年金には、「第一号被保険者」「第二号被保険者」「第三号被保険者」が存在します。
第三号被保険者は第二号被保険者の配偶者ですから、考慮には加えないこととして、第一号被保険者(国民年金加入者)と第二号被保険者(厚生年金、共済年金加入者)について考えてみます。
視点がいくつかあって、「増税したら未納者が増えるのではないか」という点について。
そもそも、では、一体どういう人が「未納者」になるのかということを考えるべきではないでしょうか。
厚生年金、共済年金加入者については雇用者が半額を負担しますし、また保険料の納付については給与から天引きされますから、その納付率は100%です。(雇用者が支払わなかった場合、国が補てんします)
つまり、たとえ消費税が増税されたからと言っても、その影響を受けて「未納者」となるのは国民年金加入者のみです。
もしご質問の趣旨として、消費税が増税されることにより、雇用側の経営事情が厳しくなり、解雇者が増えることを意図して「未納者が増える」とおっしゃっているのなら理解できないことはありませんが、そうではなく、ただ単純に現在失業している人たちや厚生年金を納付することが出来ないほどの収入しかない人たちが、未納者になるのではないか、と言っているのであれば、それは少し筋違いかと思います。
納められないのであれば免除や減額を受けることもできますし、すでに生活保護を受けていて、保険料を納める必要のない人たちもこの中には含まれていますから。
何より、元々年金制度は、一生懸命働く人のための制度であり、働かない人たちのためにあるものではありません。もし彼らが保険料を納めないのであれば、将来彼らは年金を受給できなくなるだけであり、このことが年金制度に対して負担をかけることはありません。
基礎年金部分を除く厚生年金、共済年金の保険金額は、すべて厚生年金と共済年金のそれぞれの枠の中から今まで納付してきた人たちに対して支払われます。
また、第一号被保険者のうち、経営者以外の保険者が、24年間連続で国民年金を納め続けているような例がそれほど多くあるでしょうか。厚生年金を納付できないほどの就業状態にある人たちであれば、生活はものすごく苦しいはずで、すでに年金の支払いは免除か減額されているでしょうし、また申請をせずに未納状態のまま放置している可能性もあります。
何らかの障害が原因で働けないのであれば、その障害を自由として障害者年金としてすでに年金を受給できる状況にあるでしょうし、そうでないのならば支払いの免除または減額を受けている可能性が高いでしょう。
つまり、仮にそういった人たちが受給世代になっていたとしても、すでに年金を受給できる資格のない状態にある可能性の方が高い、ということです。
国民年金の未納率が増えることと、年金制度が破たんすることに因果関係はほとんどありません。全くない、と言ってもよいほどだと思います。
証拠に、「基礎年金勘定」、つまり国民基礎年金の収支はいまだ以て黒字です。
ただし、国庫の負担割合が1/3の状態のままでは、とんとんに近い程度の黒字額にすぎませんから、念のため国庫負担割合を1/2まで上げましょう、というのが今の消費税増税に絡む年金負担割合の考え方です。