- ベストアンサー
市場金利の変動による長期・短期の債券価格の変動
- 市場金利の変動によって、長期国債と短期国債の価格がどのように変動するかについて理解したい。
- 「国債の償還(満期)までの期間が長ければ長いほど、同じ1%の金利上昇でも国債価格の下落幅は大きい。」という記載の理由を具体的な設例で説明してほしい。
- 金利の変動がもたらす長期と短期の債券価格の変動について簡単に理解できるサイトや教材を教えてほしい。
- みんなの回答 (2)
- 専門家の回答
質問者が選んだベストアンサー
それは数式を使わなければ、うまく説明ができませんね。 やや専門的な話になりますが、債券の価格は、将来のキャッシュフローの割引現在価値の合算になります。 満期償還額100円、年一回のクーポンの支払額C、利回りをr、満期までの残期間n年とすると、 一年後のクーポンの割引現在価値は、C/(1+r) 二年後のクーポンの割引現在価値は、C/(1+r)^2 三年後のクーポンの割引現在価値は、C/(1+r)^3 … 満期のクーポンの割引現在価値は、C/(1+r)^n 満期償還額の割引現在価値は、100/(1+r)^n この債券の価格をPとすると、それは上記の合算ですので次のようになります。 P = C/(1+r) + C/(1+r)^2 + C/(1+r)^3 +…+ C/(1+r)^n + 100/(1+r)^n ※^の記号はべき乗(るい乗)を表します。 ※これは複利法での債券価格の算出式です。単利法での表し方もありますが、それは分かりやすく説明するため便宜的なものです。 利回り3%、クーポンレート5%、期間2年だったら、価格は次のようになります。 5/(1+3%) + 5/(1+3%)^2 + 100/(1+3%)^2 = 103.83円 同じく期間3年であれば次のようになります。 5/(1+3%) + 5/(1+3%)^2 + 5/(1+3%)^3 + 100/(1+3%)^3 = 105.66円 利回りの変化に対し、価格がどれくらい変化するかは、上記式を利回りrで微分することで知ることができます。 最初の式をrで微分すると次のようになります。 ∂P/∂r = -C/(1+r)^2 - 2×C/(1+r)^3 - 3×C/(1+r)^4-…- n×C/(1+r)^(n+1) - n×100/(1+r)^(n+1) 符号がマイナスになるのは、利率が上がれば債券の価格が下がり、利率が下がれば価格が上がることを意味します。 利回り3%、クーポンレート5%、期間2年だったら、価格は次のようになります。 ∂P/∂r = -5/(1+3%)^2 - 2×5/(1+3%)^3 - 2×100/(1+3%)^3 = -196.89円/100% 同じく期間3年であれば次のようになります。 ∂P/∂r = -5/(1+3%)^2 - 2×5/(1+3%)^3 - 3×5/(1+3%)^4 - 3×100/(1+3%)^4 = -293.74円/100% 微分したものは利率の変化に対する債券価格の変化の割合を表しますので、上の結果から、期間が長い方がそれが大きいことが分かります。 もう少し細かく見ていきます。 2年物と3年物の微分したものを比較すると、右辺の第三項以降に違いがあります。 2年物の第三項は、2×100/(1+3%)^3。 3年物の第三項以降は、3×5/(1+3%)^4 + 3×100/(1+3%)^4です。 3年物第三項は小さい値なのでおいておくとして、3年物第四項3×100/(1+3%)^4は、2年物第三項2×100/(1+3%)^3より、分母は(1+3%)倍程度ですが、分子は3/2倍になっています。 これが大きく影響しています。 微分によって分母にあったべき乗(年数)が分子にでてきたことが大きな差の元になったのです。 期間が長い方が当然、その影響が大きくでてきます。 上記計算では、一度だけ微分しましたが、それは利率の変化に対する債券価格の変化の割合の直線的な傾斜を表します。 実際においてその割合は曲線を描きますので、利率が1%変化した場合に上の計算に従って、2年ものなら1.96円、3年ものなら2.93円変化するものではありません。 しかし傾斜を知ることで、どちらの方が利率の変化の影響を受けやすいか、すなわち利率に対する感応度を知ることができます。
その他の回答 (1)
- tom900
- ベストアンサー率48% (1239/2534)
市場金利と国債の市場での価格変動は、一定の計算方法があるにはありますが、実際には市場で取引される価格が反映されますので、残存期間の長短での価値は算数のようにはなりません。 簡単に言えば、金利が上昇することで、既発(発行済み)国債よりも、これから発行される新発国債の方が利回りが良くなってしまいます。 投資家は同じようなリスクであれば、例え僅かであっても金利が高い方に投資するのが常です。 同じ30年モノであれば、発行から5年しか経過していなければ、低い利回りで25年待つよりも、乗り換えて新発の30年償還を手にした方が得になりやすい。 ところが、残存期間が5年であれば、例え新発の国債の方が利回りが良くても、5年待てば償還できます。 わざわざ新発の30年モノに乗り換えれば、償還まで30年間は時間的なリスクを背負うことになるので、乗り換えることはあまりしません。 結果的に、金利が上昇したことによって、残存期間が長い国債は市場では人気がなくなるので、価格の下落幅が大きくなりやすい訳です。
お礼
実務的な売買の見地からご説明いただきありがとうございました。
お礼
(1+r)のn乗で割り引く話は、不動産の証券化に関する本などでも、図解で説明があり、通常の人には理解できます。しかし、微分の話になると、理解の難易度が急激に上昇し、これを他の人に納得してもらうのは難しいと思いました。でも、自分の頭の中では理解しておきたいので、微分に関する部分以降については、数学の本を見て勉強し、確認したいと思います。ありがとうございました。