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検査方法を変更しても性能に影響がないという証明方法
以下のようなイメージになります。 ある製品検査で24時間の通電エージングを行ってから検査を行います。 (検査は、たとえば、製品の電圧の測定を行います。) この24時間の通電エージングを省略しても検査結果に変化はないと考えており 24時間の通電エージングを廃止したいと考えています。 この評価方法として、 24時間の通電エージング前に電圧を測定 V1 24時間の通電エージング後に電圧を測定 V2 を行って、V1とV2に差がないということを確認し、エージングレスで問題がないと証明しようと考えています。 サンプル数は別途検討しますが、今回はとりあえず100個として サンプル1 の V1とV2 サンプル2 の V1とV2 ・ ・ ・ サンプル100の V1とV2 のデータを入手した場合、どのような評価を行うことが有効でしょうか? また、このような評価についての本があれば紹介していただければと思います。
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- stomachman
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実務でお困りなのでしょう。 ご質問の数学的側面だけについて言うなら、評価の方法としてはカイ二乗検定(χ2乗検定)が適切。 しかし、重要な注意点があります。 エージングをしてもしなくても検査結果に全く違いがない(あるいは、エージングを行わない方が検査に合格するものが多くなる)のだとしても、それだけでは「エージングレスで問題がない」という結論にはなりません。 そもそも「ある検査を通すためだけにエージングを行う」というのはちょっと普通じゃありません。エージングを一体何のためにやっているのか、仕事の中身に踏み込まねば話が始まらぬように思います。 どういうことなのか、ひとつタトエ話でご説明します。 ================ いつの時代の話かは分かりませぬが、F社は製造した真空管をS社に出荷している。S社では品物に詳しい性能検査をして、1級品、2級品、3級品 と分類して販売している。ただし、耐圧が低い品物は、他の性能を調べるまでもなく落第である。なので、S社が引き受ける品物は、F社で行う耐圧検査に合格したものだけです。そこで、F社では、製造した品物に24時間のエージングをしてから、最終工程として耐圧検査を行い、合格品をS社に出荷しています。 F社では、留学してMBAコースを卒業してきたという三代目が社長に就任して、さっそく、製造コストを下げろと現場に命令しました。そこで現場では、エージングをやる前と後にそれぞれ耐圧検査をやってみて、不良の発生数を比較した。すると、耐圧検査で見つかる不良品の数は、エージングの前に検査しても後に検査してもほとんど同じだ、というデータが得られました。 ★ならば、エージング前に耐圧検査して不良品を取り除いておけば、どうせダメな品物にわざわざ時間をかけてエージングを行うムダがなくなります。 ★ただし、エージング前の耐圧検査で不良になる品物の中には、エージングによって耐圧性能が向上し、エージング後の耐圧検査なら合格になる、という品物もときどきある。エージング前の耐圧検査で不良品を取り除くルールにすると、こういう品物も廃棄されることになり、それはそれでムダです。 品物を破棄するロス(1個あたりX円)と、エージングのコスト(1個あたりY円)、および、エージング前の検査で不良となるもののうちでエージング後に再度検査したら合格であるものの比率Pが分かれば、 エージングで救える品物を破棄してしまう無駄 = P X エージングでは救えない品物に手間を掛けてエージングする無駄 = (1-P) Y のどっちが大きいかによって、工程の順番を考えれば良い。計算してみたら、 PX < (1-P)Y だった。すると、エージング前に耐圧検査をしたほうが (エージング前の検査で発生する不良の個数)× ( (1-P)Y - PX) だけコストが安くつきます。不良の個数がそれほど多くないとすると、ほんのちょっとの改善ですけど。 この報告を受けた三代目社長が凄いアイデアを思いつきます。「S社に出す品物は耐圧検査に合格している必要がある。だが、エージング前に耐圧検査をすればいいのなら、エージングなんて一切やめても同じじゃないか!これで製造コストがうんと下がる。さすがだぜ(>俺)」「いや社長、それはまずいのでは…」「うるへーうるへー、俺の言うことが聞けないか!エージング担当者は全員クビだ!設備も捨ててしまえ!!」 F社がエージングをやめたところ、S社の性能検査で1級品に合格する品物の数が猛烈に少なくなった。というのも、真空管のエージングは、真空管内の真空度を悪くする原因になる不純物を吸着して除去するのが目的であり、これをやっておかないと本来の性能が出ません。つまりエージングは製造工程の必須の一部分である。何も耐圧検査のためだけにエージングをやっていた訳ではない。 急に品質が落ちたというので、S社の社長がびっくりして飛んで来ます… つづく。(<続かないって) ============== もちろん、エージングが24時間必要か、もっと短時間でも同等か、という検討の余地があります。