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漫画を知りたいです。
以前熱海の温泉旅館で見慣れない青年誌を見たのですが、その中で絵はいまいちですが山から巨大な怪獣?クマの様なものが村を襲うとゆう内容の漫画があったんですが何だか解りますか?タイトルは英語でワールドイズなんとかだったと思います。ご存知の方いますでしょうか?
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新井英樹「THE WORLD IS MINE」(小学館)全14巻。傑作です。
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- fukuyori
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#2ですが、一昨年に某所に書いた書評のデータが残っていましたので、転載します。ご参考まで。 -------- 今年の6月5日付けで刊行されたこの物語の最終巻には、アメリカ合衆国が正義を振りかざして挑んだテロとの戦いの果てに、核ミサイルの雨によって人類全体を道連れに滅亡するシーンが描かれています。それから3ヶ月後の9月12日に現実のアメリカで何が起きたか、そしてそれ以後の世界がどのように動いてきたかは、今更述べるまでもないでしょう。そして、未来が本書と同じ道を歩まないとは、誰も保証できません。 アルカイダはアメリカを悪と呼び、アメリカはアルカイダを悪と呼びます。どちらかが正しいのか、どちらも正しいのか、どちらも間違っているのか──原因を遡るならば、被害者と加害者が相互に役割を交換しながら虐殺が継続されてきた愚かしい人類史に至ります。私たちは歴史を学ぶ中で、その出来事を知識として記憶し理解します。けれど、政治や軍事の力学を問うことはしても、その時にその現場で激しい暴力に晒され苦痛と恐怖と絶望の下に命を奪われなければならなかった無数の魂のことを想う人は少ないでしょう。 想像すること。私たち人間に与えられたこの偉大なる能力が変調を来す時に悪は生まれます。 この物語は、内向的な青年三隅俊也=トシが初めて作った消火器爆弾を嵐の海で爆発させるシーンから始まります。小心に淡々とした日常生活を送るトシは、子供の頃から爆弾に魅了されていた工学オタクでした。けれど、想像するだけで爆弾を作るわけではありません。「ボク弱い人間やから、強い力を持ったらあかんのや」「なぜ?」「使いたくなるやろ」マリアと名乗る不思議な女性とのチャットでそう語るトシの運命を変えたのは、野生児モンとの出会いでした。「俺にもお前にも、生き物には生かすも殺すも好きにできる力がある。使え。力は……絶対だ」そう語るモンに魅惑されたトシは、躊躇しながらも大量の消火器爆弾を製作しあちこちに仕掛けながら、やがて必然に導かれるように冷酷な殺人鬼と化していきます。 新井英樹という作家は、生命の力を描くことのできる数少ない表現者の一人です。力を振るい時に他者を蹂躙することの快楽と魅惑、生命の持つ荒々しい本能を、作者は『宮本から君へ』で肯定的に描きました。『The World Is Mine』においても、全ての登場人物の息づかい、皮膚の温もりと手触り、感情の内側までが克明に伝わってきます。ほんの数ページ登場しただけで無惨に殺される市井の人々についても例外ではありません。作者のペンの魔術によって、私たちは彼らの数十年の人生のドラマを想像させられ、その命が何の意味もなく奪われる姿を見せつけられます。幾度も体に差し込まれるナイフ。蹂躙され絶望の果てに迎える死。その不条理は、どんなに目を背けたくとも、犯罪や戦争の現場で今日も繰り返されている現実の姿です。 トシ・モンの凶行に平行して、ひとつの奇妙な「天災」が描かれます。ヒグマドンと呼ばれる正体不明の巨大生物が北海道から津軽海峡を渡り、南下しながら怪獣映画のように街を破壊し人々を殺してゆくのです。ヒグマドンという天災による惨劇も、トシ・モンのテロリズムによる虐殺も、被害者にとって不条理で悲劇的なものである事には変わりありません。けれども、その両者の間には決定的な違いがひとつだけあります。それは、悪が存在するか否かです。時として無惨に命が失われる、それ自体は生命の掟だけれど、しかしそれは悪を良しとすることを意味するわけではありません。トシが他者の痛みへの共感を失ってゆく一方、モンはヒグマドンとの邂逅や阿倍野マリアとの出会いによって、生涯で初めて畏怖の感情を、他者を想う気持ちを得ます。その変化はやがて二人の運命を二手に分けることになります。トシは「もう一人のマリア」の正体を知る事で自らの罪の大きさに恐れおののき、モンはハーメルンの笛吹男のように人々を誘い導く危険な聖者として世界を放浪する──。 この作品に登場する人物たちは、大きく三種類に大別できるように思います。ひとつは神話的存在として圧倒的存在感で世にある者(モン、ヒグマドン、飯島猛など)、ひとつはそうした神話的存在に対して己の信念をもって対峙する者(由利総理、塩見捜査一課長、阿倍野マリアなど)、そしてひとつは神話的存在に導かれるように歩む者(トシ、星野記者など)。しかし後者の区分は曖昧です。むしろ、神話的存在に直面した時の人間の類型が主要登場人物の数だけ描き分けられていることに驚嘆すべきかも知れません。 内向的な闇を抱えている点で出発点が同じだったにも関わらず、モンと出会ったトシは家族や職場の人々との温かな関わりを断ち切って殺人者となり、飯島と出会った星野は右腕を失った代わりに愛する者を得て、ジャーナリストとして事件の全容を追い、新しい命の誕生と人類の終末を同時に迎えながら人間の有様に対して喜びと悲しみの混じり合った視線を──作品全体を通底する視線を獲得します。トシと星野の差は、人々との出会いの中で想像力を、共感する力を養うことができたかどうかにあります。 「俺は俺を肯定する」、モンが象徴的に発するこの言葉は、受け止める者の態度によって、豊饒な生命力を生み出すことにも、ひたすらに生を消耗させることにも繋がるのです。仮に生命力の創造性を善と呼ぶならば、善と悪が源を同じく「生命」に求めているのだということをまっすぐに見つめていたい、そう思います。今の世界の有様は、この物語が描いた終末にとても良く似ているのですから。 悪人特集ということでグダグダと言葉を重ねて来ましたが、言いたいことはただ一言、この作品は大傑作だということです。ラストまで完璧でした。万人にお勧めとはいいません、読者に相当の情緒的体力を要求する作品ですから。でも、受け止める力さえあるならば、できるだけ多くの人に読んでもらう価値があると断言します。
お礼
私の質問に対してこれほどの情報量、それが作品の評価だと思いました。 すぐ書店に向かいます。 有難うございました。
- shiga_3
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「The World Is Mine」(新井 英樹 著 ヤングサンデーコミックス) ではないでしょうか。 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/409152141X/249-9313177-4825956 http://www.geocities.co.jp/Playtown/2586/
お礼
早速確認しております。ヤングサンデーでしたか・・ メジャーな雑誌でした・・・・
お礼
14巻ですか。この年末は良い時間過ごせそうです。