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私の周りの人たちが犯罪を犯している可能性がありますか?
- 横領や不正受給などの犯罪が行われている可能性があります。対象の人物と関与者、そして罪の内容を詳しく説明しましょう。
- 犯罪の首謀者はM氏であり、実行犯はN氏です。さらにA社の社長も共謀者として関与しています。
- 具体的な犯罪行為としては、顧客データの盗難と改竄、不正な印刷と請求、取引先への賄賂、失業保険の不正受給などが挙げられます。
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本件では、横領の他、背任、詐欺等の成否が問題になりますが、いずれの罪も完全に理解するのは法学部の学生でもなかなか困難です。そのため、適宜かいつまんで説明します。 1 無断で顧客の印刷物のデータを持ち出し、顧客から利益を得る行為について (1) 背任罪(刑法247条) 上記行為につき、背任罪の成否が問題になります。N氏はデザイン部をまとめる地位にあたる者として会社にたいして上記不正行為等をしてはならない義務があるはずです。にもかかわらず、同義務に違背して会社に損害を与えていると考えられます(ここでいう損害とは、本来会社に入るべき利益が入っていないことです)。 他方、M氏はB社においてどのような義務を負っていたのか定かではありませんが、N氏と共同して背任行為によって会社に損害を与えたと考えられます。そうすると両者は、上記行為についてB社に対し、背任の共同正犯(247条,60条)の罪責を負うと考えられます。なお、N氏が取締役等の地位にある場合には、会社法上の特別背任罪(960条1項)の共犯が問題になります。 ところで、共同正犯とは、共犯の一形態であり、全員が正犯として処断される犯行形態のことです。 (2) 不正競争防止法違反 顧客の印刷物のデータがB社の営業秘密にあたる場合には、M,N両氏は、協力して「保有者(B社)の管理を害する行為により」(同法21条1項1号)営業秘密(印刷物データ)を取得したとして、同法違反の罪を負うと考えられます。 (3) 業務上横領罪(刑法253条)の成否 なお、横領罪は「物」を領得することによって成立します。印刷データは「物」ではありませんので、同データを持ち出すこと自体が横領罪を構成することはありません。 2 B社に印刷代金を上乗せして同社に請求する行為について A社(具体的にはA社の社長でしょうか。)M,Nは、代金上乗せ請求により、本来B社が支払わなくてもよい金額を、B社に支払い義務があるかのように偽って支払わせています。同行為について、B社に対する詐欺罪(246条1項)、背任罪の成否が問題になります。 B社からのマージンをA社(具体的にはA社の社長でしょうか?)、M,N三者で分配していることからすると、同人らは共同で上記犯行を企て、実行していると思われます。したがって、同人らはB社に対して、詐欺、ないし背任の(共謀)共同正犯の罪責を負うと考えられます。 3 サンプルの横流し 同行為について、サンプルを誰が管理(占有)しているのかによって窃盗罪なのか、横領罪なのか成立する犯罪が異なります。 (1) サンプルの管理(占有)を普段N,M氏以外の者(例えば会社)が行っている場合には、同人らに窃盗罪(235条)の共同正犯が成立しえます。 (2) 他方、N氏がサンプルを管理占有する立場にある場合は、N氏、M氏らは共同して同サンプルを横領したものとして業務上横領罪(253条)が成立します(ただし、厳密にいうとM氏は単純横領(252条)として処断されます(刑法65条2項)。同人は、業務上サンプルを占有していないと考えられるためです。) 4 失業保険の不正受給 M氏は国に対して詐欺の実行行為(刑法246条1項)を行っていると解さるため、同人に詐欺罪が成立することに問題はないと思われます。問題はA社の社長の関わり方です。同社長も不正受給を認識しつつ協力しているとなると詐欺の共犯として処断されることになります。 また、M氏は、失業認定申告書に虚偽の記載をしていると思われますが、同行為について、私文書偽造、同行使の罪に問われます(刑法159条1項、161条)。 5 印刷会社に対する資金提供 贈賄罪は基本的に公務員にたいして資金提供を行った場合に成立が問題になります(刑法197条以下)。印刷会社は民間の会社と思われますので、上記資金提供は犯罪にはなりません。 以上です。
お礼
私の分かりにくい説明にも関わらず、凄く細かく丁寧にご回答くださいまして本当にありがとうございます。 私の認識が非常に甘く、間違っていた事にも気付き、やはりこのような事をしている人達を放っておいてはいけないと思いました。この人達に対してB社がどのような対応をするかは分かりませんが、とりあえずは現状を報告しようと思います。 本当にありがとうございました。