事実上デフレ対策らしいデフレ対策は行われずに、経済対策としてインフレ抑制政策ばかりが行われてきたためです。
多くの経済学者はデフレが問題であるにも関わらず、インフレ抑制の経済対策ばかりを推進してきました。
日本の経済実態にはあまり目が向けられず、その原因、実態に関わらず教科書通りの経済対策が推進され続けられました。その為デフレであるにも関わらずインフレ抑制の経済対策ばかりが推進され、日本経済は泥沼から抜け出せないという事態に陥りました(戦後50年ほど世界中の経済ではインフレが問題になることがあっても、デフレが問題になることがなかったため、教科書通りの経済対策とはインフレ抑制の経済対策でした)。
例えば、下例の発言などをみると、如何に実体経済に目が向けられず、机上の空論が力を持っていたかがわかります。
「開放経済の下では財政拡大は大きな効果を持たないことが知られ、財政で内需を増やしても、一方で金利上昇・通貨高・輸出減というメカニズムが働き、財政の効果がキャンセルアウトされる。その中で日本は、ロジック(論理)を無視して常に財政拡大を指向してきた数少ない国だった。」by 竹中平蔵
といった具合に的外れなことが施行され続け(インフレ抑制としては正しい)、竹中氏に限らずこのまま行けば金利が高騰して日本経済は破滅すると緊縮財政推進が言われ続け、それが世論に絶大な影響を持ち支持されるという事態が長らく続いています。長期金利が高騰して日本経済が破滅すると言われはじめてまもなく20年です。有効なデフレ対策が行われていれば、国債発行がここまで膨らむこともなかったでしょう。
逆に積極的な財政政策によって経済立て直しのためのデフレ対策の経済対策に対しては、バラマキというレッテル張りが先行して行われることでほとんど吟味されることなく潰されてきました。短期間であれどデフレ対策にまともに取り組んだ政権は小渕政権と麻生政権でした。
また日本の経済学界は常にアメリカの経済学界の権威を根拠にその是非を判断する傾向にあり、ここ20年もその例外ではありませんでした。かつてはアメリカも日本に緊縮財政政策を施行するよう強く圧力をかけ続けていました。
しかし、米国は金融と住宅のバブルが起こり、そしてその崩壊によってかつての日本と同じ立場に立たされることになりました。かつての緊縮財政推進から紅一点、バブル崩壊後に緊縮財政政策を行うことは誤りであるとかつての日本の緊縮財政政策を批判し、中央銀行の金融緩和と政府の財政出動を強く推進する政策を行うこととなりました。そしてリーマンショック後から現在までこの政策は非常に上手く機能しており、最大限米国経済を立ち直らせています。