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3手目▲5ハ金右の意味
将棋に詳しい方教えてください。 プロの将棋で居飛車党同士の場合、 ▲7六歩△3四歩に3手目▲5ハ金右とすることがありますよね。 この手の具体的な意味は何なのでしょうか?
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補足への回答です。 ▲7六歩▽3四歩▲5八金右▽8四歩▲6六歩▽8五歩▲7七角に▽5四歩は一応考えられる手ではあります。 でも▲5六歩▽3二銀▲6七金▽3一角▲5八飛▽8六歩▲同歩▽同角▲5五歩でどうでしょうか。先手としては守勢に偏するのではなくて、▽5四歩を逆用して攻勢に転ずる発想が必要に思います。この後どう進むのか。▽7七角成▲同桂▽5五歩▲同飛▽5二歩▲8五歩では後手不利でしょう。一度▽5四歩と突いた歩を二段も低い5二に謝るのは耐え難い屈服だし、これでは何のために飛車先を交換したか分からない。 ▽7七角成▲同桂▽8九飛成▲5四歩▽5二歩も考えられるけど、▲8八飛▽同竜▲同銀で先手有利でしょう。 このように▽5四歩には▲5六歩と位を保っておきたい。先手は▲5八金右の一手の分だけ中央が手厚くなっているので中央で戦いが起きるのは歓迎の筈です。また先手は2筋に手をかけていないので▲5八飛と飛車を中央に展開しやすいのに対し、後手は8筋に2手かけているぶん▽5二飛とはしにくい。そうすると8筋の2手が無駄になる可能性があるからです。続いて▽3二銀は矢倉に組むなら無駄手にはなりませんが、5筋の守りには利いていない。それに対して▲6七金は5六、6六、7六の歩を支えてしっかりしていますし、飛車の横利きを通す味が良い手です。▽3二銀を継承して▽3一角の引角は当然のようでも、▲5八飛とされると裏目に出るような気がします。▽2二角のままなら、角の利きで▲5五歩が阻まれているので先手も▲5八飛とは指しにくい。この手では▲8八飛と向かい飛車で後手の飛車先交換を阻む手も見えますが、これも守勢に偏していて感触が悪い。▲5八飛として▲5五歩を見せられると後手は5筋を受けることができません。▽5二飛では利かされで▽3一角の意味がなくなってしまう。▽2二角と戻るのでは、後手は一手パスと同じですし、▽6四角では▲6五歩で酷い。そこで断固▽8六歩なのでしょうが、▲同歩▽同角に手抜きで▲5五歩で先手有利に思えます。 プロの研究がどうなのか知りませんが、私ならこのように指し進めます。
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- mekuriya
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この手の具体的な意味と?「矢倉にしますよ」という意味です。 相居飛車の4大戦型が相掛かり、角換わり、矢倉、横歩取りであることはご存じですよね。先手も後手も居飛車党の場合の序盤は、この4つの内にどれになるかという駆け引きなのです。 通常の矢倉は▲7六歩▽8四歩▲6八銀のオープニングになります。この後は▽3四歩として先手は5手目に▲6六歩か▲7七銀で相矢倉模様に進行します。 だから後手も矢倉を望むなら2手目は▽8四歩です。しかし後手が矢倉を望んでも、先手が3手目に▲2六歩とすると矢倉にはなりません。その場合は後手は▽3四歩と応じて横歩取りを選択するか▽8五歩として角換わりにするかどちらかです。それ以外だと先手にだけ飛車先の交換を許してしまうからです。 相居飛車では、先手か後手かどちらか一方だけが飛車先の歩を交換できれば形勢が傾きます。だから先手も後手も飛車先を交換するか、先手も後手も交換できないか、この2つのどちらかに進むのが一般的です。 2手目▽3四歩の意味は、3手目が▲2六歩なら横歩取りか角換わりかどちらか選ばせてもらいますよという意味です。 ▲7六歩▽8四歩▲2六歩▽3四歩なら横歩取り模様ですし、▲7六歩▽8四歩▲2六歩▽8五歩なら角換わり、4手目が▽8八角成か▽3二金なら後手一手損角換わりに進みます。 後手はこの4通りの指し方のうち、どれか一つ自分が一番得意な作戦を選ぶ権利があるのです。 それが3手目▲5八金右とは何ぞや。先手の気持ちとしては横歩取りも角換わりも後手一手損角換わりもどれも嫌だということです。「そうじゃなくて、やっぱり矢倉にしましょう。」これが3手目▲5八金右の意味です。 