 Desperado 」がTVのCMで流れていますが、あの70年代の白人ロックグループ、というよりドラマーのドン・ヘンリーがつくった歌詞にも “Oh, you ain’t getting no younger.” というくだりがあります。「正しく」は、最後の部分が "any younger" になるべきなんですが。「あなたはいまよりも若くなることは決してない=あんたは、これから年をとっていくだけなんだよ」ということです。(“ain't=aren't”も「学歴がない人のつかう表現」という人がたまにいますが、それは間違い。大学の先生でも使います。要するに「日常的なくだけた話し言葉」だと理解してください。ただ、わたしたち外国人は真似しないほうが無難です。)
天才が死んでしまいましたね。
お礼
みなさん、ありがとうございます。よく分かりました。 ・hit the road 「旅立て」と訳されていますが、どちらかといえば「よそへ行きな」なんですね。 ・Don’t you come back 否定疑問だと思っていました・・ まず、命令形であること、それから二重否定の形をしているけどそうじゃないこと。 非常に勉強になりました。(このサイトがなかったら分からなかったと思います。感謝します)