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放射線が怖くなければ原発は大丈夫ですか?
近年放射線被ばく量が、年間100mSv程度までなら、 健康に何ら影響しないという事実が確認されつつあります。 もし、日本の厚労省がこの事実を認めた場合、 原発を特別扱いする理由が激減します。 その場合、原発新設・増設が今よりはるかに 容易になるのでしょうか? 仮定の話としてお教えください。
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原発の安全性を脅かすものとしては、2つのことを考えなければなれません。 1つは、核暴走のような核反応です。これは、チェルノブイリで起こりましたが、原子炉の制御が できなくなった状態で、莫大なエネルギーを瞬時に出す状態です。チェルノブイリでは、核暴走 の後に、水素爆発(水蒸気爆発とも言われている)が起こり、格納容器がないために、燃料自身が 外部に飛散しました。 2つ目は、水素爆発のような化学反応です。今回の福島で起こったような原子炉の核分裂 (核暴走)は、止めることができたのですが、その後も数%の熱が燃料のところで、崩壊熱と 呼ぶのですが、発生します。従い、その熱を除去するために冷却しないと、燃料が高温になり、 特に、軽水炉では、燃料を被覆している被覆管が1000℃程度より、水と反応して、水素を発生 させます。そうしますと、その水素が、建屋などの酸素のあるところまで、漏れてきますと、 水素と酸素の濃度条件(水素4%、酸素5%)により水素爆発が発生します。 そうしますと、原子炉に含まれていた放射性物質が外部に飛び出しますので、その放射性物質 から出る放射線による被ばくを心配しなければなりません。すなわち、安全の問題としては、 核爆発による心配と放射線による心配の2つがあります。 しかし、それらについて、科学者や技術者は、起こらないようにすることを科学技術の特性を うまく生かして、また、技術により、その安全性を脅かさないようにさせようとしています。 当然それを確立するためには、相当の試練を踏んできています。しかし、結果的には、 今回のような想定しなかった津波により、核爆発は原子炉を止めることで防止できましたが、 水素爆発は、防止することができませんでした。そのために、放射性物質が外部に飛散し、 多くの住民に避難をさせるはめになりました。 そこで、放射線被ばくがどの程度なら、心配なのかということになります。これについては、 最も多くの疫学データを持っているのが、広島と長崎で被ばくした方々の体験データです。 それ以外にチェルノブイリ事故などのものがありますが、それら体験されたデータをもとに、 放射線が及ぼす「がん」についての影響データを調べられて、その結果、低線量被ばくの 100mSv以下においては、有意な放射線障害は、見当たっていないとの見解を国際放射線 防護委員会(ICRP)が宣言しました。 ただ、100mSv以下については、障害にあたるデータがありませんので、ICRPでは、安全側 にするために、1000mSvでの影響度とゼロ点を直線で結ぶことにして、100mSv以下でも 影響があるようにとしてしまいました。それで、100mSv以下はあくまでも仮説ですので、 この直線で引いたことについて、LNT仮説と呼んでいます。従い、100mSv以下については、 学者間でも意見が分かれるようになりました。しかし、事実を見据えれば、100mSv以下に ついては、安全であると宣言しても良いのではないかと思います。 その背景には、低線量被ばくのところでは、医学的に認められている「修復機能」や 「アポトーシス」(「がん」自身が死滅する)などがあります。また、医学的な証明には 至りませんが、「ホルミシス効果」というのがあります。ご存知と思いますが、三朝温泉は、 ラジウム(放射線を出す)温泉で、それに浸かっている方々は、放射線に浴びに行っている のですが、彼ら近辺の住民は、むしろ「がん」による死亡率が低くなっています。 このようなことから、低線量被ばくについては、悪い影響は見つかっていないということです。 放射線被ばくについては、人体実験ができませんので、多くの疫学データにより、判断する しかありません。そうしますと、学者の中には、放射線には、当たらなければ当たらないほど 良いなどという学者も現れます。 従い、こうしたいろいろな知識を学び、自らのものとして、各人で判断してもらうしかない ようになります。しかし、もし、日本の厚労省がこの100mSv以下なら安全であるという事実を 認めた場合、原発を特別扱いする理由が激減するかとなれば、必ずしもそうならないように 私は思います。その一つには、日本人は、国の言うことについて信頼していない面があると 思います。「多少原発についての意識が変わるかな」というところではないでしょうか。特に、 既に、1mSvを目指して除染を進めると国が謳っていて、今100mSv以下なら安全だと言ったと しますと、ますます、住民に混乱を与えることになるのではないかと懸念します。従い、たとえ 100mSv以下が安全であるとしても、いったん発言している言葉がありますので、それを訂正する となれば、余程表現をうまくしないと難しいでしょう。しかし、現状の除染状況を見ていますと、 正しい方向への修正が必要と考えます。 そして、低線量放射線被ばくについての認識を少しでも、国民に理解してもらい、その上で、 我が国の経済情勢について、大変な状況にあることを理解してもらって、日本のエネルギー事情 からすると原発を安全なものにして、エネルギーの一端を担ってもらわなければ日本の経済が 成立しないことを理解してもらうことでしょう。そうしたことが、理解されて初めて、原発新設・ 増設が今よりはるかに容易になるのでは無いでしょうか。
お礼
ありがとうございました。 理性が通らないとは、人間やめるのですか?