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源氏物語の翻訳について
- 『Locked away in an utterly blank and uninteresting bedroom, she will be subject to odd flights of fancy, so that in her hands the arts that others learn as trivial accomplishments will seem strangely full of meaning and importance; or perhaps in some particular art she will thrill us by her delightful and unexpected mastery.』
- 『Such a one may perhaps be beneath the attention of those of you who are of flawless lineage. But for my part I find it hard to banish her....” and here he looked at Shikibu no Jo, who wondered whether the description had been meant to apply to his own sisters, but said nothing. ”If it is difficult to choose even out of the top class.....” thought Genji, and began to doze.』
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今晩は。いつも大変丁寧なお礼をありがとうございます。私の独りよがりの説明ではよく分からないことも多々あろうかと思います。ご遠慮なくお聞きください。(分からないことは分からないと申し上げますので、遠慮はご無用です。) 前回のご質問で2つ補足いたします。 1)>the upsetting of all our wise theories and classifications・・・ ここは【the upsetting of】【all our wise theories and classifications 】というくくりになるということでしょうか? ● of は普通は所属の意味ですね。the cover of the book(その本の表紙)とか。でも、the publication of the book というと、publicationとthe bookの関係は、動詞と目的語の関係ですね。つまり publish the book という動詞句を名詞化していることになります。 同様に、upset all our wise theories を名詞化する1つの方法として、the upsetting of our wise theories があるということです。 2)with what excitement should we discover her !のところで should の説明を忘れていました。普通のわれわれの感覚では、would を使うべきところですが、イギリス英語だと、1人称の単純未来形は、I shall / We shall を使う場合があります。例)I shall be 50 years old next year. のようにです。それでここでも、we shall の仮定法で、should を使っているわけです。 ************************************ 1)『Locked away in an utterly blank and uninteresting bedroom, she will be subject to odd flights of fancy, so that in her hands the arts that others learn as trivial accomplishments will seem strangely full of meaning and importance; or perhaps in some particular art she will thrill us by her delightful and unexpected mastery.』 >もし万一全く空虚な、退屈な寝室に閉じ込められている女性がいるとしたら、彼女は空想の普通でない高まりに従属させられるでしょう。そのため彼女の手の中で、他の人たちが取るに足らない成果として習う芸術は、不思議に目的と重要性で一杯であると思われるでしょう。もしくはことによると、ある独特な芸術の中で、彼女はとても喜ばしい予期もしない熟達によって、私たちをわくわくさせるでしょう。・・・・・・? ●Locked away… の処理以外、完璧です。 >「Locked away」を、動詞が最初に来ているので命令文で訳してみたところ、「閉じ込められなさい」になってしまい訳がおかしかったのと、「 she will be subject to odd flights of fancy」が未来形になっているので帰結節なのかと思い、「Locked away in an utterly blank~」を条件節で訳しました。 ●命令文ですと、動詞の原形であるはずです。このように過去分詞で始まり、後にS + V が来る場合は、100% 分詞構文です。過去分詞の前に Being が省略されていると思えば理解しやすいでしょう。 分詞構文が主節とどのような意味関係で結ばれているのかは、千差万別です。しかし主要なものは以下の通りです。(これも丸暗記です。)1)時、2)同時進行、3)結果、4)理由、5)譲歩、6)条件、7)手段、8)付帯状況・・・(だんだん丸暗記の囚人たる自分の馬鹿さ加減がいやになってきました)。この場合は、前の部分との関係で、「理由」が近いかもしれませんね。節で書き換えると、As she is locked away in an utterly blank and uninteresting bedroom,とでもなるのでしょうか。 訳としては、「まったく空虚で変哲もない閨に閉じ込められているので、彼女は空想の奇妙な飛翔に見舞われます」が学校文法的な訳になります。しかし分詞構文はいわば連用形ですので、日本語でも連用形にして、「彼女は、まったく空虚で変哲もない閨に閉じ込められており、空想の奇妙な飛翔に見舞われます」とか、主節の主語(she)に引っ掛けて「まったく空虚で変哲もない閨に閉じ込められているそうした女性は、空想の奇妙な飛翔に見舞われます」としたりすることがよくあります。 なお be subject to ~は、重要イディオムですが、訳しにくいことが往々にしてあります。これも丸覚えですが、subject の「臣下、家来」という意味をイメージしながら、suffer from/experience という英語の定義を覚えておくと応用が利くと思います。 The schedule is subject to change. というと、the schedule が臣下で、change が主人様です。changeのほうでこう変えるよと言ったら、the scheduleは「はい、わかりました」という上下関係なのです。そこで「予定は変更されることがあります」という訳が出てくるというわけです。 >(前回の文の中で「suppose that」 ~「there should be locked away some creature of unimagined beauty」というのが出てきましたが、同じ「locked away」が使われているということで、ここは「文脈の力による省エネ」のため「suppose that there should be」が先頭から省略されたと考えたのですが・・・) ●「文脈の力による省エネ」は高級文法で、もっぱら時制や冠詞の問題に関わってくるものです。日本語のように、適当にはしょるわけにはいきません。 >「bedroom」・・・わざわざ「寝室」に閉じ込められているという状況がよくわかりません。ここは普通の「room」ではいけなかったのでしょうか? ●もちろん「room」で結構です。原文に「閨」とあるのでそれを訳したのでしょう。西洋人が読むと、sex slave としての日本女性というイメージが浮かぶでしょうが、またそれは、昔の日本の貴族社会の真実の一片を言い当てていますね。 >so that in her hands・・・・「so that」は「そのため」? ●その通りです。so that の後に、can や may や will といった助動詞が出てくると、目的構文になる確率が高いですのでご注意下さい。 >in her hands・・・・彼女の手の中で?手の中の芸術というと書くことですか?描くことも入りますか?琴を弾くことなど? ●手をつかうたしなみですと、書、琴が主だと思います。和歌を作ってそれを美しい文字で書けることがコミュニケーションでは必須だった時代です。私など、その時代に生まれなくてよかったと思います。 >ここは退屈な寝室に閉じ込められているので、空想が高まり、芸術の方面に優れたものが表れる、ということですか? ●その通りだと思います。目を潰された鶯に似ていなくもないですね。 (字数制限が来たので別に投稿します。)
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- go_urn
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# 1です。続きを書きます。 2)『Such a one may perhaps be beneath the attention of those of you who are of flawless lineage. But for my part I find it hard to banish her....” and here he looked at Shikibu no Jo, who wondered whether the description had been meant to apply to his own sisters, but said nothing. ”If it is difficult to choose even out of the top class.....” thought Genji, and began to doze.』 >そんな人は多分、完全な血統であるあなたたちの、それらについての注意の価値がない可能性があります。しかし私としては、彼女を追い出すことは難しいと思います。」そしてここで彼(馬頭)は式部の丞を見ました。彼(式部の丞)はその説明が彼自身の姉妹たちに当てはまることを意味していたかどうかと思いました。しかし何も言いませんでした。「もし最高の階級からさえ選ぶことが難しいなら・・・」源氏は思いました。そしてうたた寝を始めました。・・・・・? ●完璧です。 >the attention of those of you・・・・・ここのthoseは何を指しているのでしょうか?「those 【arts】」ですか? ●those は、 those who ~となると、「~の人々」という意味です。この場合は of you が挟まっていますので、構造が見えにくくなっています。「あなたがた(のような)、~の人々」ということです。 >I find it hard to banish her..・・・・ここの「her」は1)に出てくるような女性のことでしょうか?追い出すのは難しい?なぜ難しいのでしょうか?源氏たちほど身分の高くない馬頭にとっては価値を見出すことができる女性だからですか? ●そうだと思います。源氏たちのように身分が高ければ、身分の高い女性たちの中に理想の女性を見いだす可能性が開かれているだけに、下々の世界にまで注意を払う必要もないが、源氏たちほど身分の高くない馬頭にとっては、こうした世界にもテリトリーを広げなければやっていられない、という心理でしょう。 >If it is difficult to choose even out of the top class....・・・・ここの言っている意味がよくわかりません。最高の階級からさえ選ぶことが難しい・・・?この後源氏は何と思ったのでしょうか? ●原文は、「いでや、上の品と思ふにだに難げなる世を」(まあまあ、上の階層と思われる女性たちでさへ、理想の女性を見つけるのは難しい世の中であるというのに)ですから、後には(私の下品な英語で言うと)how can you expect to find a paragon of a woman in the lower classes? のような言葉が続くと思われます。こういうざっかけないことを言わないところにこそ源氏の品位が感じられるわけですね。 >女性の品定めにおいて、現代では「芸術」については左程話題にならない気がするのですが、当時はそうでもなかった感じですね。 ●「芸術」概念は、19世紀のロマン主義革命で高尚化され、それが大衆レベルに降りてくると気持ちの悪い(weird)ものになりました。ですので、私の伴侶は芸術を解する人であってほしいなどと言うと、男も女も「ひいて」しまいます。でもそれまでは、芸術は生活の中の一部でしたから、ごく自然なことで、貴族階級にあっては、芸術を解さない人=下品な人だったことでしょう。恋人たちの高次のコミュニケーションは、芸術を介するよりなかったと思います。美しい文字で書かれた奥ゆかしい文面の恋文などは、今は絶えてないのでしょうが、もらったとしたら、現代人も案外喜ぶかもしれませんね。また奥さんが、琴やお茶や生け花を嗜むのも、ご主人にとっては悪くないかもしれません。伝統的な心は、まだわれわれの心の奥底に、少しは生きているのではないでしょうか。 ************************* 《余談》 日本でも19世紀後半から社会主義の運動が起こって来ました。ブルジョワの横暴は日本でも同じことですので、人道主義を掲げたり、社会的良心ということを真面目に考えたりすると、どうしても社会主義に向きあわざるを得ません。 白樺派についてはすでによくご存知だと思いますが、学習院出身者(当時は今と違って貴族の子弟が多かった)を中心に、人道主義に基づく文学や芸術を創造しようとしたグループですね。1910年頃にグループが結成されます。志賀直哉、武者小路実篤、長与善郎、有島武郎、柳宗悦、里見弴などが中心人物です。彼らは日本の文学者の中で例外的な上流の出身者で、(働かなくてもいい身分で)当然裕福です。古河鉱業に肩入れして足尾銅山の開発にあたった祖父を持つ志賀直哉も、家を買った時、2000坪しかないとどこかで書いていたのをうろ覚えに覚えていますので、庶民とはかけ離れた意識を持っていたと思います。社会主義信奉者から見れば、なんと言う奴らだということになるでしょう。白樺派の面々は、人道主義は掲げても、社会主義運動家にはなりませんでしたが、武者小路実篤の「新しき村」は、無階級のコミューンを目指している点で、やはり社会主義的と言える試みです。 また有島武郎は、自分がもっている北海道の広大な土地を農民たちに無償開放しています。それがちょうど1922年のことでした。このように、社会主義思想は、日本の知識人層に同調圧力として重くのしかかってきていたのです。白樺派のような上流階級の子弟をすら動かしているところに、その圧力の大きさが窺えますね。 ちなみに、本論から脱線しますが、有島武郎は、波多野秋子という美人と心中を行ったことでも有名です。渡辺淳一『失楽園』にはこの事件が迫真的に描かれており、山岸外史 『人間太宰治』とともに心中の生々しさ、凄まじさを私に教えてくれました。(つづく)
