根本的に違います。まず、現代のイスラム過激派による自爆テロは、宗教的情熱によって行われます。「自爆テロをすればお前は英雄で天国へ行ける」という教えがあるから、彼らは実行します。しかし日本の神風特攻隊はそういった宗教的背景はありません。天皇陛下が神様でどうのこうのとか、靖国神社に祀られてどうのこうのというのはあくまで名目上にすぎず、日本人は宗教のためには命をかけない民族なのです。
じゃあ実際に神風特攻隊はなぜ実行に移されたか。これが実に日本人的というか、「だって、他に方法がなかったんだもん」という理由なんです。サイパン島を巡る戦いで、マリアナ沖海戦というのがありましてね、これに日本軍は一方的にやられてしまったんです。本当に、嫌になるくらい相手に一指も触れられない。理由は米軍が強かったのと、日本軍パイロットがもう消耗して腕のいい爆撃パイロットがいなくなってしまったんです。
これじゃ、相手に損害を与えられないとなって、当時ドイツ軍なんかは無人誘導弾なんかになったわけですが、日本にはそんなハイテク技術はない。じゃあローテクでなんとかするにはどうすればいいか。体当たりなら最後の最後まで操縦するから命中率が高くなるはずだ、という結論に至ったのです。
それでものは試しとやってみたら、米軍もまさか最後まで突っ込んでくるとは思わなかったので虚を突かれて、日本軍が想像した以上に米軍に損害を与えられたんです。それでこの「禁断の麻薬」がやめられなくなってしまったのです。さすがに日本軍内でもこれは「統帥の外道」っていわれたのですけどね。
それで日本人らしい話というのが、この神風特攻隊の中に、関さんという自他共に「爆撃の神様」と呼ばれていた人がいたのです。歴戦の勇士である関さんは自分の操縦テクニックに絶対の自信を持っていて、「俺は撃墜されずに爆弾を当てることができる」といっていて確かにその通りだったのですが、神風特攻隊で出撃してくれといわれた。なぜかというと、「あの関さんが神風特攻隊で出撃した」と聞いたら誰も断れないし、日本人的にみんなが納得するからです。「第一人者が率先してやったんだからみんなやらなきゃいけない」ってね。日本人ならそのメンタリティは分かりますでしょ?
だから無理やり参加させられた関さんは最後にこういったそうです。「僕のようなやつがこんなことをやらなきゃいけないんだから、この戦争は負けるよ」と。
「純粋な日本人青年が母国を憂いてー」「愛国心がー」「犠牲心がー」なんていうのは、ネトウヨの美化した話に過ぎません。永遠のゼロなんて、中道的な思想の人たちを「人間のクズ」と自分が言葉を使う仕事の人なのに言い切ったネトウヨが書いたものですからね。
お礼
ご回答ありがとうございます。 >「だって、他に方法がなかったんだもん」 なんと短絡的な理由でしょうか。そんなことで多くの若い将校が 命を捨てたんですね。窮鼠猫を噛む、一寸の虫にも~ なにかそんなことわざを彷彿とさせる行為だったようですね。