男性です。わたしは生まれて六十余年、「俺」を使ったことがありません。
こどものころは「ぼく」で、会社に入ってからは「わたし」でした。
明治以前の下町や地方では女性も「おれ」「おら」「おいら」を使っていたそうです。それが使われなくなったのは、明治以降の山の手ことばからとのこと。
(参考:小林千草『女ことばはどこへ消えたか?』光文社新書)
戦後、「おれ」が多用されるようになった背景には映画やマンガの影響があるそうです。
『巨人の星』の星飛雄馬や『あしたのジョー』の矢吹ジョーが「おれ」といっているように、少年マンガのヒーローが「おれ」を使い始めたことから、無鉄砲な熱血漢の自称詞として定着したようです。『ドラえもん』でも「ぼく、のび太」「おれは、ジャイアン」です。
(参考:金水敏『ヴァーチャル日本語 役割語の謎』岩波書店)
映画『風と共に去りぬ』でも、時代と共にレッド・バトラーの自称詞が「ぼく」から「おれ」に変わっています。それに対してアシュレーは一貫して「ぼく」を使っています。
(参考:中村桃子『〈性〉と日本語』NHKブックス)
そうした文化的背景から、「ぼく」を使うのは「おとなしい少年・好青年」というイメージが定着し、「ぼく」を使うことに気恥ずかしさをおぼえるようになったのだと思います。
でも、社会人になったら公的な場では「わたし」「わたくし」を使って欲しいですね。
お礼
そうなんですね。やはり時代の流れというものなのでしょうか? 私の中では「俺」はやはり「下品な奴が使う」みたいなイメージが頭の中にあったので、なんで最近の人達は敢えてこんな言葉を使うのばかりだと思ってしまいました。