お礼
こちらにも続けて大変丁寧に回答してくださってありがとうございます。 「those of you~」は「 those who ~」なのですね。ちょっと難しかったです。 身分に応じたテリトリーの範囲があるのですね。 how can you expect to find a paragon of a woman in the lower classes? (どうやってあなたはより下層の階級の中に、女性の手本を見つけることを期待することができるのでしょうか? (期待できないでしょう))ということですね。 口に出さずに思っていたということになるでしょうか? 口数を少なくしていると品よく見えるでしょうか?! 「私の伴侶は芸術を解する人であってほしい」というのはあまり聞かれませんね。 美しい文字を書く人はそれだけで何か徳のある人のように感じられます。 (その文面が恋文だとしたら効果はかなりあるのではないでしょうか?) 「琴やお茶や生け花」は古風な感じでそれもまた美しさを感じますね。 今日振袖を着ている人とすれ違いましたが、着物は本当にびっくりするぐらいきれいだと あらためて感じました。日本の伝統に触れる機会がもっとあるといいと思いました。 ************************** 社会主義運動が起こるのは歴史の必然かもしれませんね。 白樺派・・・(すぐに国語便覧を開きます) 「自然主義の文学」は彼らを抑圧する社会と本質的に対決できず、 中下層庶民の暗い生活を描く方に傾き、その下降性に反発したのが「白樺派の文学」だとありました。 文学者というとあまり裕福なイメージはないのですが、白樺派の人たちは相当生活には恵まれていたようですね。 「新しき村」は大正7年に宮崎県に建設されて、共同生活をして反響を呼んだようですね。 有島武郎は『白樺派の中でもっとも社会主義的傾向が強く、第一次大戦後の社会主義台頭の風潮に知識人の役割を苦悩』とありましたが、農民たちに土地を無償開放するなど気持ちを実行に移していた人なのですね。 得てして自分さえよければ、となりがちですが、社会の波は大きく動いていたのですね。 有島武郎は『本質的解決はできず人妻と情死』とありました。 何か破たんをきたしてしまった感じですね。 『失楽園』は有名な小説ですが読んだことがありませんでした。『人間太宰治』と合わせて読んでみます。 (月曜日にまた投稿します)
お礼
今晩は。たくさんお答えいただいている上にありがとうございます。私の理解力の問題だと思います。 いつも大変丁寧に回答をしてくださってありがとうございます。 前回のところの説明を再度してくださってありがとうございます。 元々「upset all our wise theories 」(動詞+目的語)という考えから、これを名詞化するにあたって 「the upsetting of all our wise theories」という(動名詞+of+O)の形をとっているというのがわかりました。 イギリス英語だと、1人称の「単純未来形」は、I shall / We shall を使う場合があるということですが、 桐壺のところで、この時代のイギリスの1人称の「意志未来形」は「I shall」が使われるというのを教えていただいていたのを思い出しました。 (he should henceforward look upon her as though she were one of the Lady Princesses, his daughters.・・・こちらは時制の一致でshallがshouldになっていました) shouldが出てきたらwouldなのかもしれないと考えてみなくてはいけないですね。 「Locked away」については回答がとても知りたかった部分でした。 『過去分詞で始まり後にS + V が来る場合は、100% 分詞構文』という回答をいただいて そうだったのか!と思いました。 (「文脈の力による省エネ」ではないですね) 分詞構文についてですが、日本語訳を入れてみると1)時(~のとき)、2)同時進行(~しながら)、3)結果(そして)、4)理由(ので)、5)譲歩(だけれども)、6)条件(もし~ならば)、7)手段(~で)、8)付帯状況(~と共に、一緒に)という訳し方におよそなりますか? Locked away ~の文で分詞構文の「条件」の意味になる可能性は0%ですか?もしそうだとしたら根拠はどういうところにあるのでしょうか?(分詞構文ということがわかっても「もし~ならば」で訳してしまいそうです)(If she is locked away~) be subject to ~の捉え方の説明を詳しくしてくださってありがとうございます。 「臣下、家来」のイメージと「suffer from/experience」の英語の定義ですね。 The schedule(:臣下) 【is subject to】 change(:主人様). で (予定は変更されることがあります)になるのですね。訳がすっきりしていますね。 「bedroom」は原文の「閨」(ねや)から来ているのがわかりました。 Waleyは日本文化をよく知っていますね。 手をつかうたしなみを「in her hands」という英語で表しているのですね。 (その時代に生まれていたら必要に迫られるかもしれませんね) 目を潰された鶯の鳴く声は悲しげだと思います。