小学校低学年はさすがに無理でも、高学年か中学生程度で良ければ、昔作ったテキストを修正して貼ります。
まず各国の財務省と中央銀行の役割をおさらいしましょう。
簡単に言うと、財務官庁と中央銀行は、各国の「経済政策」をやっています。
経済政策とは、要するに経済を安定させるための政策です。
経済というのは国民の生活そのものをお金という面から表したものですから、これが安定するというのは、すなわち国民生活が安定するということです。
具体的には、インフレーションとかデフレーションとか、そういった経済的な変化が急激に生じないように、またそれらの影響で企業の倒産や失業者が増えないようにするのです。
更にくわしく言うと、経済政策には「財政政策」と「金融政策」があります。
財政政策は、政府が国民からお金を税金として集めて公共的な用途に使う「財政」の内容を工夫して、経済を安定させることです。
政府と民間企業と家庭で出し入れするお金の総量がその国の経済と言えますが、財政はそのいずれにも直接と間接で強い影響を与えることができるので、とても強力です。
また、お金の流れが国民全体にうまく行き渡らず、失業者が増えて無駄な労働力が余ったり、貯められるだけで活用されない資金などが増えたりしますが、こういった問題への対策も行います。
財政政策ではありませんが、治安や福祉を維持して安全な国民生活を保障するのもまた、経済の安定に関係します。
金融政策は、中央銀行が貨幣の量を調整したり、銀行に貸し出す資金の利息を調整したり、いろいろな金融に関する取り決めごとを厳しくしたり緩めたりすることで、やはり経済の安定させることを目指します。
中央銀行は、「銀行のための銀行」として金融市場でのお金の流通そのものを調整する方法を多く持っていますので、政府が行う財政政策の効果を高めることができます。
逆に、財政政策とかみあわない金融政策を行ってしまうと、経済が停滞や混乱を起こします。(日本でもありました)
なので、各国の政府は、経済政策を扱う財務官庁と金融政策を扱う中央銀行を、車の両輪のようにバランスよく操る必要があるのです。
また、現在の経済は、国家間の輸出入によって大きく関係しながら動いていますので、自国の経済だけを対策してもあまり意味がありません。
よって、経済的な関係が深い国同士は、お互いの経済政策が互いに効果を打ち消しあったり、片方だけが一方的に利益を得たりして関係が終わってしまわないよう、常にチェックをしなければなりません。
大きな経済力のある大国が混乱すると周辺の国に大きく影響しますので、特に注目されますし、大国自身も、自国の影響下にある諸国にたいして協調するような経済政策をしてもらえば自国経済の安定にもつながるわけです。
国家間のことなので条約や協定などで基本的なルールを決めますが、経済政策は柔軟な調整が必要なので、多国間で定期的に話し合いの場を設けて、おおまかな合意事項を決めておく必要があるのですが、経済というのはきわめて複雑で明確な回答や統一理論などというものがありませんから、原理原則を主張するのでなく、合意形成はおのずと議論という形になります。
お礼
ご回答ありがとうございます。お礼が遅くなって申し訳ございません。大変勉強になりました。