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昔の飛行機はなぜ地上で傾いていたのですか?
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こんにちは。 概ね答えが出てきているようですが、少しずつ訂正すべきところがあるようなので改めて補足しつつ整理してみましょう。 まず、確かに、「尾輪式」(二輪式)は地上では不便が多いですね。乗客にとって床が傾いていて不快であるほか、プロペラ単発の戦闘機では上を向いた機首が邪魔でパイロットは前が見えないので、格納庫から滑走路までの移動には、わざわざ整備員を翼の上に乗せて方向を示してもらうことも多かったようで、みな首輪式(三輪式)にしたかったのです。 (”コルセア”など尾輪を長くしようとした機体もあるが前のめりになりやすいので、ほどほど) それでも尾輪式にせざるを得なかったのは・・・ ・プロペラ単発機では、首輪の引き込み収納場所がない!どうしようもない! (前方には大きなエンジンが鎮座。セスナは引き込まない機種から首輪ができた。もっとも戦闘機に比べてエンジンが小さいので後に引き込むようにできた。ほかにエンジンの位置を特別に工夫した”エアラコブラ”戦闘機などの例外はある) ・多発機で尾輪式にしているのは、次の理由 ・・多発機では荷重が大きい(旅客・貨物・爆弾など)場合が多く、主脚が重心より後ろにある首輪式では離陸引き起こしが難しくなる(他の方の”迎え角”の説明に近い理由。引き起こしには十分な加速が必要。) ・・荷重の大きい機体では強行着陸時のジャンプや未舗装滑走路などで首輪に無理がかかることがあり、無駄に頑丈にする必要がある上、方向を変える舵の機構を設ける必要があるために重量がかさむ。尾輪式なら重心近くに頑丈な主脚を設定するだけでよく、方向変更も片方だけブレーキをかければよいので、信頼性に比して重量軽減になる。 ・・尾輪式は着陸時の「しりもち」に強いため、誘導施設の乏しい飛行場などでの強行着陸がしやすい といったところでしょうか。 結局、プロペラ戦闘機はなくなり、空港も運行方法もエンジンにも余裕が出来たので、現代では尾輪式はなくなったところです。 余談ですが、まだ細々運用されているB-52大型ジェット爆撃機は、極端に大きな荷重のために、あえて重心近くにタイヤを置かず、自転車のように胴体の十分前と十分後ろに大きな脚(両翼に小さな脚)を設けた「自転車式」をとっていますが、その方法では離陸引き起こしがほとんどできず、離陸の「迎え角」は胴体への取り付け角だけが頼り(取り付け迎え角が大きいので空荷の飛行時は少し前のめりで飛行)だそうです。 さてさて、私が楽しくなって長くなってしまいましたがお役に立てば幸いです。
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- kagakusuki
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尾輪式の利点として翼の仰角を最初から大きくとっている事により揚力を大きくしている事を挙げておられる方もいらっしゃる様ですが、それが間違いである事は回答No.4様が仰っておられる通りです。 当然の話ですが、昔の飛行機はジェット機ではなくプロペラ機でした。 そして、プロペラ機の多くはプロペラが機体の前に付いています。 これは、何らかのトラブルが起きて機内から脱出する際に、空中でパラシュートを背負って脱出する場合や、地上を滑走中に外に飛び出す場合に、プロペラが機体の後方に付いていると、脱出した人間がプロペラに巻き込まれる恐れがあって危険であるため、プロペラは機体の前の方に取り付けられている訳です。 その他にも、エンジンやラジエーターがプロペラの後ろに位置する事になるので、プロペラの起こした気流がエンジンやラジエーターに当たる事で効率良く放熱させる事が出来るというメリットもあります。 そして、当然のことながらエンジンはプロペラのすぐ近くに位置します。 つまり、単発機の場合はエンジンと言う重量物が機首の所にあるという事になります。 そのため、単発プロペラ機の重心位置は機体の前方近くにある事になります。 飛行機の主脚を、もしも重心位置の真下よりもずっと後方に設けてしまいますと、離陸の際に機首を上げる際には尾翼によって作り出す下向きの力を非常に大きくしなければならず、機首上げを行う事が困難になります。 そのため、主脚は重心の真下近くに設ける必要があります。 つまり、単発プロペラ機の場合、主脚は機種に比較的近い所に設けられる事になります。 そうなりますと、前輪式にした場合には、前脚と主脚の間隔が短くなり過ぎて安定性が悪くなります。 それに、機首部の内部の大半はエンジンや、その補機類で占められていますから、前脚を収納するスペースを確保し難いという事もあると思います。 双発機や4発機、それにジェット機の場合には、単発プロペラ機程条件は厳しくありませんが、やはり前脚式では主脚と前脚の間隔が、尾輪式における主脚と尾輪の間隔よりも狭くなります。 何故なら、飛行機は重心よりも前の部分の長さは、重心よりも後ろの部分の長さよりも短くなる傾向があるからです。 飛行機は空中での姿勢を安定させるために尾翼を必要としますが、重い物をてこで動かす時の事を考えれば解ります様に、尾翼と重心との間の距離が離れている方が、尾翼が出さねばならない力が小さくて済みます。 尾翼に限らず、翼が作り出す力は、周囲の空気が流れる方向を曲げる事で得ていますから、翼の作り出す力が大きいほど空気抵抗は大きくなります。 ですから、尾翼をなるべく重心から離しておいた方が、空気抵抗が少なくて済みますし、空中における姿勢も安定します。 そして、水平尾翼は重心よりも前方に設ける事も出来なくはありませんが、垂直尾翼の方は、どうしても重心よりも後ろに設けなければなりません。 