ここで新たな疑問が2つ生まれます。 疑問1「4手目▽8八角成とすれば後手一手損角換わりになるのでは?」 疑問2「先手が矢倉を望むなら3手目▲6六歩とすれば良いのでは?」 疑問1の方は、なんとも分かりません。3手目▲2六歩からの後手一手損角換わりとどう違うのか。水面下の変化が隠されているのでしょうけど、▲2六歩よりも▲5八金右の方が先手の選択肢が多いのかも知れません。 疑問2の方は、後手が振り飛車に変化するのを先手は嫌っているのだと思います。▲7六歩▽3四歩▲6六歩に対しては▽3二飛か▽3五歩で後手が石田流に変化するのが有力です。そうされると先手は石田流を阻む手段がない。例えば、▲7六歩▽3四歩▲6六歩▽3五歩▲2六歩▽3二飛▲2五歩▽3四飛でぴったり石田流が間に合ってしまいます。それで先手不利というわけでもないのですが、どうもプロは先手を持って、後手に石田流に組まれてしまうのを不満に思うらしいのです。 3手目▲5八金右の意味は、後手が▽8四歩か▽5二金右かどちらかで後手も居飛車の方針を明示してから▲6六歩と指したいという意味もあるのです。 他にも後手が右四間飛車に変化した場合にどういう違いがあるのか。まだまだ水面下の変化が隠されているようではありますが、今回はここまでとさせてください。
補足
詳しいご解説、感謝致します。 疑問1について。 そうなんですよね、一手損角換わりを防げるわけではないんですよね。 そうか▲2六歩を突かないで駒組をすると得な変化があるのかもしれませんね。 この辺りは、プロレベルの序盤感覚で難しそうですね。 疑問2について。 なるほど、▲6六歩だと石田流を許すのはたしかに嫌ですよね。 △8四歩か△5二金右を見てから、▲6六歩と指したいわけか。 とここで自分の突き当たった疑問と重なるわけですが、 ▲5八金右△8四歩▲6六歩だと、銀が間に合いませんよね。 以下△8五歩▲7七角△5六歩▲6七金△3二銀▲8八銀なら、△3一角が間に合います。 これは後手が嘘矢倉に組んだときの変化に似ていますが、 先手としてはこの変化で飛車先交換を許してでも、矢倉戦を指したいということなんでしょうか? ただ実際調べてみると、プロの将棋ではそういう展開にはあまり進んでないんですよね。 自分は相居飛車の将棋は詳しくないので、何か重大な見落としをしているのかもしれないと思い、 質問させて頂きました。 もしかすると、田中寅彦先生の後手無理矢理矢倉の変化を先手で応用して、 先手が得をする変化があるんでしょうか? 後手無理矢理矢倉の定跡を全く知りませんので、その辺りも自分自身では解決できないでいます。。 よく考えると、 上記の△3一角以下▲6八角△8六歩▲同歩△同角▲同角△同飛に▲7五角で馬が作られるからダメなのか? うーん、これが原因なんでしょうかね? 何か変化の中で見落としがあるかもしれませんし、自分の中ではまだ解決はできてません。
お礼
再度のご投稿、大変有難いです。 ありがとうございます。 >>でも▲5六歩▽3二銀▲6七金▽3一角▲5八飛▽8六歩▲同歩▽同角▲5五歩でどうでしょうか。 >>先手としては守勢に偏するのではなくて、▽5四歩を逆用して攻勢に転ずる発想が必要に思います。 なるほど、自分は飛車先を切らせてはダメという発想のもと考えてましたが、 こうやって守備に徹することなく、反撃を狙う構想があるんですね。 その後の具体的な手順のご解説も、非常にわかりやすく参考になります。 >>このように▽5四歩には▲5六歩と位を保っておきたい。 >>先手は▲5八金右の一手の分だけ中央が手厚くなっているので中央で戦いが起きるのは歓迎の筈です。 >>また先手は2筋に手をかけていないので▲5八飛と飛車を中央に展開しやすいのに対し、 >>後手は8筋に2手かけているぶん▽5二飛とはしにくい。 非常にロジカルな説明で、思わず唸ってしまいました笑 矢倉戦というより、将棋における大事な考え方を教わったような気がします。 mekuriyaさんは大局観に優れていて、非常に強い方だとお見受けしますね。 △3二銀の後の展開のご説明も、非常にわかりやすく、本当に参考になります。 これで、私の疑問は解決致しました。 なんというか、この文章は将棋を強くなりたい方には是非、見てほしいなと思いますね。 自分だけで終わらせるのは勿体無いです笑 最後に、2つ続けての長文解答、本当にご苦労様です。 符号を書いたりするのは、大変なんですよね。 丁寧な文章で、これだけわかりやすく教えて頂き、感謝の念に堪えません。 ありがとうございました。