このため、飛行機は尾翼を設ける都合上、重心よりも後方の部分の長さが長くなりやすいのです。 そのため、前輪式と比べると尾輪式の方が、主脚から離れた位置に設ける事が出来ます。 ここで、離着陸のために地上を滑走している際に、地面の凹凸に当たって車輪が跳ね上がる場合を考えてみて下さい。 同じ高さだけ跳ね上がった場合、主脚との距離が長い尾輪式の方が、車輪が跳ね上がった際の機体の傾きの変化が小さくなりますから、揺れが小さくなります。 又、重心との距離が長いために、機体重量を支えるために尾輪が受け持っている力も小さくなりますので、尾輪が地面の凹凸に当たった際の衝撃力の大きさも、前輪の場合よりも小さくなります。 又、機体重量を支えるために受け持っている力が小さいという事は、ぬかるみ等の脆弱な路面を走行した際に、地面にめり込み難いという事でもあります。 昔の飛行場は、現在ほどには整備が進んでおらず、飛行機は舗装されていない滑走路に離着陸しなければならない事も少なくなかったという話です。 これは、単に整備が進んでいなかった場合もありますが、その他にも理由はあります。 ジェット機の巡航速度はプロペラ機よりもずっと速いため、ジェット機は主翼を小さくして空気抵抗を減らす事で、高速化を図ると共に経済性を高めているのですが、主翼が小さいが故に、低速では機体重量を支えるのに十分な揚力を得る事が出来ず、その結果、ジェット機の離着陸速度(即ち、機体重量を支える事が出来るギリギリの速度)は、プロペラ機よりも速くならざるを得ません。 高速で滑走している際に、地面に凹凸があったのでは、安全に滑走する事など出来ませんから、飛行機が高速化するに従って、滑走路を舗装する必要性が増して行く事になります。 これに対し、昔の飛行機の離着陸速度は、現代の飛行機のものよりも遅かったため、滑走路の凹凸は、現代ほどには問題とはならず、むしろ、多少の凹凸があったり、草が生えていたりした方が、滑走時のブレーキとなって、着陸距離を短くする事が出来るため、舗装された滑走路よりも、草地の滑走路の方が好まれた事すらあった様です。 そのため、不整地に強い尾輪式が好まれていたという事の様です。(とは言え、尾輪式の場合、主脚が地面の凹凸に引っかかった際に、前輪が無いため、前のめりに転倒してしまう事も少なくなかったという事です)
尾輪には、制動時の荷重がかからないので、重心から遠い最低限の荷重のみを支えれば良いため、極めて小さく出来るのです。 停止している尾輪式の飛行機が後ろに傾いているのは、迎え角を取るためではありません。 むしろ、停止状態から加速する時、このような大きな迎え角は抵抗にしかなりません。 実際には、滑走を始めてからある程度速度が出てくると、尾輪が浮き、機体は水平に近くなります。この時点で迎え角はほとんどゼロとなっています。その後の離陸の操作は、前輪式の飛行機と全く同じです。この時に尾輪が小さくないと、後ろがつかえて機体を起こせませんよね。
- fxq11011
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その必要がなかった。 ジェット機になってから?、重心の位置が後方になった。 重心位置が後方になったため、地上で支える主脚の位置が後方にずれた。 リアエンジンでは、機体中央より後ろになることも・・・、それで、前を低くしたのでは、離陸時に揚力が得られないため、ほぼ水平に・・・(尾輪式はそのままの姿勢で滑走でも揚力が得られる)。 例 ゼロ戦、一番重いエンジンが一番前にあります、できるだけ前に主脚必要。
尾輪式・・・なんて言うですけど、 昔のエンジンは力がなかったからです。 傾かせて迎角を大きくとることで 馬力の少ないエンジンでも短い滑走距離で離陸できた。 でも、この方式は、着陸が難しいですし その後、エンジンは力強くなりました。 ついでに飛行機も認められる(必要とされる)ようになり、長い滑走路(大きな空港) を建設できるようになったので、水平になりました。 ご自分で調べるときのキーワード 「迎角」・「前輪式」・「尾輪式」
- FEX2053
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飛行機は離陸時、大きな揚力を得るために、翼はある程度 斜めになっていた方が効率が良いんですが、離陸すると 速度が上がって、それほど迎え角は必要なくなります。 また、飛行機は軽ければ軽いほどいいので、複雑な主脚の 収納機能はできればつけたくありません。さらに言えば、 空気抵抗になるので、足はなるべくつけたくないんです。 この2点から、「3本目の足がほとんどなくていい」「離陸時 の翼の迎え角が大きくとれる」後ろに車輪のある方式が 大昔は主力だったんです。 あの、堀越二郎の「九試単戦」が、日本での主脚固定式の 最後の機体ですね。 ただ、この方式、離着陸時に路面の水とかを跳ね飛ばすと 前方にひっくり返るという問題があって、危険なんです。 実際ゼロ戦でも「ひっくり返った時にパイロットを守るため、 コックピットの後ろから飛び出す棒」なんてのがあったんです。 それと、離着陸時に揚力を大きくとれる「フラップ」という技術が 進展しましたし、飛行機の速度が上がって、空気抵抗のため、 主脚をどうしても収納しなくちゃならないようになったんです。 主脚の収納は、ちょうどゼロ戦のころ、尾輪式がなくなったの は、第ニ次世界大戦終了後のジェット機の時代からです。 主脚が収納されてしまう、さらに別に離陸時に翼に迎え角を つける必要がない・・・となると、離着陸時に安定性に欠ける (ひっくり返るかもしれない)、後ろ足のタイプは急速になく なったんです。 ということで、「昔は技術的に傾かないと飛べなかった、今は 傾かなくても飛べるので、傾けてない」と理解されるといいかと 思います。